2018年新作映画ワースト10

2018年新作画映画、ワースト10です。タイトルにも書いたんですけど、どうせ誰も読まないので確認の意味を込めてもう一度書いてみました。

 

なんていうか、別にこの記事を見て「じゃあ見よう」とはならない訳じゃないですか。まあこの中で見たことがあった作品があれば「そうそう!」って喜んでもらえれば嬉しいですけど、所詮「この映画には四肢断裂がないからマイナス5億点」とか書きながら1年のベスト映画にアニメを選んでくるようなブログなので、好きな作品があったとしてもね、無視してもらえれば幸いです。

 

じゃあ、ワースト10から…

 

10位 MEG ザ・モンスター

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今年はそんなに飛びぬけて悪い映画って、実はそんなに多くは無かったんですよ。この辺の10位9位とかは、退屈ではありましたけど、そんなに思い入れもないというか。「強いて言えばクソ」ですね。クソではあるんですけど。硬いウンコと下痢便って同じウンコだけど臭いは全然違うみたいな感じあるじゃないですか。それです。

 

何を期待していたかっていうと、やっぱり「サメ映画にステイサムが出る!」っていう所だったんです。とりあえずそこら辺歩かしておけば国くらいなら壊滅できそうっていうステイサムのキャラクターが、バリッバリのB級サメ映画に放り投げた時にどんな化学反応が!?っていうのが凄く楽しみだったんですが、とにかく残念だったのが別にこの映画、ステイサムである必要ないんですよ。「ジュラシック・ワールド」でガキ2人組が乗ってた丸っこい乗り物みたいなのに乗ってサメを追い詰めるステイサムとか、誰も見たくなかった訳じゃないですか?主人公のキャラがスコット・イーストウッドとかでも全然成立しそうだったのがマジで残念でした。

 

ステイサムと並ぶスターっていったらザ・ロックが思い浮かびますけど、「ジュマンジ」は主人公の筋肉隆々の大男の中にオタク童貞の人格が入り込んだ!っていう所で、"ザ・ロックのキスシーンなのにオタクのキスだからキモイ"的なギャグをやると同時に、メタ的な視点も入れたムービースター批評の映画でもあった訳じゃないですか。今作ではステイサムを使う意味が"アメリカではどうやらステイサムが出ると興行的に良いらしい"以上の狙いは感じられなかったんですよね。

 

 

9位 パンク侍、斬られて候

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監督石井岳龍、脚本に宮藤官九郎で俳優陣も有名どころばかりっていうかなり豪華な組み合わせでしたけど、監督と脚本と原作、どれも相性があんまり良くなかった映画です。

 

戦国時代っていう設定の中で登場人物たちが「はら振り党」っていう新興宗教の狂気に飲み込まれつつ、猿が喋ったり、超能力的な力を持つ登場人物がいたりとファンタジー寄りな話でもあるんですが、こういうのってやっぱりある程度制約が無いとダメって感じはあります。個人的には「なんでもありな世界観」って逆に見ててどうでも良くなってきちゃって。物語も段々とカスタトロフに向かってきて最後に爆発!な展開が待ってる訳なんですけど、そこに至るまで侍たちが現代の若者言葉とか、外来語とか使っちゃってるんで、もう最初っからぶっ壊れてる世界観を提示しちゃってるのがキツかったです。

 

原作のセリフ回しの良さという所でクドカンを脚本に起用したのかもしれないですけど、ここは最初は時代劇らしい作劇をやっておいてから、最後にメチャクチャな展開にしていく方が、個人的には好みでした。普通の時代劇をするのであればこの原作を映画にする必要なんてないんですけど。俳優たちは全員メチャメチャ良かったし、所々のシーンでハッとはさせられた(ミュージックビデオっぽい感じではあります)ので、やっぱりそれぞれ作り手側たちの相性の悪さでイマイチな出来になってしまった映画という感じが強いです。

askicks1248.hatenablog.com

 

 

8位 レディ・ガイ

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今年一番デリカシーの無い幼稚な映画つったら文句なしで今作ですね。凄腕の殺し屋がマフィアからの報復で性転換手術を無理矢理やらされて女になっちゃった!っていう所から始まるアクション映画で、ミシェル・ロドリゲスが性転換手術させられる前と後、つまり男役と女役を両方演じたのが醍醐味といえば醍醐味になってます。

 

設定だけ聞くと面白そうな感じではあるんですが、性転換って2018年の今すごくデリケートなテーマでもあるのでかなり慎重に作る必要が絶対あったと思うですけど、この映画からそういうデリカシーは一切感じられなかったです。序盤で登場する男だった頃のロドリゲスも、髭と胸毛とりあえず付けただけの女にしか見えないんですよ。"扮装中ロドリゲス"以外の何者でもないのがまずガクッと来たし、元男だからこそのアクションとかも、この映画では一切なやってくれないんです。

 

アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロンを見た後だとどうしても見劣りする部分はあるんでしょうけど、結局この映画の見所ってロドリゲスがメチャメチャ頑張ってる!しか無いんです。「ロドリゲスが男になりきって女とセックスしてる!」とか「まさかのロドリゲスも起きたらちんちんが無くてびっくり!」とか、そんなんだけ。ロドリゲスもヌードになって、しかも股に偽物のちんちん付けてまで濡れ場やってんですよ。正直、作り手側からのメチャメチャ遠回しなセクハラにしか思えなかったです。この映画自体。

 

ストーリーも「ユージュアル・サクペクツ」型で『現在』と『回想としての過去』が平行して語られるんですけど、その作劇に意味があったとは思えないし、見掛け倒しだけが詰まってる映画って感じでした。一口食べても二口食べても三口食べても餡子にたどり着けないまま食い終わるたい焼きみたいなヤツで、96分でも長く感じました。だって96分も餡子なしのたい焼き食ってられないから。

 

 

7位 フリクリ オルタナ/プログレ

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今年の新作映画で、見る前の期待値と見た後の実際の感想とで一番落差があったのがコレですかね。ムリムリの実を喰った全身ムリ人間になった。

 

pillowsはずっとファンで今作のサントラもよく聞いてたんですけど、この映画においては単純に作り手側の曲の使い方が乱暴で下手だった印象です。劇伴で、とある曲のボーカルオフ版が流れたと思ったら、10分後の次の話ではもう同じ曲のボーカルオン版が流れたり、メチャメチャ良い曲がボーカルオンで流れてるのに、登場人物が海辺に立って「うみ~はひろい~な おおき~い~な~」って被せて歌いだしたり。何?何コレ?さわお何コレ?マジで何をしたいのかがよく分からなかったですね。

 

楽曲のチョイスも謎で、無印でも使った曲が半分くらい、で新しく使用された曲は無印フリクリが公開されてから数年経った頃に発表されたのでもう半分くらいって感じで、どういう意図を持っての選曲なのかが全く分からないんですよ。無印フリクリって楽曲の良さが作品の評価を高めた所が多々あったと思うんですけど、じゃあ今作のオルタナ/プログレでの選曲の中途半端さって何かっていうと、結局無印の焼き直し、あるいは劣化版って感じしかしなくて。

 

例えばpillowsの最近のアルバムだけから曲を選んだり、とかっていう一貫性があれば「無印がアニメファンに与えた衝撃を、今度は今の若いお客さんにもう一度」っていう2018年にこのシリーズを復活させた意味も出来たと思うんです。それが上手くいくかどうかは置いておいても、30代になった懐古オタクからもう1回金取っとこうや!しか感じられない2作目3作目とか、志として低すぎるじゃないですか。

 

演出とか映像面では良い所はありました。オルタナ後半の少しずつ少しずつ周りから人がいなくなって、街が緩やかに死んでく感じの虚無な描写とか、プログレの5話Aパートのキャラクターの輪郭線の太さを均一にせずに描いた所とか。まあ話はあって無いような物なので終始退屈ではあるんですけど、それぞれの話数担当の監督始めとした作り手側の"まだ死んでない目"を感じ取る事が出来た分、全体の作りとしての完成度の低さ、志の低さにガッカリした2本です。あと長い。25分のアニメが6話分×2本でこの内容は正直キツい。5時間もギンギンでいられるかバカ。

 

 

6位 劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人

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名探偵コナン から紅の恋文」は去年のワースト3位に入れてるんですけど、今年もこんな順位です。から紅よりはまだマシだったっていう感じですけど、マシだったなっていう感じです。今年はドラえもんクレしん、コナンの日本アニメの3本柱みたいな作品を映画館で見る事が出来たんですが、見比べてみてやっぱりこの3作の中でも群を抜いて完成度が低かったのが今作って感じでした。

 

結局は、キャラクターの魅了でなんとか作品を持続していくしかない作品だっていう事ですよね。ストーリー自体はまだ「話が進んでるぞ」って事は分かるんですけど、今どういう状況にいるのか、何故今の立場からでは有効な反撃が繰り出せないかとかは、前作と変わらず全部が全部長~~~い台詞だけで説明されて終わりなんですよね。俺がバカで黒人なだけなのかもしれないんですけど、それでも今どういう会話が成されていて、今何が問題になってるのかが理解しにくい場面が多かった印象です。特に公安と警察と検察の組織がどういう風に管轄が異なって何故この事件には手出しできないかを説明する下りでは、それぞれの組織のバッジがデカデカと表示された中で長い台詞で説明してそれでもう終わりだったりして、「名探偵コナン」っていうシリーズをどういう年齢層が主に見てるのかっていう配慮が一切無い所とか、ちょっとどうかと思う演出は多々ありました。この「映像で説明しない」「とりあえず爆発とか隕石とか落としておけばOK」みたいなのを『今度のコナンは大人向け!』とか言ってる訳じゃないですか。

 

この映画では安室っていうキャラクターでみんな愛液をビショビショにさせてるらしいんですけど、思わせぶりな事だけ言うだけで何が魅力なのかさっぱり分からなかったです。大体コイツ小五郎のおじさんの世間的な評判落とすだけ落としといてその理由が「コレくらいやらないとコナンくんが本気にならないから」ってマジクズでしょコイツ。でコナンくんも「やられたぜ!」みたいになって、で、全部終わってですよ。お前らマジで全員黒の組織と一緒に永遠とジェットコースター乗っててくれよ。

 

じゃあアクションシーンで見せ場があるのかっていうと、終盤のカーチェイスシーンで「ミサイル的なのが飛んできた!運転中の安室、どう避ける!」みたいな超見せ場なシーンで、カットが変わったと思ったらもう車はミサイル的なの避けてて、声優のウォーみたいな叫び声だして終わってんすよね。こういう比重が重そうな所はどれだけ見せ場っぽいシーンでも見せることもしないって辺り、このシリーズの志の引くさが見てとれるなって感じです。でもアレでしょ?コナンシリーズでもまた興行収入の記録塗り替えたりしてるんでしょ?もうちょっとこのシリーズを真剣に見るのも辛くなってきた感はかなりあります。

 

良かった所。あります。Twitterの年に20本くらい映画館で見て映画ファン面してる男が、安室大好きでビッショビショになってる女の膣をチラチラ見ながらコレを褒めてるツイートを見るのが最高に楽しかった。オタク女の膣から出た液でフルーチェを作りたい男たちがコナン大絶賛マンガを描いてくれたのが嬉しすぎてTOP5には入れませんでした。ここで加点10です。よかったですね。

 

 

5位 D5 5人の探偵

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人気声優5人が、なんと実写映画の主演に!っていう感じのサスペンス映画です。この映画の凄い所は「人気声優5人が、なんと実写映画の主演に!」以外に見所が無かった事です。正直コレは映画と呼んでいいものなのかどうかさえ俺には分からないです。

 

5人の探偵が謎の人物に劇場ホールに呼び出され、何故か客席に横たわっている死体の謎を解くように依頼される…というのが簡単なあらすじなんですけど、とにかく主演5人の顔のアップがメチャメチャ多いんですよ。喋ってる役者の顔が画面いっぱいに広がって、喋り終わったら次の役者の顔が画面いっぱいになって、2人の掛け合いのシーンだと2人が出来るだけ大きく映ってて、喋り終わったらまた次の大きな顔が…っていうのが映画の半分くらいを占めてるので、とにかく見にくいし、分かりにくい。コレ一応推理モノなんですけど、映画である必要があんまりないんですよね。どっちかっていうと朗読劇の方が近い。舞台も基本、劇場ホールにずっと引きこもってて外には出ないので。1人だけ聞き込みに外に出るんですけど、なんか俳優事務所と、あと劇場ホールのスロープみたいな所に寄ったらすぐ帰ってきます。

 

密室劇とか会話劇の映画って、それだけだと間が持たないから見てる方を飽きさせない工夫がある訳じゃないですか。例えば今年だとアーミー・ハマーの「ALONE」って映画があって、砂漠の真ん中で地雷を踏んでしまって、救助が来る100時間後くらいまではたった一人で動かずに耐え続ける…っていう基本一人芝居の話なんですけど、当然それだけじゃ持たないから、段々と衰弱していく中で、幼少期に父に抱いてトラウマを回想という形で(上手くいっていたかどうかは別ですよ)描く事でドラマに厚みを持たせていたし。

 

で、今作において一体何が飽きさせない工夫かっていうと「声優の顔をたくさん、そして大きく見せる」っていう事な訳ですよね。コレは凄い実験的な映画だと思いますよ。顔が付いた朗読劇は映画といえるのか?みたいな。

 

その会話もマジで寒くて、探偵の一人の侍が(俺は本当に”侍”と書いています。侍がいるんです。探偵に。)「100億円と100億両だと、どっちが多いでござるか?」みたいなセリフを言うと、「イヤなんでお金の概念が分からないんだよ!」みたいなツッコミを毎回毎回誰かがやってくれるんですよ。大写しの森久保祥太郎とかが。もういいよ。好きにやっててくれよ。俺もう帰るよ。

 

映画じゃなくない…?みたいなヤツなんで、もっと順位は下でもいいんですけど、声優5人のギャラとあと8万円くらいで出来た映画を「ワースト1位です!」とかっていうのも酷い話じゃないですか。どうせ俺以外誰も見てないし。

 

 

4位 GODZILLA 星を喰う者

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なんていうか「君、やる気ないならもう帰ってもらってもいいよ」って言いたくなる感じの映画でした。何もしてくれない高校生バイトにマジでムカついた時に出た時のヤツと一緒。

 

1作目の「怪獣惑星」はレンタルで、2作目の「決戦機動増殖都市」は映画館で見たんですけど、共通して思ったのは『イヤでも次の話は面白いかもしれないし…』みたいなのだけだったんですよね。特撮モノには詳しくないですけど、「怪獣惑星」は結局主人公は元々才能があった人間で、そんなヤツが指揮官になれたので実力を思う存分発揮できました!っていうだけの話じゃないですか。で、「決戦機動増殖都市」はメカゴジラが都市っていうアイデアは面白かったですけど、そこで繰り広げられたのが『ゴジラを倒すには人間辞めるしかないのか!?』みたいなアレで、それって「決戦…」の中盤以降20分くらいで急に出てきた話なんで、こちらとしても全然乗っていけないし、主人公が葛藤する暇もなく展開が進むので、話に深みがあんまり無いんですよ。生き物としての人間への不快さが積み重なっていくだけで、話の推進力が特にないまま3作目まで進んだ印象しかなくて。

 

そんな感じでここまで来てるので、多分もう作ってる方も「あ、無理」っていうのは分かってたんでしょうね。正直投げやりとうか「さっさと終わらせて次の仕事行きたい」みたいなのを物凄く感じた映画でした。ゴジラ対ギドラで怪獣対決をやってくれるのはいいんですけど、その対決をどういう目線で見ていいのかさっぱり分からないんですよね。ここまで2作で散々「ゴジラ死すべし!」みたいなスタンスでやってきて、で、新興宗教にハマった悪堕ち櫻井孝宏が呼んだギドラが相手でも、主人公にとっちゃどっちも脅威でしかないじゃないですか。この戦いに主人公が第3勢力として加わる事も全くないので、物語が止まってるんですよね。ただただCPU同士の対戦を見てるだけの格ゲーって感じで退屈でした。

 

ギドラが登場してからも、杉田智和が「アレはなんだ!」「俺は何を見ているんだ!」「なんでだ!」「一体どうなってるんだ!!」っていう"よく分からない"の言い方を変えた台詞をギドラ登場中に延々と叫ぶのもマジでキツかった。オチも本当に不快でした。人間は愚かだっていうのは充分理解したから、あとは全部俺のいない所でやっててほしい。

 

唯一良かった所は、このアニゴジシリーズそのものが、今作で散々言われてきた「人間の繁栄の後には必ず滅びがやってくる」っていうメッセージを体現してくれている、という点です。シン・ゴジラが大ヒットした"繁栄"の後に企画されたこのアニゴジ3部作が、再び盛り上がってきた世間からのゴジラ熱への"滅び"パートをちゃんと担当してくれてる訳じゃないですか。こんなにも映画のメッセージに説得力を持たせる為だけに体を張ってくれる映画なんて普通ないですよ。そう思うと最後の主人公の自爆っていう行動も意味があった様に思えてきますよね。ここで加点1と、あと声優さんたちはやっぱりメチャメチャ頑張ってたので、声優さんお疲れ様でしたという所で加点50ですね。ただ物語が敗戦処理みたいな感じで-12万点出てるんでこんな順位です。

 

 

3位 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

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とにかく話がない映画です。

 

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしているっていう設定はまあ面白いじゃないですか。でもこの映画ってその理由を妻が夫に話すシーンは無音になって「答えは人それぞれに違うかと思います」みたいなので終わってるんですよ。イヤ、そういう事じゃなくないですか?妻が何を思って、何が不満で、何が楽しくて、っていうのをちゃんと言葉にするからこそこういう映画って展開されてくんだと思うし、そこで引っ張ってくような所がある映画なんですよ。特に関連性のないブツ切りの10分エピソードを断続的に流された最後に無音で終わるって、この映画マジで作ってる方は何を考えてたんだ?って感じです。

 

何が気に食わないかって、この「妻」っていう存在を物凄い尊い存在というか、"この人と触れ合った人はみんな笑顔になって、幸せになって、人生におけるアドバイスをいつでもそれとなく言ってくれる"みたいな聖人っぽく描いてるのがマジで気持ち悪いんですよ。落ち込んでる老人がいると思ったら、妻が指に泥つけて目の周り塗りだすから”えっ、狂人…?"ってなるじゃないですか。そしたら目の周り真っ黒にした女が"パンダです!パンダです!"とか叫びだすから、やっぱり100%狂人じゃないですか。それを見た老人どうしたかっていうと"お嬢ちゃん、面白いねえ アッハハ”って笑い転げてんですよね。スイマセン、全員狂人でした。ありがとうございました。

 

このシーンはちょっと行きすぎですけど、実際「この妻が悩んでる人に的確なアドバイスをしていく」っていうだけでこの映画は進行していくので、キャラクターの造形がとにかく全員薄っぺらいんですよ。"話がない”っていうのはこの辺において凄く感じた所で、色んな人との出会いによって夫と妻との関係性が変わってく…っていうこともないので、どうでもいいエピソードの羅列以外には感じられませんでした。夫も夫で、何故妻が死んだフリなんていう奇行を繰り返すのかを同僚と相談した結果が「ちょっと不思議ちゃんなんだよね」で済んでんですから、コイツらが結婚した意味がそもそも分かんねえよ。

 

元々出演していた小出恵介があんな事になったので、全体の2割くらいを撮りなおしたっていう事情もあるらしいんですけど、結局、妻が変な死に方して「面白いね~」っていう出オチ映画って感じで。榮倉奈々安田顕も好きな俳優なので見てみたんですが、正直苦痛でしかなかったです。あと妻が口にする「月がきれいですね」の真の意味とは…みたいな所で夫が「月がどうとか言って俺を煙に巻いて、本当に愛してくれてるのか…?」って悩む場面が結構続くんですけど、多分安田顕は結婚するまで識字率が7%の土地に住んでたんでしょうね。じゃなければスマホで調べるとか普通しますから。それかバカがチップスター食いながら2時間で脚本書いたかどっちかですね。

 

 

2位 音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!

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三木聡映画はこれまで見た事が無かったんですけど、「熱海の捜査官」とか「時効警察」とかは好きで何回か見た事があるくらいの感じだったんですね。で、どうかなと若干期待はして見に行ったんですが、マジで俺には全然合わなかった映画です。

 

とにかく色んな所が「ゆる~い」感じの話で。吉岡里帆演じる主人公のふうかがバンドを組んで路上ライブを開く所から物語が始まるんですけど、歌う声がメチャメチャ小さくて客から失笑されてしまうんです。更にバンドメンバーの彼氏からも声が小さいからクビになるし、しかもフラれるっていう風に話が進むんですけど、ライブが始まって初めて他のメンバーが「えっ!コイツ声小さい!」って気付くのってそもそもクソ不自然じゃないですか。冒頭のシーンでも、前の曲が終わって"パチパチパチ…”って拍手をもらって「え~じゃあ次の曲は…」なんて主人公が言い出したて次の曲が始まってから声が小さい!聞こえない!とかって客から笑われる展開があったりして、マジで始まって10分で「あ…コレ、無理…」ってなりました。さっきの拍手は何?っていうかマイクってこの世界にはないの?

 

主人公が何故声が小さいのにミュージシャンなんてやってんのか?っていう所も、「母が残してくれたギターなの…」ってうじうじ悩んだ挙句に、中盤で不思議な黒いラーメン食ったら大泣きし始めていつの間にか「やっぱりミュージシャンやります!」って決意するっていうドラッグ描写も相当キてました。阿部サダヲ演じるシンは世界的に有名なミュージシャンって設定なんですけど、こんなマリリン・マンソンと中学生を足して2で割ったビジュアルのヤツが世界的に大ヒットしたバンドのボーカルな訳ないし、シンとふうかが「待望の新曲リリース!」って大写しになるCDのジャケットが全部が全部クソダサかったりして、いくら映画でも最低限の説得力は持たせるような設定なり小道具なりが無いとやっぱり俺は全然乗れないんですよね。何故か韓国行って、出てきた地元の韓国人の描き方も犬猫みたいな扱いだしさ。

 

クライマックスのシンとふうかのキスシーンとか、パトカーに乗ってるシンとそのパトカーを走って追いかけてるふうかが唇を重ねて…ってのが30秒くらい続くんですけど、その間パトカーは15km/nくらいでチョロチョロ~って徐行してるんですよ。現行犯逮捕した犯罪者が走って追いかけてきた一般人とキスしてるのに隣の刑事が全く気付かない…っていうシーンの後ろには物凄く感動気な音楽が流れたりして、俺マジで映画館で気絶するかと思いました。30秒経ったら横にいた警官が「オイ!お前何してる!!」って引き離してましたし。マジで何?

 

カメラが意味もなくグルングルン動いてマジで不快だし、面白い所が「登場人物たちの変な顔と変な動き」だけだったりするのも退屈で、全部が全部俺とは合わない映画でした。

 

1位 劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

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面白くない映画とか、自分には合わなかった映画はまだ良いんです。それを作り手側が面白いと信じて世に出したんなら、それに消化しきれなかったこちら側にも責任は(若干はですよ?)あるんだろうし。見ててどういう映画が一番イヤかというと、見てる側を舐めきってる映画だと思うんですよ。「こんなモンでいいんでしょ?」とか「泣ければそれで全部OKなんでしょ?」みたいな。本当にね、この映画は見てる方をメチャメチャ馬鹿にしくさっててマジで腹立ってきたんですよ。

 

ドラマの映画化っていう事なんですが、一つのエピソードを2時間の映画用に膨らませているという作劇ではなくて、いくつかのエピソードを繋ぎ合わせて2時間の映画にしてるんですが、その"いくつかのエピソード"に関連性は全く無いんです。1個で20分~40分くらいのエピソードの中で、"結婚したての花嫁が死にそう!"とか"長年会ってなくてずっと恨んでた父が事故で死にそう!"の"死にそう!"だけを提示した後は、次のエピソードにドンドン進んでいくという作りになってます。その患者が最後どうなったとか、患者が亡くなった時の親族はどういう反応を見せたんだとか、そういうドラマは物凄く簡潔に見せるか、もしくは見せることもしないかで、各キャラクターそれぞれに”死にそう!"を通して泣かせ所を作っていくっていうのに尽力してるのがこの映画です。新垣結衣泣かせパートとかマジで酷いですよ。山下智久が感電して昏睡状態になっちゃうんですけど、何人か泣かせてちょっとしたらもう復帰してんですよ。お前はもうずっと素足でいろ。マジで。

 

確かに俺も最初は涙腺が緩んだ所もあったんですよ。結婚を考えてる主要人物もいる中で、自身が病魔に侵されている事から結婚を諦めようとする人物が出てきたりして、「家族を形成するという事の暗黒面」みたいなのが芯になってる映画なのかなと期待もしたんですけど、別にそんな事は無かった。誰が見ても泣けそうな要素だけをぶち込んでる分害悪で、ストーリーとかテーマとかはこの映画には別に無いんです。

お手軽な死!があって泣き!があって立ち直り!があって、ちょっと時間経ったな~誰も泣いてないな~と思ったら「そういえばこのキャラに泣かせなかったわ!子供殺しとこ!」って急に死にかけのガキ出てきて、死んで、みんな泣いて、それが2時間で計10パターンくらいあるだけ。人間ドラマを描いてるっぽいんですけど、この映画から俺は「他者」を描いてるっていう印象は全く持ちませんでした。自分たちにとって都合のいい部分だけを切り取って、"仲間"同士で肩抱き合ってオイオイ泣きながら"それでも俺たちは前に進むんだ!"っていうメチャメチャ薄っぺらいメッセージのどこにドラマがあるのか。

 

ここが俺一番腹立つ所なんですけど、こういう客を舐め切った映画が興行収入100億とかいって、実際客入ってる訳じゃないですか。「万引き家族」の倍くらい稼いでる訳ですよ。もうなんか普段映画とか見ない人間って、ストーリーとかは特に求めてないって事ですよね。よく知ってるキャラクターが出てきて、お手軽に泣ければ「いい映画だった~」って映画館出てく訳でしょ。じゃあ打てば涙が出てくる注射とか打ってもらえばもう良くないですか。それが無理ならフジテレビは本当に映画製作から手を引いてほしい。

 

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という事で、今年のワースト1位は「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」でした。ミスチルの歌はまあ良かったですけどね。

とりあえずワースト10はこんな感じです。

 

1位 劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

2位 音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!

3位 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

4位 GODZILLA 星を喰う者

5位 D5 5人の探偵

6位 劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人

7位 フリクリ オルタナ/プログレ

8位 レディ・ガイ

9位 パンク侍、斬られて候

10位 MEG ザ・モンスター

 

面白くない映画も何が面白くないのか分かるので面白くない映画も見た方がいいですよ。次回は明日、2018年新作映画ベスト10の発表です。俺が生きていれば。