パンク侍、斬られて候

今朝の4時に書いてるですけど、もう外でセミとか鳴ってるんですよ。朝早すぎて「ウチのおばあちゃんじゃん…」と思ってトイレに入ったら、ウチのおばあちゃんがケツ拭いたトイレットペーパー、便器に残ったままでした。ミミミミミ…。

 

 パンク侍、斬られて候

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監督 石井岳龍 「狂い咲きサンダーロード」「蜜のあわれ

脚本 宮藤官九郎 「TOO YOUNG TOO DIE! 若くして死ぬ」

原作 町田康 「くっすん大黒」

撮影 松本ヨシユキ

編集  武田峻彦

音楽  森俊之 「蜜のあわれ

出演 綾野剛 「そこのみにて光輝く」「日本で一番悪い奴ら」

   北川景子 「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」

   東出昌大 「桐島、部活辞めるってよ」「散歩する侵略者

   染谷将太 「ヒミズ」「さよなら歌舞伎町」

制作国 日本

上映時間 130分

 

解説
芥川賞作家・町田康が2004年に発表した異色時代小説を、「新宿スワン」の綾野剛主演、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」の宮藤官九郎による脚本、「狂い咲きサンダーロード」の石井岳龍監督のメガホンで映画化。江戸時代を舞台に、隠密ミッションをめぐって繰り広げられる10人の男たちの腹の探り合いと、1人の女をめぐる恋の行方、そして謎の猿将軍が明かす驚がくの真実を描き出す。超人的剣客にして適当なプータロー侍の主人公・掛十之進を綾野が演じ、喜怒哀楽と活劇が入り交じる難役に挑む。共演にも北川景子東出昌大染谷将太浅野忠信永瀬正敏ら豪華実力派俳優陣が集結。さらに物語の鍵を握る猿将軍・大臼延珍(デウスノブウズ)を、永瀬正敏が特殊メイクで演じる。

 

予告編です


映画『パンク侍、斬られて候』6月30日公開 主題歌解禁特別映像SNS用

 

 

40点

 

 

正直、ちょっと好みには合いませんでした。

 

原作は町田康の同名小説。未読なので原作との違いとか、省略した部分補強した部分とかは分からないし、大した映画でも無いので調べる事もないと思います。原作との違いを知りたい人は「パンク侍  見た なんで」で検索して下さい。よかったですね。

 

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脚本は宮藤官九郎。この人の時代劇の映画だと10年くらい前に「真夜中の弥二さん喜多さん」っていう映画がありました。長瀬智也中村七之助主演で、2人がゲイのカップルで単車に乗ってるヤツ。監督に石井岳龍。今作ってかなりの豪華な俳優陣なんですけど、この監督の過去作では染谷将太綾野剛も主演の作品があって、脇を固めていた村上淳、渋川清彦に至っては結構レギュラー出演陣って感じで何本も出ていて、石井監督のオールスターキャストって感じがありました。それだけ作り手側は気合が入ってたって事なんだと思うんですけど。

 

もう今4時半でグダグダ書くのもアレなんで、先に良かった所を挙げていきましょう。

 

・腹ふり党が再結成のシーンや、最後の合戦シーンのビジュアル等で、ハッとさせられるほどの良いシーンはあった。ミュージックビデオみたい。

・役者陣が全員凄く良かった。染谷将太はヤバイ。東出昌大の使い方も好き。

宮藤官九郎脚本だけあって、役者同士の掛け合いでクスッとさせられるシーンが沢山あった。

 

ただ、良い所として挙げた3つ目が問題で、時代劇であるのに「win-winの関係」とか、明らかな若者言葉とか、時代に適してない単語を逆に強調してわざわざ言わせてたり、っていうのの面白みもあるんですけど、それが今作の違和感っていうか、上手くいってなさの要因の1つになってる気もします。

 

 

それってどういう事か?この映画って、魔法的な力が登場する、猿が人間の言葉を喋る、暗示されていた「ここではないもう一つの世界の存在」が本当に現れるといった、所謂カスタトロフが中盤~終盤に待ち構えている映画なんですね。

腹ふり党っていうおかしな新興宗教が段々と物語で勢力を増し、人々を飲み込んでいくにつれ、もう誰にも制御できない暴走状態に陥って、皆を混乱させた後に物語自体を破壊していく。最後のカスタトロフが炸裂するはずの合戦シーンは、ビジュアル自体は凄く良いし(アクションの見せ方はどうかと思いましたけど)、役者陣も全員メチャメチャ良い。盛り上がらないはずがないんです。

 

ただ、実際はどうだったかというと、ものすご~~~~く雑に登場人物たちが次々と「物語上の都合」で舞台から去っていく様にしか見えなくて、いつの間にか気が触れた綾野剛「オレが、パンク侍じゃ~~~!!」と唐突に叫んで、ダラッとしたまま北川景子のタイトルコールがあって、感覚ピエロのEDのテーマ曲でやや滑って終わっていく。一番盛り上がるはずの終盤が、一番尻すぼみというか、かなり退屈でした。

 

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なんでこんな感じになったかというと、実はこの原作と宮藤官九郎って、相性がメチャメチャ悪かったと思います。最後のカスタトロフに向けて、段々と物語をおかしな展開にしていきたいなら、当然段階を踏んでいく必要があるじゃないですか。

序盤は真面目な時代劇をしているから、中盤以降にありえない展開が平然で導入され、アレ?アレ?と思ってる内に見てる方も段々と物語に飲み込まれていく。こういうのって最初と最後でギャップがあるべきだと思うんですけど、この映画では、物語始まって5分くらいから、宮藤官九郎脚本の面白掛け合いで「侍が絶対に言わない単語」「江戸時代の人間が絶対に言わない単語」がマジで150個くらいポンポン飛びだしてくるんです。

それ自体が悪い訳では無くて、勿論聞いてる内は楽しいし面白いんですけど、もうこの映画は始まってすぐの段階で「ぶっ壊れた世界観」を提示しちゃってて、しかも見てる方もクドカン脚本だからな」って受け入れる体制ができちゃってるんです

原作もそういう「独特な台詞回し」が魅力のひとつみたいんですけど、原作の良さを少しでも映像化しようと起用したクドカンの脚本が、後の物語展開とは凄く食い合わせが悪かった様に感じます。他の人のレビューでちょろっと原作のセリフは読んだ限りだと、多分コレをこのまま実際に音として聞かせるのは無理があるのは分かりますけど。

台詞云々を無しにしても、全体的に「こいつの人間像はこんなの」「こいつがこういう行動を取ったのはこういうこと」「こいつは今こんなことを考えてた」みたいな物語の進行をぶった斬ってまで挿入されるナレーションでの説明も過多で"足し算"ばかりで、「何を削ったら映画としてより成立するか」の"引き算"が全くなかった印象もあります。とにかく見にくいんですよ、この映画。しかも長い。

 

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登場人物一人ひとりを見ても、クドカン脚本の楽し気な掛け合いがあるので、ある登場人物が”実は思い詰めていて腹ふり党に自分から飲み込まれにいく”っていうのもどうも納得できないし、そもそも「面白掛け合い」以上のバックグラウンドを登場人物からは全く感じられない。物語の推進に特に関わりもない所まで「実はコイツにはこんな過去があって…」みたいなのをわざわざするから130分の長さになってる気がします。

セリフ回しも含めて、原作にあったアレもコレもを全部映像化にするにあたって詰め込み過ぎた結果、こういうボヤけた感じの作品になったんじゃないですかね。「なんでもありなメチャメチャな世界観」ってちょっとした事で破綻しやすいアレだなと思いました。

 

原作。多分読まないかな…

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

 

 

クドカン脚本で一番好きなのはコレだったりします。

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