ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

トム・クルーズが出る映画は絶対外せないんで、あと1週間で3000円で生活しないといけない中、見てきました。平日の夕方の上映だったのでそんなものなんでしょうけど、お客さんはまた俺入れて2人でした。っていうか地元の映画館で混んでいた事がほぼほぼ無い。

 

 

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

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あらすじ

トム・クルーズが主演を務め、「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」でもリブートされた1932年のホラー映画「ミイラ再生」を新たに生まれ変わらせたアクションアドベンチャー。2000年の眠りから目覚め人類への復讐を開始した古代エジプトの王女と、飛行機事故による死からよみがえり世界を救うべく立ち上がった男の戦いを描く。古代エジプトの王女アマネットは次期女王になる約束を裏切られた怒りから闇に堕ち、生きたまま石棺に封印されてしまう。それから2000年後、中東の戦闘地帯で石棺が発見される。発掘に立ち会った米軍関係者ニックは、考古学者のジェニーらとともに輸送機で石棺をイギリスに運ぼうとするが、その途中でトラブルが発生。ジェニーは脱出したものの、ニックを乗せた輸送機はロンドン郊外に墜落し、石棺が行方不明になってしまう。強大な敵に立ち向かう主人公をクルーズが演じるほか、王女アマネット役を「キングスマン」のソフィア・ブテラ、物語の鍵を握るジキル博士役を「グラディエーター」のラッセル・クロウ、主人公と行動を共にする考古学者ジェニー役を「アナベル 死霊館の人形」のアナベル・ウォーリスがそれぞれ演じる。監督は「M:i:III」「トランスフォーマー」シリーズの脚本を手掛けたアレックス・カーツマン

監督 アレックス・カーツマン 

脚本 デヴィッド・コープ クリストファー・マッカリー ディラン・カスマン 

原案 カール・フロイント『ミイラ再生』

製作 アレックス・カーツマン クリス・モーガン ショーン・ダニエル サラ・ブラッドショー

製作総指揮 ジェブ・ブロディ ロベルト・オーチー
出演者 トム・クルーズ
   アナベル・ウォーリス
   ソフィア・ブテラ
   ジェイク・ジョンソン
   コートニー・B・ヴァンス
   ラッセル・クロウ
音楽 ブライアン・タイラー
撮影 ベン・セレシン

 

 

50点

 

まあでも今回はスタンプカード溜まったんで、無料で見られただけよかったっていうか。「時間あるし夏休みっていっても遠出するのも面倒だし、なんか映画でも見るか…あっトム・クルーズ主演じゃん!見てみるか…」くらいでこの作品を見ると本当にその軽い期待分のお釣りはもらえますよ…っていう感じの映画だったと思います。

ダーク・ユニバースの第1作目が今作です。マーベル、DCコミックス、この前の「キングコング 髑髏島の巨神」もその一部だったモンスターバースシリーズと、作品のユニバース化が世界的な流行となっている昨今ですけど、じゃあこの3つのユニバース作品に登場していなくて、新たにシリーズを引っ張っていける大スターは誰だってなった時に抜擢されたのが俺たちのトムっていうアレです。多分トムとしてもこの流れには乗っておきたいっていうのはあったんでしょうけど、まさか今インディ・ジョーンズみたいな映画を撮るとはちょっと想像していなかったです。これからトムがダークユニバースに毎回出演する…っていう形になるのかどうか。ミッション・イン・ポッシブルもアウトローもシリーズあるんですけどね、っていうか頼むアウトローの次撮ってくれ!またクッソダサい感じのリーチャーでもう1回やらしてくれ!頼む!

 

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トム・クルーズって、やっぱり自己プロデュース力が凄く高い人な訳じゃないですか。自分が観客からどういうパブリックイメージを持たれていて、そしてそれをいかに逆手に取りながらエンタメ作品として成立できるのかをここ十年くらいはずっとやっている感じがあって。

「ミッション・イン・ポッシブル」はド派手路線で王道トム・クルーズでやってくれてる訳ですけど、アウトローではそのカウンターとして『もうスター路線やりすぎちゃって人間としては規格外な感じになっちゃった俺』で基本バス移動してるような超アナログなトム・クルーズやってるし、オール・ユー・ニード・イズ・キルでは『基本安っぽい笑顔で年取った中年って俺の事どうせ思ってんだろ?』っていうまさにパブリックイメージそのもののキャラクターとして序盤登場してきて、しかも最初の1時間はその安っぽい笑顔の中年のままクッソダサく死にまくるっていうのをやってる訳じゃないですか。「トロピック・サンダー」みたいなのも出るし。

 

 

自分がどういう存在の俳優として見られているか、そしてそれをいかに上手く使って映画作りに生かせるかっていうのをずっと続けてるっていう所が、俺がトム・クルーズの映画は絶対見ておかないといけないっていう理由でもあるんですけど、じゃあこの「ザ・マミー」はどういう塩梅かって感じですよね。

 

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で、今回は最近のとはまた違った手を打ってきていて、基本小悪党で小物っていう感じで攻めてきた印象でした。そもそも事件の発端すらもトム演じる主人公の自業自得以外の何物でもないですし、ヒロイン見捨てて平気で1人で逃げようとするし。基本的にはクズな男だし、軍人だけど腕っぷしも今までのトムが演じてきた人間と比べたら全然大したことはなくて、イーサン・ハントなら両手足縛られた状態でも勝てそうな奴なのが、ザ・マミーの主人公であるニック・モートンっていう男なんですよね。簡単にいえばヒーロー感が全くないような人間で。

 

であるのなら、この映画では彼がヒーロー然とした人間になっていくのが語られるべきなんですけど、意外にそこにはあんまりスポットが当てられないんですよね。彼がどういった理由で自身の行いを省みて反省をし、そして成長していくというのが終盤になって一気に片づけようとしていて、しかもこの大事なパートをヒロインから「あなたは本当は善い人だって分かってる」という台詞だけで説明しているので、展開としてはかなり性急な感じはありました。

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肝の「主人公が最後の最後で利他的な行動を取る」という所にもカタルシスは無くて。主人公が実は心の奥底は善人で…というのを「ヒロインだけが気付いていた」という描写をしたいのであれば、トムが小物で小悪党しつつも勇気を振り絞って敵や困難に立ち向かったという劇中の描写を、観客には見せていけなかったと思うんですよね。せめて観客には「んだよこいつやっぱマジでクソだな」思わせる独善的な描写を入れておいてから、終盤になってヒロインが「実はあの時…」みたいな感じでフラッシュバックでシーンを入れて主人公がずっと自分を守ってくれていたという真相を見せるとか。要は意外にトムが今作でも弱いは弱いけどトムをちょいちょいやってる感じが、自分には気になってしまいました。

主人公がなぜ最後丸腰のまま勝てたのか?のロジックも、納得はできませんでした。あの描写だとRPGみたいに【「ぬすむ」コマンドの成功率が高かったから】にしか見えない。映像的にも気持ちいいというか、フレッシュに感じる所も無くて、ただただ行き当たりばったりで行動してる集団に振り回されただけの120分でした。全体的にひどく雑な感じ。

 

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ただ、それでもちょっと点数が高めなのは、「ワンパンでボコボコに吹っ飛ばされるトムが数回見られる」っていう所で、ここはマジで最高でした。だって、よしテメエ、やってやろうじゃねえか…!!と腕まくりして飛び掛かった2秒後にスーパーボールみたいにバウンドしながら床を転げまわるトム・クルーズがスクリーンで見られるんですよ!?しかも複数回!!!これだけでも映画館に行く価値は充分ありです。賛否でいえば「俺はトムがやっぱり好き」。映画自体が面白い訳では全然ないんですけど。

 

こんな面倒くさい方法で前売り券を買う人間がいるとは思えません

 

 最高のヤツです