アイ,トーニャ

GWは5連勤と5連勤の合間に1休があっただけだったので、ファーストデイ等で映画館に行く事が出来ませんでした。で、やっとまとまった休みがもらえたので長野まで行って映画を見てきたんですけど、マジで無理。片道1時間半運転して映画3本見てまた1時間半の運転がマジで無理。山を越えて行くんですけど、途中で89度くらいの急な坂が144個あるんですよ。俺は別に死ぬような思いをするくらいなら映画なんて見たくないんだよ。家にいるよ。もう生涯にかけて二度と映画は見ません。皆さんこれまでありがとうございました。

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

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監督 クレイグ・ギレスピー

製作 ブライアン・アンケレス
   マーゴット・ロビー
   トム・アッカーリー
製作総指揮 レン・ブラバトニック

出演 マーゴット・ロビー

   セバスチャン・スタン

   アリソン・ジャネイ

   ジュリアンヌ・ニコルソン

   ポール・ウォルター・ハウザー

制作国 アメリカ

上映時間 120分

解説
アメリカ人のフィギュアスケート女子選手として初めてトリプルアクセルに成功し、1992年アルベールビル、94年リレハンメルと2度の冬季五輪にも出場したトーニャ・ハーディングのスキャンダラスな半生を、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で一躍世界的にブレイクしたマーゴット・ロビー主演で描いたドラマ。貧しい家庭で厳しく育てられたトーニャは、努力と才能でフィギュアスケーターとして全米のトップ選手への上り詰めていく。92年アルベールビル五輪に続き、94年のリレハンメル五輪にも出場するが、92年に元夫のジェフ・ギルーリーが、トーニャのライバル選手を襲撃して負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を引き起こしたことから、トーニャのスケーター人生の転落は始まっていた。プロデューサーも兼ねてトーニャ役で主演したロビーは、スケートシーンにも挑戦。母親役のアリソン・ジャネイが第90回アカデミー賞助演女優賞を受賞した。元夫のジェフ・ギルーリー役は「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタン。監督は「ラースと、その彼女」「ミリオンダラー・アーム」のクレイグ・ギレスピー

 

予告編です

 

90点

 

この映画、今年ベスト級にメチャメチャ好きです。

実在したフィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディングの半生を、ライバル選手への暴行事件を軸に描いていく半自伝的な作品になっています。主演は「スーサイド・スクワッド」で唯一の救いになっていたマーゴット・ロビー。今作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされていました。(受賞したのは「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンド。流石に相手が悪すぎた感があります)

この事件、世代によってはドストライクな出来事だったらしいんですが、俺は全然記憶に無くて。生まれて間もない様な時期だったんで、覚えてないのも当然といえば当然なんですけど、この映画を通して初めて、この「現実は小説よりも奇なり」を地でいく様な事件を知ったくらいで。トーニャ・ハーディングっていう女性の存在もそれまで全く知らなかったんです。

 

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 自伝的な映画というだけあって、物語は彼女がいかなる理由でスケートを始めたのか、いかなる環境の中で育っていったかというのが、軽快なタッチで、そしてクソ不愉快な登場人物たちと共に語られていきます。

この映画が変わっているのって、まず「当時の事件を年老いた当事者たちにインタビューしていく」という体で各登場人物たちに当時の状況を聞きながら、そのインタビューに即した実際の情景を見せていく、という見せ方を取っているんです。つまり「もう終わったこと」「もう誰しもから忘れ去られていること」としてのナンシー・ケリガン襲撃事件であるという側面が非常に強いんですね。当時が1992年なので当然といえば当然なんですけど、その終わった事件をそれぞれの登場人物が今、どういう風に振り返るのか?美化しているのか、後悔しているのか、責任転嫁しているのか、というのをそれぞれの登場人物毎に「過去への捉え方」として見せていきます。

この話をインタビュー形式にした事で、この映画が現在進行形の物語であるという側面が凄く強くなっています。ただ単に「実在の事件を映画にしました」という着地ではなくて、この事件に関わった全てのクズが、今現在も確かに同じ地平で生きているんだという着地。個人的にはこの重層的な作りが凄く心に響きました。

 

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コレもものすごく好きな映画なんですけど、この映画って終わり方が凄く「フォックス・キャッチャー」に似通ってる部分があるんです。色々な出来事を通して人間の尊厳を奪われそうになった、もしくはもう奪われてた人間が、それでも拳を振るって雄たけびを上げる。「フォックス・キャッチャー」のマーク・シュルツは誰よりも愛し誰よりも憎んだ兄を、”より優れた誰か”ではなく”何も無い自分”を選んでくれた唯一の男に殺されました。今作のトーニャ・ハーディングも不条理としか言いようがない家庭環境の中で、母親に生き方を奪われ、恋人に競技人生を奪われる訳ですけど、(自業自得な部分はメチャメチャあるんですけど)それでも最後にあったのは「生きる事の力強さ」だったと思うんです。

もう終わった人間である自分でも、まだ心は死んでいないし確かにここで生きているんだ!という肉体の躍動を見ると、ここまでロクでもない人生ロクでもない人間であっても、その過去を通して必死に腕をブン回して生きている。その「今」が凄く輝いて見える。俺はこの映画から「生命」を感じるんです。

 

 

現在進行形という体で撮っている作品だからこそ、「今現在を生きること」という所にフォーカスが当たっている作品でもあり、逆に、過去と現在がしっかりリンクした作品だからこそ「もう過ぎ去ってしまった青春」が凄く意識される作品でもあり。

単なる懐古主義というか、"当時に生きたおじさんおばさんの為の接待映画"をもう1つ超えた、素晴らしい映画だったと思います。「この映画の登場人物と入れ替わるなら誰になりたい?」って聞かれたら「じゃあ死んだ方がマシですわ...」ってもう見た人全員がそうなる感じではあるんですけど。それでも、フィギュアスケートの歴史も知らない、当時の事件を全く知らない俺でも、この物語と、トーニャ・ハーディングっていう女性に魅せられた部分が物凄くあるので、是非ね、あのー「じゃあいっちょクズの団体を2時間見に行ってやるか!」という感じでね、映画館に足を運んでいって貰えればなと思います。

 

 

 野尻湖にシーサイド・スクワッドっていう内装はメチャメチャ豪華でいい感じなんだけど料理がクソ不味いコテージを出そうと思うんで、良かったら皆さんで来てください