スパイダーマン:ホームカミング

switchが手に入ってしまったので延々とスプラトゥーンをやっていました。時間がドブの様に消費されていく。若干間隔が空いてしまいましたが、映画はちょっとずつ見ているので、感想を書きつつスプラトゥーンやりつつって感じです。

今回はマーベル・シネマティック・ユニバースの最新作です。お盆でメンズデーという事で相当混んでるのを覚悟して実際ロビーはメチャメチャ混んでたんですが、みんな「怪盗グルー」で結局30人くらいのお客さんでした。それでも超混雑の部類に入る。

 

 

スパイダーマン:ホームカミング

ポスター画像

解説
サム・ライミ監督&トビー・マグワイア主演の「スパイダーマン」(2002~07)、マーク・ウェブ監督&アンドリュー・ガーフィールド主演の 「アメイジングスパイダーマン」(12~14)に続き、3度目の映画化となる新たな「スパイダーマン」。主人公スパイダーマン=ピーター・パーカー役には、「インポッシブル」のトム・ホランドを抜てきし、「アベンジャーズ」シリーズをはじめとした、同じマーベルコミック原作の作品同士で世界観を共有している「マーベル・シネマティック・ユニバース」に参戦。16年に製作・公開された「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」で初登場を果たした後のスパイダーマンの戦いを描く。ベルリンでのアベンジャーズ同士の戦いに参加し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったことに興奮するスパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカーは、ニューヨークに戻ったあとも、トニー・スタークからもらった特製スーツを駆使し、放課後の部活のノリで街を救う活動にいそしんでいた。そんなニューヨークの街に、トニー・スタークに恨みを抱く謎の敵バルチャーが出現。ヒーローとして認めてもらい、アベンジャーズの仲間入りをしたいピーターは、トニーの忠告を無視してひとりで戦いに挑むのだが……。悪役のバルチャーを演じるのは、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のマイケル・キートン。監督は、ミュージックビデオ出身で「クラウン」「COP CAR コップ・カー」で注目された新鋭ジョン・ワッツ

 

監督 ジョン・ワッツ 「COP CAR/コップカー」

脚本 ジョン・フランシス・デイリー 「お!バカンす家族」「モンスター上司

原作 スタン・リー 

制作 ケヴィン・ファイギ

音楽 マイケル・ジアッチーノ 「カールじいさんの空飛ぶ家」「ローグ・ワン

撮影 サルヴァトーレ・トチノ 「インフェルノ」「チェンジング・レーン

編集 ダン・レーベンタール

   デビー・バーマン

制作国 アメリカ

出演 トム・ホランド 「シビル・ウォー」「借り暮らしのアリエッティ

   マイケル・キートン 「バットマン」「スポットライト」「バードマン」

   ジョン・ファブロー 「アイアンマン」「シェフ」

   ロバート・ダウニー・Jr 「アイアンマン」「トロピック・サンダー」

 

 

90点

 

みんなが面白いと言ってる映画を俺が見て「面白い」と思うことに一体何の意味があるのかっていう事ですよ。多分ないですね。そういう映画です。

俺、「COPCAR/コップカー」がメチャメチャ好きなんですよ。監督のジョン・ワッツの前作に当たる作品なんですけど、自分たちのすぐ近くに実はとんでもない悪がずっと潜んでいた事を知ってしまった少年の話、っていうのが「COPCAR/コップカー」では語られていて。そしてそれと共に描かれるのは紛れもない少年たちの成長譚でもあるんです。普段通りの「生活」と表裏一体かのように、理不尽で唐突な不幸や死は必ずそこにはあって、それを体験として身を持って知ってしまい、そしてまた「生活」へと傷付きながら帰っていくという、暗いしマジでどうかと思うくらい罪なき血は流れているんだけど青春な味は確実にするっていう点で「COPCAR/コップカー」は今までにないジャンルの映画だったと思うんですよね。ケヴィン・ベーコンも出てるし。

 

去年の新作映画ランキングでもちょっとだけ感想を書いてます。

askicks1248.hatenablog.com

 

で、今回の「スパイダーマン:ホームカミング」でも、このテーマは一貫して描かれています。実は自分ひとりの力では到底適わないような大きな力を持つ「悪」はすぐ近くに存在していて、自分自身の力には限界があること。自分自身の力では救う事のできない人がいること。そして「理想と現実」には大きなギャップがあること。だからこそ自分ができる事に自覚的になって、その中で最大限の力を発揮できるように努めること、こういう所で、主人公ピーター・パーカーの成長を語っているのが、今作の醍醐味だと思います。

思えば今回は"父親"な役回りだったトニー・スタークも、自分が売っていた武器が、実は守りたかった人々を苦しめている原因の一つになっていた事を知る事で「理想と現実」のギャップに苦しみ、自分にできる事ともう一度向き合い、そしてヒーローとして覚醒するという流れは、物語のムードもそうなんですけど、結構アイアンマンと似ている部分だったりしますよね。ピーターこそがスタークの後継者としてアベンジャーズを支えていくという前フリとも考えられますし。

 

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それに絡めてって感じで、俺がこの映画が好きなのは、もうホント単純に「笑って泣けて超楽しいヒーロー映画」してるって点もあって。本筋のアベンジャーシリーズ、特に直近の「シビル・ウォー」でアベンジャーズのメンバーの大半がいなくなって、シリアスなムードがかなり強まってた訳じゃないですか。DCユニバースも、「ワンダーウーマン」で一区切り付いたみたいですけど、ずっとダークでシリアス路線は強めで。で、ここにきてやっとアイアンマン初期の痛快娯楽エンタメに戻ってきた!って感じがあって「俺はコレを見たかったんだ!!」感は結構爆発してしまいました。ヒーローを相対化に見る様なヒーロー映画も嫌いではないんですけど、やっぱり底抜けに楽しい物であってほしいし、そういうのが好きなんですよね。アメコミ映画って。俺って。俺ってそういう人じゃないですか。俺って。

 

あと、どうも悪役が弱かったマーベルシリーズに、シリーズ史上最高にキャラクターの立った鳥おじさんことヴァルジャーの存在感ですよね。

 

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まず、ビジュアルが最高にかっこいい。メカメカしいデザインプラス、ヴィランがコスチュームを脱ぎながら工場に降り立って歩き始めるまでをシームレスに何度も見せてくれるあのシーン一発で俺は飯が食える。っていうか今回マイケル・キートンがキレッキレだったんですよ。迫力ある演技もありつつ、己の生活のために始めた裏稼業がいつの間にか後戻りできない所まで来てしまっていう所も含めて彼も被害者なんだという所で悲しさも感じるし。別にこの人はアベンジャーズの転覆や宇宙支配なんて狙ってる訳じゃないんですよね。

あくまで「俺の生活のすぐ裏側にいそう」感で、大人の怖さを見せ付けてくる感じっていうか。中盤にピーターとバルチャーが車内での会話シーンがあるんですけど、たった5分くらいのシークエンスで、この映画のレジェンド感を150段階くらい上げてるんですよ。やっぱマイケル・キートンの演技がメチャメチャ良い。「バードマン」も「スポットライト」もメチャメチャ良かったですからね…。

 

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終盤、ピーターが最後に取る選択も、ヴァルジャーに「ヒーローは俺たち下々の人間の事なんか気にも止めていないのさ」というセリフに呼応した行動ではあるんですけど、そこに至るまでに、船での一件以降のピーターに『普通の生活』をしっかりさせているという所が結構大事なポイントになってた気がします。

スパイダーマンとしての活動をスタークに認めてもらう為に、ピーターは自分の生活や将来を犠牲にしてまでヒーロー活動に勤しもうとする訳なんですけど、そこで自身が見失いかけていた「自分を守ってくれていた人たち」の存在に気付くんですよね。そしてそこで、自分の生活そのものの楽しさや豊かさをもう一度知る事になって。そうやって世界の平和も、自分の身の回りの人間たちの平和も、すべてが等しいんだという最後の展開にすごく説得力を持たせていた展開だったと思います。あのスーツ、15歳が着るにはちょっとゴツイですからね。

あとはもう、展開を追う毎にスーツがパワーアップしていくのではなく、最後に自作のクソダサいスーツが登場する下りとか、ジョン・ファブローが生き生きしてて俳優としてもメッチャ好きとか、久々に「アイアンマン」以来の不器用アームの登場に超テンション上がるとか、もう1回言いたいんですけどマジでマイケル・キートンがキレッキレだとか、今度こそ本当に殺されるかもしれない立場になっても、それでも立ち向かっていき、ぶっ飛ばされ、それでもまた立ち向かい、ぶっ飛ばされ、を繰り返すから俺もうマジで終盤ずっと涙目だったとか、もう全部良かったです。全部。

何度倒されても、それでも自身の中にある善の気持ちに突き動かされ、校内の薄暗い廊下を駆け抜けるピーターがそこにいるんですよ。マジでお前がヒーローだよ。根性と忍耐で戦うヒーロー、それがスパイダーマンなんだよ。もう文句なしの2017年度最重要作品なのは間違いないです。最達高奈。最&高 THE RED RAINでした。

 

 確かサム・ライミ版のこれだけは映画館で見たんですよ。みんなかわいそうでした。

 

 なんかもう前準備に5本くらい見ておかないと楽しめない感じにはなってきてます。