UFO特集も然り

小さかった頃から怖い物が苦手だ。一言に「怖い」と言っても色々な「怖い物」はある訳ではあるが、ここではホラー映画だったり、オカルトだったり、そういうのを指す。勿論毎月毎月決まった日に送られてくるクレジットカード会社からの返済通知であったり、母が次にいつハローワークに行けとうるさくなってくるのかであったり、「今日もアルバイトご苦労様」と風呂に入った時に将来の事をふと考えたりと、日常生活にも恐ろしい物は沢山あるし、そっち方面の事を書いても良いのだが、コレを書く事のストレスにより私の皮膚にブツブツが出来て「あっ、皮膚が!痒い!堪らなく痒い!」で終わるのはあんまりなオチであると思うし、その様なブログは多分誰も読みたくはないだろうな、とも思うので、書かない。もっとコンディションの良い日にする。

今より昔の方が所謂「心霊スポット巡り」だったり「御宅の心霊写真、拝見しちゃいます!」的な番組が多かった気がする。夜8時になれば、ほぼ毎日どこかしらのチャンネルで怖い系統の番組がやっていたはずだから、やはり当時はそういう流行りがあったのだろう。ウチの家族は私を覗いて全員がそういう系統の番組が好きだったので、それに付き合わせられる形で嫌々見ていた。「奇跡体験アンビリーバボー」の心霊写真特集のせいで、累計何日間、私が夜トイレに行けなくなったか分からない。フジテレビには反省する様に。

しかも、ああいった番組は散々怖がらせておいて、最後には「この幽霊は後でスタッフにとり憑かせました」的なフォローも特に無く「いや~怖かったですね~ハハハ...次回をお楽しみに!」とスッと終わるので「各自でその恐ろしさを消化しておいて下さい」とでも言わんばかりの無責任さに、子どもながらに毎週毎週頭を抱えていた。最後に写真に写っていた幽霊がハッキリと着ぐるみと分かる姿でスタジオにやってきて「ま~た来週~」と所ジョージと手を降って終わる様なエンディングであれば、子どもの頃の私も何とか耐えられたはずだ。

怖い番組を毎週見る環境にいれば、だんだんとそういう物に対して耐性が出来るはずであるが、何故か私の場合はそのような事は一切無かった。PSのソフトのパッケージに記されている『このゲームには暴力描写やグロテスクな表現があります!』と書かれた大きな『!』マークを触るだけでもう怖い、ホラー映画のパンフレットに書かれてある「この作品は心臓が弱い方はご遠慮下さい」の一文だけでもう夜に眠れない、友達の家の和室のシミを見ただけでもうその家には二度と行けない。小学校にあった「学校であった怖い話」的な児童向けの本も意味不明だった。何故この日本の未来を託す事になる子どもたちが健やかな日々を送る事になるはずの小学校図書館に「コックリさん失敗で大惨事」的な本を置くというチョイスが出来るのか。全く理解できない。

夜はオカルト番組、昼間の学校では怖い本。ならば朝は大丈夫かというと、そんな事は全く無い。私は「パーパラッパッパパラーパーパラッパッパパラー さー皆さん準備はいいですかー(ハーイ!)」を毎日よく分からない帽子をかぶったよく分からない司会の人が唄うOPを毎日一緒に唄うくらいに「ポンキッキーズ」という番組が好きだったのだが(あのよく分からない司会の人がスチャダラパーの人だと知ったのは、ポンキッキーズの司会が爆笑問題に変わってからだった)あの「楽しい楽しい子どもだけの時間」にぶっこまれる「トイレの花子さん」というミニアニメが本当に怖くて苦手だった。

一応子ども向けのアニメとして、子どもたちを襲う妖怪を正義の味方の如く花子さんが追っ払ってめでたしめでたし、の話もあるのだが(それでも充分に怖かった)朝8時に放映されるアニメなのに、何の救いも無く終わる話もあるから辛かった。

私が覚えているのは、確か「主人公は今年小学校に入学する女の子。でも家が貧乏でランドセルが買って貰えないかもしれない。と、偶然道端に落ちていた綺麗な赤いランドセルを発見(もう完全に怪しい)。早速部屋に持ち帰って背負ってみると体にピッタシ合う。これで学校でも皆から笑われずに済む・・・とそれから何日か経ったある日、どうも自分の部屋から物が無くなっている。おかしい、さっきここに置いた筈の本も無い、靴も無い。どうして買ってあげた物を無くすの!とお母さんにも怒られる。そういえば急に物が無くなりだしたのは、あのランドセルを拾った日からだ…。そしてある日、部屋から何だか奇妙な音が聞こえる。ソッとドアを開けてみると、何と拾ってきたあのランドセルが机をバリバリ食べている所を発見。そのままの勢いで、その女の子もランドセルに食べられてしまいました・・・」で終わる。本当に終わる。最後に花子さんが世にも奇妙な物語タモリの如く「次にあなたが背負うのは、この人食いランドセルなのかもしれません・・・」の一言。直後にPちゃんが登場で「ピッピー!!ピッピッピー!!」今でも何のつもりだったのか分からない。


もうこんな話の直後ではPちゃんの挙動も全く楽しめない。どんなにガチャピンがアスリート並みの動きで頑張っても、どんなにコニーちゃんとのジャンケンが楽しくても、どんなに「なっつやすみは~やっぱり~短い~」が名曲でも、「このコーナーが終わったら花子さんなのでは…」という疑念がいつまで経っても拭えない。なのでテレビが点いている時は「怖がり」にとっては、一瞬も気が抜けなかった。


しかし、唯一そういう怖い番組を見ていて面白いと思えた瞬間があって、それは「奇跡体験アンビリーバボー」の地球滅亡説特集の回。スタジオで「模型の地球に隕石がぶつかって来る」という下りの最中に、ビートたけしが「来た!恐怖の発泡スチロール!!」と言ってCMに入った番組内の数分間。文字で書いてみるとそうでもないが、当時の私は笑い転げていた。「絶対的な死」ばかりを伝えてくる番組の中で、そういう「下らないやりとり」が反動で凄く面白く感じたのかもしれない。花子さんでも、マスコットの割には全く可愛くないPちゃんをそういう風に使えばもっとPちゃんの人気は出ていたはずだ。…さっきからPちゃんが番組内でクソ程役にも立たなかった前提でこれを書いてしまっているが、知らない所で人気が出ていたのならゴメンさない。確かに私もPちゃんに対して気になるな、知りたいな、という事はある。臓器の位置とか。