好きだったテレビ番組

クイズ番組が好きだった。今に繋がるような知識をそこで得たのか?と聞かれれば全くそれは無い。純粋にクイズ自体が好きだったのでは無くて、クイズ番組に写される世界中の映像や、番組内で行われる楽しそうなゲームに出演者達が喜々として取り組むような、あのクイズ番組特有の「遊び感覚」が子供ながらに好きだったんだろう、と今になって思う。

例えば「クイズ世界はShow-by show-by」は大好きだったし「マジカル頭脳パワー」はボードゲームも親にせがんで買ってもらい「世界不思議発見」は今でも毎週欠かさず観ている。小さい頃は好き過ぎて「世界はshow-by show-by」のスロットを自分で作った。これは番組内では正解した人には事前にスロットで止まった得点分、ポイントが入る仕組みなのだが、スロットに書いてある顔(50ポイントなら笑い顔、10ポイントなら泣き顔)を紙に書いた。それから、次はなんとかして自分でスロットを作ろうと思い、近所の材木屋からもらった木くずと割り箸、輪ゴムで悪戦苦闘しながらも作った。だが、見てくれもかなり悪かったので結局は飽きて使わなくなってしまった。そこから少しして、「マジカル頭脳パワー」の新作のボードゲームを買ってもらったがそれも以前とは比べものにならないほど、すぐに飽きてしまった。

何故、あの時あんなに速く飽きてしまったのだろう、他にも理由があったんじゃないかと今まで疑問だったが、いま気付いた。

「あのボードゲームはクイズを出す側と出される側がいるから成立するのであって、1人遊びに適した遊びではない」

しかし、当時の僕は妄想には飽きることは無かった。いつでも番組からオファーが来てもいいように日々イメージトレーニングに勤しんでいた。結局は頭の中で「スロットでポイント決まってしまうから、最終的には運になる。ただ、最初に正解し過ぎてポイント貯めすぎると、山瀬まみ辺りから終盤で横取り40萬でポイント奪われて逆転されちゃうから、まず最初の数問は様子見かな」という結論に達したのだが、結局僕にオファーが来ることも無く、番組は終了してしまった。
好きな芸能人もクイズ番組に出ている人だけだった。当時の僕は子供のくせにアニメもほとんど観ず、テレビを写せばクイズ番組しか観ていなかった。僕の中で逸見政考さんが芸能人の中で一番好きな人でヒーローだったし、番組内の回答者で、司会の逸見さんにいつも食ってかかる山城新吾さんが悪役の親分の立ち位置だった。今で言うと誰になるんだろうか?ちょっと想像がつかない。

今、お二方ともお亡くなりになってしまった。ゲストでよく出演していたジャイアント馬場さんの独特なキャラも好きだったのだが、氏も逸見さんと同じ時期に亡くなってしまって、当時は本当に悲しかったし、今思いだしてもそんな気持ちになってしまう。

もし10年前に戻れたとして、誰かに好きな芸能人は?と聞かかれれば「逸見さんと山城新吾と、あとジャイアント馬場!」と答える小学生にもう一度なりたい。当時の僕は実際にそう答えていた。僕はそんな子供だった。