2017年新作映画トップ20(20位から11位)

2017年新作映画トップ20の20位から11位を紹介した記事です。2つに分けて発表するのは俺が後から読み返す時に20本全部一気に読むのは面倒だからです。文字の奴隷を辞めたい。

 

 

前回更新したワースト5の記事です。半分嫌がらせのような記事です。

askicks1248.hatenablog.com

 

 

20位といっても、90本近く見た中での20位以上なので、もう全部1位みたいな物なんです。本当に今日の気分で順位付けてるので、とりあえず皆さんのレンタルショップ行くときとかの参考くらいになればいいな、くらいに思います。ウソです。俺がクソ映画山ほど見たんだからお前らも見ろ。氷菓とか劇場版コナンとかを喜んで見ろ。

 

早速20位から。

 

20位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2

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アイツらが帰ってきた!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』予告編

 

説明不要の超娯楽大作な風格がいつの間にか出てきたこのシリーズ。新たな仲間を加え、よりゴージャスに、そしてよりカオスな展開で楽しませてくれたのが、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2です。(リミックスではないです)

マーベル作品を絶対映画館で見たい理由の一つに、マーベルの新作こそがアクション映画の最先端を毎回毎回更新してくれてるから、っていうのがあるんです。今作でもやっぱり見せ場に次ぐ見せ場でどこを取っても最高に楽しいんですが、個人的に好きなのはやっぱり冒頭のアクションシーン。360°使って所狭しと暴れまわるキャラクターたちの一挙手一投足を見てるだけで幸せになってくるんですけど、それに加えてちゃんとそれぞれアクションを見せながら、前作を見てない人への配慮プラスおさらいって感じで、各キャラクターの属性紹介を兼ねてるのが親切設計って感じで好きですね。

主要キャラクターも更に増えて盛り込みすぎ感も若干あるんですが、2人1組のペアをいくつか作る事で、小チームごとにドラマを設定しつつ最終的には全チームが1つの目的に向かって収束してく流れを成長と克服混みで見せていく流れもあり、好き勝手に大暴れしてる様な映画でも凄く見やすくなる様に努力していて、やっぱりここ最近のMCUの作品群の中でも頭一つ抜き出た感があるなって感じでした。スタローンも出てくるしね。ジェームズ・ガンは「サラリーマン・バトルロイヤル」でも感じたんですけど、本当に脚本が上手いです。

細かい感想を1回書いてるんですけどね。

askicks1248.hatenablog.com

 

 

 

19位 キングコング 髑髏島の巨神

「キングコング 髑髏島の巨神」の画像検索結果

毎年、年始めから春にかけての映画は記憶がどうしても薄くなってしまうんで順位的には下になってしまうんですが、この映画は夏くらいまで「もしかしたら今年ベストくらい面白かったかも…」ってなってました。イヤ、今年ベスト級に面白い映画なんですが。

楽しい所ばっかりで、コレぞエンタメ怪獣映画!って感じでした。キングコングのイケメンっぷりも勿論なんですが、その他モンスターの造形もそそる物ばっかりだったし、ちゃんと人間をゴミみたいに殺してくれるし、日本へのリスペクトをちゃんと感じさせる描写もたくさん入っていて、これからのシリーズ展開がメチャメチャ楽しみな1本でした。「演説しようとした矢先に後ろからサメに喰われるサミュエル・L・ジャクソン」ファンとしても大満足なラスト。マザファカ言ってこそのサミュエルって感じもあります。

 

 

18位 三度目の殺人

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映画『三度目の殺人』予告編

 

正直、今年は邦画がかなり小粒だった印象があるんですよね。去年が「何者」とか「ヒメアノ~ル」「永い言い訳」「シン・ゴジラ」とか、サスペンスを中心にいい映画が結構あった分、2017年は印象がかなり薄い感じがありました。そんな中でも、今作は流石是枝監督って感じもあって、今年の邦画の中でもかなり面白い部類に入る作品になっていたと思います。

是枝監督のフィルモグラフィで共通してるテーマって「人と人との分かり合えなさ」みたいな所にあると思ってます。「そして父になる」でも「歩いても歩いても」でも、表面上でも仲の良い家族に見えていても、ちょっとした一言、ささいな挙動で、本音や悪意が透けて見えてしまう、その一瞬で一気に作風がサスペンスに傾くくらいの恐ろしさが、そこかしこにあって。ささいな日常こそが一番恐ろしいっていう、ある種の救いようのなさ、果てしなさを感じる部分が凄くある作品たちだなと思います。

でも、そんな中でもこの監督の映画に後味の悪さを全く感じないのは、その「分かり合えなさ」をまず前提にしていてる映画だからです。だからこそ、一生の内のほんの一瞬だけでも理解しあえたり、愛しあえたり、一緒にいられたりする事に意味があるんじゃないのか?っていう風に感じられる終わり方をしてくれてるんですね。人間が人間を理解するっていうのは多分無理で、でもその積み重ねこそが人生を形成していくんじゃないのか、っていうのがこの人の作品に感じる所であって。

今作「三度目の殺人」は、法廷モノという事もあって、今まで家族間のコミュニケーションの中でドラマを見せてきた過去作とはかなりテイストが違う様に感じるんですが、やはりそれでもテーマは一貫していたと思います。「人が人を理解できるのか?」を「人が人を裁く事は出来るのか?」っていう置き換えで、主人公の弁護士が殺人の容疑者との会話の中で、正義とは、悪とは、裁判とは、というのに本当の意味で直面していく。

この映画は日本の裁判制度の批判とも取れるんですが、個人的には何が正しくて何が間違ってるのかすらも提示していないっていう作品だと思うんです。社会の歯車として、円滑に日常を機能させるには裁判の簡略化は必要な事だと思うし、「真実を追い求める」というのって、一見映画の主人公っぽくて絶対的な正義の様にも見えるけど、実際その判断のせいで主人公の立場は危うくなった訳じゃないですか。主人公の「正しきこと」と、彼が属する社会の中での「正しきこと」は必ずしも一致しない。「正しきこと」とは何なのか、それは「正しくないこと」とどう違うのか。単なる法廷モノにおさまりきらない、物凄く射程距離の広い、良いサスペンス映画になっています。

加えて役者陣も本当に素晴らしい作品でもありました。役所広司斉藤由貴広瀬すず福山雅治も頑張ってました。是枝監督の新たな代表作になったと思います。

 

 

17位 夜は短し歩けよ乙女

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 天才・湯浅正明が監督した森見登美彦の人気小説の劇場版です。

原作では連作短編という形を取っていましたが、今作では原作での大まかな流れは抑えながら「全てが1日の中での出来事だった」という大幅な改変がなされています。

マッドでドラッグムービーとしか言いようがない、ぶっ飛んだ展開が特徴なのが湯浅作品でそこらへんも勿論好きなんですが、今作ではさっき書いた「時間への捉え方」っていうのが大きなファクターになっていた気がします。

全ての人間に平等に流れていくはずの時間を「マジでこの世なんて生きててもつまんねえ事ばっかでしょうもねえよ」と過ごすのか、「イヤ世界にはちゃんと面白い事や面白いモノは絶対ある」と信じながら過ごすのか。日常をどういう風に捉えて見るのかで、流れる時間は物凄く早く感じたり、はたまた物凄く遅く感じたりするっていうのは、かなり身近なテーマだったりするじゃないですか。

湯浅作品の良い所をもう1個挙げると、物凄いぶっ飛んだテーマを「マインドゲーム」然りでやっておきながら、ちゃんと我々観客が過ごす日常生活に目を向けさせて「そこに価値は絶対あるぞ!」って促してくれる所だと思うんですよね。この映画でも、ヒロンである黒髪の乙女に触発されるように、自身の生き方、暮らし方を諭されるような人間は沢山いるんですけど、それはやっぱり俺もそうで。映画を見る前と後で日常の景色が違って見えだすっていうのは映画でしか味わえない醍醐味だと思うんですが、この作品でもそういうのは感じられて、そういう意味で価値ある映画だったと思います。声優陣も凄く良かったですしね。花澤香菜神谷浩史辺りは当然として、ロバートの秋山がこんなに芸達者だったとはちょっとビックリしました。星野源も想像してたよりずっと良かった。

 

 

16位 Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower

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車で一時間弱の映画館で上映してたんで、昔からFate好きだった友達誘ったんですよ。

「桜がメチャメチャ嫌いだから絶対見たくない」とか訳わかんない事抜かしたんで殺したら友達が一人減ってしまいました。不思議だね。

Fateシリーズはアニメだけ鑑賞済みでゲーム本編をやってない人間なので、薄い所でしか感想が書けないんですが、こんなにレベルの高いアニメーション作品をスクリーンで見られる事が出来てマジで幸せでした。アクションシーンで誰と誰が今どこにいて今何が起きて、っていうのを見てる観客側に理解させながら展開を進めるのって、普通のハリウッド映画でも出来てない映画山ほどあるのに、それをアニメでやっちゃってるってとんでもない事だと思うんですよね。

今作の見所であるランサーvsアサシン戦ではビルの屋上、高速道路、沼地と(沼地でいいんすよね?)、転々とさせながらその場所ならではの戦い方があって、かなりの長尺なのにアイデアの枯渇が全く感じられないし、セイバーvsアサシン戦、ライダーvsアサシン戦も、これまで劇中になかった閉鎖的な空間での戦闘っていう所で、1本の映画としてテンションを高いまま持続させられる様に、凄く設計された作りだったと思います。

3つある内の3つ目のルートのストーリーという事で、聖杯戦争とは…みたいな所はダイジェストっぽくすっ飛ばしています。個人的には映画は「誰がいつどんなタイミングでも見ても理解できるようにあってほしい」んですけど、今作は物語の時間軸を少し遡らせて、士郎と桜の仲が深まっていく過程を見せていくという所だったり、一応は最低限のルール的なモノは説明する、という点で少しは配慮してる風なのはありました。全く知らない人にもオススメ!までは全然言えないですけど、「FGOはやってて原作も何となく知ってる」くらいなら分かる…のか?くらいな感じですかね。とにかく見ろ。

 

 

15位 ベイビー・ドライバー

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みんな大好きベイビードライバーです。みんな大好きと言っているし、俺には音楽の素養も小4の時だけ吹奏楽部でトロンボーン吹いてあの伸びるヤツで前の席にいたトランペット担当の先輩ブスの頭を何十回も小突いたくらいしか無いので、ちゃんとした考察は「ベイビードライバー ちゃんとした考察」で検索して下さい。よかったですね。

この映画から「未来感」を感じたんですよね。ストーリーの展開を追う以前にえっ!何この演出!つってビックリしてたら次のその瞬間にまたえっ!何この演出!のつるべ打ちで、脳が全く追いついていかない感じ。それに合わせてご機嫌なナンバーが次から次へとやってくるんで、脳髄に直接コードを繋げられて(楽しさ)の原液を流し込まれてるような、そんな感じがありました。伝わってますか?この表現。

ストーリー展開も次が読めなくて楽しいですし、キャラクターの造形もみんな良かったです。特にジェイミー・フォックスが演じたバッツがメチャメチャにキャラの立った妙に頭の回る悪どい面倒くさバカで、このキャラクターがいる事で主人公周りの「上手くいくか?いかないか?」のサスペンスがグッと深みを増して面白がれる所になっていたり。(強いていえばラスボスがバッツであれば…というのも無くはないです)

誰が見ても楽しめるエンタメ映画になのは間違いないんですが、唯一問題があるとすれば、「俺があんまり車にも音楽にも興味がない」っていう所があって…。まあでもそんな俺でもメチャメチャ面白かったんで、車にも音楽にも興味がある人が見たらそりゃ楽しいよね、だから大ヒットしたよね、っていう感じですかね。映画技術というか、演出の手法の最先端がこの映画にある様な気がしてるんで、トップ10にはどうしても入れたい作品だったのですが、まあ似た様なモノですよ。1位も10位もなんでも。

 

14位 アシュラ

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イヤもう俺が韓国映画で見たいヤツが全部入ってる映画ですね。暴力&暴力、下品&下品、血しぶき&血しぶき。今年も面白い韓国映画は沢山ありました。

なんといっても市長役を演じたファン・ジョンミンの怪演ですよね。結構広い所で人もいる中でフルチンで飯食いながら喋り続ける「どこまでも人を人と思ってなさ」とか、ここまで人間をただの肉塊としか見てない市長が映画史にいただろうか?という感じで。

全編通して「犬」として二大勢力に板ばさみにされる主人公という所で胃が痛~くなる感じの見所ばっかりな映画なんですが、ハッとする撮り方も多くて。最後のジェノサイドとしか言いようがない修羅場シーンも血みどろで楽しいんですけど、カーチェイスのシーンとかも度肝抜かれました。カットを切らずに2台の車両が追い付け追い越せやってるシーンで、一度車の窓ガラス越しにカメラが車中に入っていって中の様子を見せてから、またガラス越しに移動していって道路の全景を俯瞰して見せて、そしたらまたガラス越しに車中の様子を見せて…っていう、どうやって撮ったのかマジで分からない所もあって。

あとマチェーテね。俺ああやってマチェーテでとりあえず死ぬまでガンガン叩かれるの、マジでこの世で一番雑で一番痛い死に方だと思う。野蛮&野蛮ですわ。最高。

 

13位 スパイダーマン:ホームカミング

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マーベル・シネマティック・ユニバースについに参戦、新生スパイダーマンとしてトム・ホランドが主演したのが今作スパイダーマン:ホームカミングです。

 

なんでこのくらいの順位かっていうと、最近映画ってそれ1本で全部完結してこそじゃないの、みたいなのはちょっとあるんですよね。フラッと入って何の前知識も無くてもメチャメチャ楽しい、それが一番価値ある映画の見方のような気がしてて。「マイティ・ソー バトルロイヤル」とかも凄く面白かったんですが、やっぱりいきなりコレだけ見てもよく分からないと思うんで、全体的に前知識込み必須の作品は順位を下げてみました。それはさっきの「Fate/stay night [Heaven's Feel]」も込みで。

 

学園物モノと青春モノがプラスされた、明るく楽しい、そしてホロ苦い感じの作風でした。どんどんシリアス化していく本筋のアベンジャーズシリーズとは打って変わって単純に楽しめる快作だと思います。根性と忍耐で戦うヒーロー、それがスパイダーマン

今作のヴィランも凄く好きでした。マイケル・キートンって最近になってやっと知ったって感じだったんですけど、メチャメチャ好きです。ヴァルチャーの造形そのものも好きなんですけど、コイツって別に宇宙転覆を狙ってる訳でもない、小悪党な訳じゃないですか。あくまで自分の生活と家族を守るために…という所で、中盤での主人公ピーターとの車内での2分くらいの会話シーンで見せたあの迫力ですよね。

「大人はお前みたいな子供いつでも殺せるし、もう俺は覚悟してんだよ」という凄みを利かせるあのシーンだけで、この映画の格が数段階上がってる気がするし、その直後のパーティーシーンからの廊下を全速力で掛けるピーターの勇ましさですよ。お前だよ。お前が俺たちのヒーローだよ。俺マジで「がんばれ!!」って声出そうになりましたもん。

正直、この長々と続いてるマーベル・ユニバースの相当数を見ておかないと充分に楽しめない作品ではあるんですけど、コレ見て気にいったら、「アイアンマン」と「アベンジャーズ」と「キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー」と「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」と「キャプテン・アメリカ シビル・ウォー」を見ておけばまだ後追いでも全然何とかなりますからね。本当にね、面白い映画なんで。見なくてもいいですけど。

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12位 ザ・コンサルタント

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正直、ベン・アフレックにはバットマンよりこっちの方を優先的に主演して延々とシリーズ化してってもらいたいなと思ってます。彼の新しい代表作になったのは間違い、傑作ジャンルムービーになりました。

監督はギャビン・オコナー。この監督の「ウォーリアー」って映画が凄く好きで、説明セリフではなく、あくまで映画的な手法を用いた演出で登場人物の心情を語るのが本当に上手な監督だという印象が強くて。主題的には物凄く男臭い感じのテーマを用いながら、そういう胸を打つような演出が多くて、そのアンバランスさが作家性みたいになってる監督です。この「ザ・コンサルタント」も一筋縄ではいかない、まあ変な映画なんですよね。俺がクソ好きな「イコライザー」とか「96時間」とかの「舐めてた相手が実は殺人サイボーグだった」モノのつもりで見にいったら、全く違う感じの映画で結構驚きました。

そういういかにもジャンルムービー的な要素は抑えつつ、実際は監督が「ウォーリアー」でも描いていた父息子モノであったり、家族間の因縁を交えた話でもあったり。インタビューとかで見るといつの間にかウォーリアーと似通った話になっていたっていうのが監督談だったりして、こういう所も作家性っていうアレなんでしょうか。

ただ、個人的に「ウォーリアー」と違うのは、あくまでも「ザ・コンサルタント」は社会から爪はじきにされた人間たちに寄り添った、激しくも優しい映画だったと思うんですよね。普通の人間のようには生きられない、もしくイマイチ適応できないでいる人間たちが、それでも自身を曲げずに「生き方」を模索していくような。

劇中では何十人何百人と死んでるんですけど、爽やかな終わり方をしている辺りが、個人的には好みでした。この映画のベンアフこそ「身体だけはデカイ木偶の棒」っていう俺の好きなベンアフ100%な役作りだったりして、最高でしたね。ヒロインのアナ・ケンドリックのイモっぽい感じも凄くキュートで。ちょっとパッと見た感じで舐められがちな作品なんですけど、俺はメチャメチャ好きですね。

 

 

11位 マンチェスター・バイ・ザ・シー

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の画像検索結果

 

職場でこの作品がレンタル開始されたとき、流しっぱなしになってるモニターで予告編やってたのでボーっと見てたんですよ。マジで泣きそうになりました。涙声でレジ打ってました。狂人かよ。

凄く優しい視点を持った映画だと思います。ケイシー・アフレック演じる主人公は、過去辛い出来事があり、生まれ育った街から半ば逃げ出すようにして、少し離れた郊外でその日暮らしのような生活をしているんですが、ある日兄が亡くなります。そして遺言書に兄の息子、パトリックの後見人に指名されていたのが判明した所から物語は始まります。

こういう書き方から始まると、主人公がそのトラウマを克服するという所が物語の着地になりがちなんですが、この映画では「立ち向かえない」という選択肢を選ぶ事を全く否定していません。”逃げない””変われない””応えられない”。そのどれもを肯定してくれる作品であったのが、個人的には凄く感動した所です。誰もが持っているであろうトラウマや後悔。それらは恐らく皆が一生抱えて生きていくしかないんだけど、その「弱さ」を受け入れながらでも生きていく事は可能じゃないか、それだって克服したと同義なんじゃないか、というこの映画のメッセージに凄く胸を打たれました。

この街で起きるすべての出来事が、彼にとっては辛くて、でも心地よさもきっとあって、だからこそ思い出しそうで余計辛い。人生を捨てかけていた彼が「ほんの少しだけ”逃げない”」を選択した時に、この街に広がる海の厳しさと雄大さに打ちひしがれたというか何というか、そんな感じです。主演のケイシー・アフレックも素晴らしい演技でした。精神が肉体を持て余してる感じの挙動に味があった。

 

 

という事で、20位から11位でした。11位のマンチェスター・バイ・ザ・シーとかはどうにかして10位に入れたかったんですが、もういいです。全部実質1位なので。全部オススメ映画です。全員見ろ。

 

次回は10位から1位の発表です。俺が生きていれば。