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寝るというのは我々能力を持たない人間だけの拷問で

「実はこの世には僕たち一般人には絶対に目の当たりにさせてはならない案件が沢山あって、宇宙人も普通にいるし、地球に実は侵略して来てるし、人間も瞬間移動も時間移動も出来る能力を持っている能力者みたいなのはいる。で、僕が布団で寝付けずにゴロゴロやってる時に、実は宇宙人は襲いに来ている。宇宙人は常に姿を消す事が出来るんだけど、地球人を襲う時は必ず実体化してから、そして夜でないと能力を発揮できない。ただ実体化する際に放たれる電磁波は地球人が能力を発揮する時と同種類の物だから、その瞬間に警報が鳴って、対異星人課所属の能力者の警官たちが瞬間移動で一瞬で駆けつけてくれる。撃退した後は一般人には知られてはいけない事なので、僕には代わりとなる『記憶』が差し替えられる。その記憶は一貫性の無いデタラメな物なので、目覚めると違和感を感じる事が多々ある。」


…以上が、小学生だった私の『夢』の解釈だった。


もうほぼ全部がどこかのアニメやドラマからの流用なんだろうけど、夢のデタラメな感じに「第三者の介入」で持って自分を納得させていたのかと思うと、今では何となく理解出来る。
因みにこの事実に気付いて誰かに口外するとまた警報が鳴って、能力者にどこかに連れて行かれ、『交通事故』や『殺人事件』や『自殺』といった死因の記憶を、気付いてしまった人間の家族や友達に注入する。注入された側は完璧な記憶があるから、失踪した人間が事故や事件に巻き込まれた事を疑わない。で、その日のニュースでは全員が全員、記憶の中にしかいない死体を囲みながら「本日未明に◯◯高速で事故があり、◯◯さん(12)が体を強く打ち死亡しました」と報道される。当の本人はどうなったかは誰にも分からず…みたいな。


思い返せば「夢」のコントロールの出来なさを本当に恐ろしく感じていた。
今まで見た一番怖かった夢なんて「真っ暗なオペラハウスみたいな所のステージの真ん中にだけ誰かが立っていて、『誰?』って声をかけるとステージ上のライトに一斉に電気が灯って、オーケストラがベートーベンの運命を大音量で演奏すると共に4mくらいある森口博子が振り返って聞いた事もない言語で歌いだす」だったから、『宇宙人に!宇宙人に!』と夜中に大声で泣きだすのも、我ながら仕方なかったと思う。


朝になって母に相談しても「夢っていうのはその日起こった事が関係してるのよ」と言われるばかりで、全くピンと来なかった。私の小学校生活のどこに4mの森口博子が関係してるのか思い当たる節も無ければ対策の立てようが無いし。*1
で、「夢を見ないように、夢を見ないように」と祈りながら毎日寝る様になって1ヶ月くらい経ったころ、「笑っていいとも!増刊号」にレギュラーで出演してた森口博子が、フリートークで「タモリさんタモリさん…実は…」と言ったきり固まった数秒後に「やっぱり何でもないです!」と言って笑っていたのを見て、更に震えてしまった事も追記しておきたい。


森口博子は私と同じ夢を見ていた。
森口博子はあちら側の人間で、テレビを通して私に警告を送っていた。


それ以来、今になっても森口博子が本当に怖くて、テレビに映るとすぐチャンネルを変えてしまう。最近は森口博子がテレビに殆ど出ないので、安眠できてるけど。
あと、「大人数のオーケストラ」とか「広いステージの中の真ん中に当てられるスポットライト」とかも怖い。単なる「夢」が大人になった今でも、トラウマとしてずっと障害になり続けている。


それから、私は監視下にあるんだ…という妄想から抜け出す事には成功するんだけど、代わりに今度は「ノストラダムスの大予言で全員死ぬ」という恐怖に囚われる話は、じゃあまた別の機会に。

*1:クラスメートだったブスのくせに背だけはスラッとしてた岡田さんを見ない様にしても、あまり効果は無かった。