お風呂場恐怖のパンデミック

最近風呂にばかり入っている。 朝起きたらまず風呂、外出から帰ってきたら風呂、ボーッと考え事をしたい時に風呂。風呂掃除も当然僕がする。一日に三回入る日もあり、最早生活の中心が風呂になっている。 あまりに風呂ばかり入っているので母親から水道代が勿体無い云々と小言を貰う。それでも無視していたら最近は「お前はしずかちゃんか?」と言われた。一瞬、母親の口から聞いてしまったこともあって、「俺はしずかちゃんだったのか?」と疑いもしたが、思い返してみても残念ながら僕は三次元の世界に住む人間であったし、児童ポルノ法にも僕の入浴シーンが引っかかる恐れも心配も全く無い。多分何かしらのワイセツ何とかと呼ばれる別の法律に引っかかるだけだ。 屈折した青春を送り、何者も信じることも出来ないような育ち方をした僕ではあるが、100%の自信で言えること、それは「僕はしずかちゃんではない。」くらいのことしか無い様にも思える。つまり何が言いたいかというと僕はしずかちゃんじゃねえよ。 子供の頃なんかは風呂が嫌で嫌で仕方がなかったが、やはりこれも「大人になる」ということに含まれているのだろう。 思い返してみれば、7歳の頃の僕にとって「風呂」というものは恐怖そのものだった。湯船に入れば「ここで少しでも足をバタつかせれば溺れ死ぬこともあるのではないか」という疑念に苛まれ、髪を洗うとなれば「目を瞑っている間に誰か知らないおばさんが包丁を持って後ろに立っているのではないか」と疑心暗鬼になり、唯一の楽しみだったマイお風呂イベント「湯船のお湯を洗面器で掬って命の水の如く浴びる様に飲む」も、一緒に入ったおじいちゃんに見つかって怒られた時から、無期限の自粛となってしまった。 今思い出すだけで何て不潔感満載のイベントを開催していたんだと若干引く思いだが、そんな中でも地味にお風呂関係のエピソードで嫌だった思い出が「修学旅行での男子全員での入浴」。 僕は当時はかなり早熟な子供で、多分小5くらいから陰毛が生えてきていたと記憶しているのだが(あ、やっぱり俺しずかちゃんじゃねえじゃんホラ)普段、同世代の男子の股間なんざ見る機会は当然無い訳で、いざ修学旅行当日の入浴時における「御開帳」においては周りの男子のつるんつるん具合に愕然としたものだった。しかも、僕はそれを自慢気に見せびらかすタイプの子供でも無く、どちらかというと恥じらいを持ったしずかちゃんの様な(あれ、やっぱり...?)小学生だったので、股間をタオルで隠すのにとにかく必死であったのを記憶している。 まあそんな嫌な思い出でも大人になるにつれて薄れていき今ではこうして...って締めようとした所で思い出したけど、その修学旅行での入浴の時、僕の陰毛があろう事かクラスの知ったかぶりでお調子者の小滝くんに見つかってしまっていたようで、皆で湯船に浸かっている時、しきりに「ここからはタオルで隠すのやめて見せあおうよ」とか「ちょっとみんな立ち上がって見せてみてよ」とかどうにかして僕のGスポットお披露目会をさせようとしてたな。今考えるとセリフだけはなんかエロい。