2019年新作映画ベスト20(11位から20位)

ワースト編から少し時間が空いてしまいましたが、職場での年末年始セールも一段落ついたという事で、今年も2019年に見た新作映画のベスト20を書いていきたいと思います。ワースト編だけ書いて「映画を減点方式でし楽しめないダークナイト大好きな小太り大学生」みたいなのには絶対なりたくなかった。

 

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因みにこちらが去年のベスト映画10本です。
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とりあえず今回は11位から20位までの発表という事で。本当は20位にどうしても入りきらなかったけど好きな映画も10本くらいあって、記録という意味で書いておきたかったんですけど、面倒になったのでもういいです。良かったですね。

 

では20位から。

 

20位 劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ

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『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』本予告

 

いつの間にか劇場版も4作目になったシリーズなんですが、飽きを全く感じないのは本当に脚本が上手いんだと思う。基本的には、新入生がやってきて、部員同士が衝突して、合宿して、オーディションがあって、和解があって、本番があって…と、大体な流れは1期テレビシリーズと共通しているんです。1度見たイベントをもう1回ちゃんとやるって、普通だったら見る方はキツイ訳じゃないですか。

それでも2時間の合間に新キャラクター達をしっかり描いて、3年生を中心としたこれまでのキャラクターの掘り下げもやって、ちゃんとエモーショナルな場面があって…と、すでに前にやったはずの展開なのに、微妙に見せ方を変えて全然違う場面に見せてしまうのって、普通に凄いなと。公開が今年の4月で、もう半年以上前の映画なんですが、未だに今年の3年生、特に先輩4人組の事を考えてしまう瞬間があったりします。全国…全国なあ……。

そして勿論、続編ずっと待っています、という事も含めて絶対今年の20本に入れたい作品でした。

 

19位 洗骨

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【映画 予告編】 洗骨

 

撮影が素晴らしかったです。亡くなった方の遺体を再度掘り起こして、家族や友人の親しい人達が海で骨を洗い清める"洗骨”という風習は今でも実際に行われているそうなんですが、「さっきまで日常生活を送っていた場」から「骨を洗う場」に家族全員で向かうシーンが凄く印象に残っています。”生”の場から”死”の場に確かに近づいていく物々しさと恐ろしさ、ほんの少しのワクワクを画面から確かに感じました。

お笑い芸人監督作だけあって笑えるシーンも多いんですけど、クライマックスの洗骨シーンから、家族のひとりである妊婦が産気づいて、家族みんなでお湯やらタオルやらを搔き集める展開がメチャクチャ楽しかった。単純なコメディになってるだけじゃなくて、生と死の境目をあやふやにさせるシーンというか、生んだり死んだりを繰り返す人間の営みそのものへの賛歌で締めてるっていうのがメチャクチャおしゃれだし、全く知らない風習を通して、自分自身の生き方と重ね合わせて感じられるのって、本当に映画を見る楽しみってここにあるんだよな~というのを再度実感した。

ここ数年のお笑い芸人の監督作品の中で一二を争うくらいに好きな映画です。

 

18位 天気の子

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映画『天気の子』スペシャル予報

 

好きなシーンは沢山あるんですけど、新海監督の前作「君の名は。」を確実にブラッシュアップしてきた作品っていう印象が強いです。例えば前作の序盤で瀧と三葉が入れ替わりを自覚してお互いがお互いの生活を楽しんでいくシーンがあったと思うんですけど、2人に恋心を抱かせるには少し描写としては薄かったんじゃないか。または終盤で三葉の中に入った瀧が糸守町の人々を逃がすために奮闘するシーンは、「何をどうすればステージクリアになるのか」の提示が少しあやふやだったんじゃないか。(結局作戦が失敗に終わった後どうやって父親を説得させたのかはシーンとしては無かったですし)っていう2点が「君の名は。」で引っかかる所だったんです。

ただ今作は、「晴れ女として各地に稼ぎに行く」っていう描写で、帆高と陽菜がお互いの人間性に惹かれていくまでを描いていたと思うし、今作の終盤は「あの鳥居にさえ行けばOK」っていう物凄く分かりやすいゴール地点の設定もあって、”見やすさ”をとにかく意識して作られた映画って感じがしました。見た時期も凄く良くて、蒸し暑いけどどんよりとした曇り空の日だったんですよ。ちょっと風も強かったりして。『映画館を出た瞬間の景色』をハッキリ覚えてる映画って、今作しか無かったかもしれない。

 

17位 ゴールデン・リバー

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かなり解釈が分かれる映画なんですが、物凄く苦い大人の青春映画という風に見ました。主役となる4人の男たちはそれぞれに夢や目標(らしきもの)を少しずつ見つけていくのが主なストーリーではあるんですが、この映画からは「夢や目標を見つけること」その物よりも、「夢や目標を見つけたその過程で”出会った人”や”出会った新しい価値観”」の方が重要なんじゃないか?と語りかけてくるような、そんな印象の1本でした。

見た方なら分かると思うんですけど、彼ら兄弟って普通の映画なら終盤で殺されなきゃいけない存在だと思うんです。でもそうはならない。人生には映画のような起承転結や因果応報は無い。彼らは映画が終わったその後の人生でおいて天罰が下るのかもしれないけど、でも今だけは、きっとこれが彼らの人生において最良となる日々の始まりなんだな…と思わせる最後の展開に思わず涙してしまいました。

 

16位 A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

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”死”そのものを臨時体験できたり、近しい人の死を前にした人の話が俺は好きっぽいな。この映画はケイシー・アフレックの幽霊になった疑似体験をしながらそこら辺をフワフワしたり悲しい顔をする映画なんでまさにドンピシャだった。

「死んだ後ってどうなるんだろう」みたいな事って今も考える瞬間があって、”死”に対しての思い入れって誰にでもあると思うんですけど、この映画は劇中ずっと「死は無力だ」って言ってるんですよね。死は終わり以外の何物でもない。それを人を通して、言葉を通して、時間を通してと、あらゆる手段で訴えかけてくるのがこの映画なんです。最後のシーンの切れ味も潔くて凄く良かった。アート系の作品っぽいイメージで幻想的な絵も楽しいんですけど、個人的には幽霊のロードムービー映画って感じもしました。地縛霊なんで殆ど動けないんですが、横軸ではなくて縦軸のロードムービーって感じで。分かりにくいですよね?分かってもらおうと書いていないんです。今。

 

15位 女王陛下のお気に入り

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『女王陛下のお気に入り』日本版予告編

 

楽しい。とにかく楽しい映画だった。主演キャスト3人のアンサンブルが素晴らしくて、レイチェル・ワイズが終盤にかけて暗黒騎士ガイア攻撃力2300みたいな風体になっていくのがメチャクチャ良かった。当時の人間では絶対使っていない言葉遣いが出てきてて、時代考証的には無視してる部分もあるそうなんですが、人工的な照明が存在しない館内で、窓から差し込んでくる日光のフワッとした優しい灯りと、夜間の吸い込まれそうになるくらいの深い深い闇、この光と闇のハッキリした対比が凄く心地よくて、何でもないシーンにも思わず拳に力が入ってしまう映画でした。

最後のうさぎちゃん踏み付けのシーンからの顔アップが物凄く不吉なんで、今度見る時は正しい選択肢を選んで、ちゃんとみんながハッピーになれるトゥルーエンドでエンディングを迎えたいですね。

 

14位 存在のない子供たち

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映画『存在のない子供たち』予告編

 

発展途上国における子供たちが自由意志を縛られ、貧しくも懸命に生きる姿を描いたドキュメンタリー風ドラマ…と、見る前の何となくのイメージで思っていて、実際そういう部分も当然あるんですけど、”エンタメ”という観点から見てもメチャクチャ面白い映画でした。

こういう映画っていくら「こんなに貧しいんですよ」「こんなに苦しんでいるんでよ」と説明されても、心のどこかでは”遠い国で起きている遠い出来事”という風に見てしまう所が俺にはあるんです。だけど、この映画では最終的に日本に住んでいる俺の生活圏内にも共通点がある話だし、また同時に、一人ひとりのちょっとした心がけで世界は良い方向に向かっていけるんじゃないか?っていう、すごく普遍的なメッセージに着地していくのが本当に素晴らしかったです。

脚本も秀逸で、序盤に主人公の父親が子供にする仕打ちを見せておいてから、中盤で主人公もまた父親と同じようにとある仕打ちをいつの間にか幼児に行ってしまっている、という見せ方で「貧しさの輪廻」を作劇している所も本当に印象深くて。で、そんな残酷なシーンを見せておいてからの終盤の畳みかけ………1位!!!ほぼ1位!!!

 

13位 ザ・バニシング 消失

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映画『 ザ・バニシング−消失−』予告編

 

”怖い映画”はいくつも挙げる事が出来るんですが、”恐ろしい映画”は去年のヘレディタリーと今作くらいしか思いつきません。底なしの恐ろしさ。

例えば狂人に家に火を付けられた!とか、道を歩いていたら飲酒運転の車が突っ込んできた!とか、”どうしようもない悪意”にある日突然対面する事になったら、我々は何ができるのか?みたいな事って考える瞬間がある訳じゃないですか。俺にはある。で、この映画では「そんなもの無い」って言ってるんですよ。悪意や殺意が偶然あなたの目の前に転がり込んできた時、あなたは何が出来るか?何も出来ない。死ぬしかない。「今日は悪意と対面しません様に」と祈ること以外に出来ることはない。そういう映画なんで、見た事をかなり後悔しています。今年の20本に挙げてはいますが、二度と見たくない。

 

12位 ハンターキラー 潜航せよ

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潜水艦映画にハズレなし!というのがまた1つ証明されてしまったんじゃないでしょうか。

潜水艦映画の醍醐味ともいえる「限定空間内におけるバレるか?バレないか?サスペンス」のツボを押さつつ、地上からの別隊の動きも絡めながら、水中と陸の2方向から物語を展開させていくので中だるみが一切無いんです。そして終盤の力対力のパワー勝負ではなく、”絆”の力で戦闘を回避できるのかどうかに焦点を絞った所も、2019年における戦争映画の在り方として凄く感心させられました。今年の最上級のB級映画その1。

 

11位 オーヴァーロード

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「ハンターキラー」が潜水艦モノとネービーシールズの地上戦モノのハイブリットなら、「オーヴァーロード」はナチスとゾンビと爆発の三重奏です。

とにかく「こういうジャンル映画って、特にこの要素が入ってると嬉しいよね!」みたいなのが全部入ってるような映画で、B級映画のテーマパークみたいな1本になってるのが超楽しかったです。「ナチス映画だったら…市街地に潜入した後に悪徳将校が女を抱こうとするの阻止するのいいよね!」「ゾンビ映画だったら…友人が異形な怪物になっちゃうのを容赦なく殺すのいいよね!」「最終決戦は…俺に構わず先に行け!だよね!」みたいなのが、全部全部入ってますこの映画。最高。

序盤と終盤に「主人公が必死に逃げる様を主人公の顔アップでワンカット風に見せる」っていう共通した演出があって、ここが”祭りの始まりと終わり”みたいな区切りになっているんですが、終盤の逃げるシーンで少し泣きそうになってしまいました。「ああ……楽しかった映画が終わっちゃう……」の気持ちでいっぱいになった。今年の最上級B級映画その2。

 

ということで、2019年の新作映画11位から20位まででした。順位とかいってますけど、20位より上なんかマジで全部1位みたいなものですからね。オーヴァーロードが1位です。ありがとうございました。

次回の更新は必ず近いうちにやりたいなあ、という感じです。