映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱
100円寿司に久々に行ったんですけど、8皿くらいで酢飯で気持ち悪くなってしまって全然食えませんでした。俺が食ってたのは寿司味の何かしらだったのではないか?という疑念が今湧いています。魚を食った気が全くしない。せっかくこういう映画を見に行ったんだからラーメンにしておけばよかったと後悔してます。
スイマセン今自分の書いたここまでの文章を読み返したんですけど、何だコレ。30手前の成人男性の食い物事情なんか誰が読みたいんじゃボケ。皆さんスイマセンね。
映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱
監督 高橋渉
原作 臼井儀人
脚本 うえのきみこ
主題歌 ももいろクローバーZ
劇中歌 ももいろクローバーZ
キャスト(声の出演)
矢島晶子 しんのすけ
ならはしみき みさえ
森川智之 ひろし
こおろぎさとみ ひまわり
潘めぐみ 玉蘭(タマ・ラン)
制作国 日本
上映時間 104分
解説
「クレヨンしんちゃん」の劇場版アニメシリーズ26作目。マサオの誘いで伝説のカンフー「ぷにぷに拳」を習うことになった、しんのすけたちカスカベ防衛隊は、カンフー娘の玉蘭(タマ・ラン)とともに修行に励む。その頃、春日部にある中華街「アイヤータウン」では、「ブラックパンダラーメン」なる謎のラーメンが大流行。それは、一度食べると病みつきになり、凶暴化してしまうという恐ろしいラーメンだった。突然のラーメンパニックに対し、街の平和を守るためカスカベ防衛隊が立ち上がる。監督は「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」「映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」を手がけた高橋渉。
80点
予想の50倍くらい変な映画だったんですけど、個人的にはメチャメチャ好きな映画です。
国民的アニメ、クレヨンしんちゃんの劇場版第26作目となったのが、今作「映画クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ拉麺大乱」です。小さい頃はクレヨンしんちゃんのアニメは毎週見ていたし、多分原作も殆ど家にありました。劇場版は近所に映画館が無かったので親にレンタルビデオショップに連れていってもらっては、それこそ何度となく見ていたし、特に好きだったのが原作者臼井儀人先生描きおろしの劇場版のコミカライズでした。多分連載誌の方で映画公開のタイミングに掲載されていたコミカライズを、後々に単行本に収録されてから読んでいたと思うんですけど、同じ作品を漫画と映画とで交互に楽しめる感じがメチャメチャ嬉しかったのを覚えてます。コミカライズそのものと初めて触れ合ったのって、多分この時のクレヨンしんちゃんが最初でしたね。
やっぱり大人になってからはめっきり見なくなってしまったんですけど、wikiとか見る感じだと8作目の「嵐を呼ぶジャングル」くらいまでは記憶があります…。
大人になってからクレヨンしんちゃんを見てるとしんのすけの小ボケを全部拾ってくれる風間くんの感じがメチャメチャ良いですね
— エスキックス (@Alktixi) 2018年4月16日
見る前のイメージと見終わった後の感想が全く違う作品でした。
序盤から中盤にかけては、ベストキッド的な「師匠が弟子に武術を教えながら悪役から妨害を受けつつも、武道家として技術も心も成長していく」の様な展開が続きます。個人的に上手だと思ったのが、主人公が「なぜ戦うのか?」「なぜ助けるのか?」の動機付けのパートでした。物語の根幹をなす「しんのすけの行動理由」が、この序盤であっさりとした演出ながらも、終盤にかけての(超)展開に向けた伏線としてしっかり機能していたと思います。
この映画って、凄く"ヒーローの相対化"を描いてる作品だと思うんです。ノーランのバットマンシリーズとか、DCユニバースとか、最近のアベンジャースラインで散々っぱらやってる「善とは?悪とは?」「その違いとは?」的な所を今作では重要なファクターとして取り入れています。で、そういう味付けをどういった所で演出していたのか?っていう事なんですけど。
ここが本当に上手で、ここでは始まってから10分くらいで、しんのすけに「ヒーローに憧れている」「ヒーローになりたい」という側面を"アクション仮面人形をひまわりに涎まみれにされたので結構キレる"とか”新しいアクション仮面パンツを買ったので、ブリーフパンツにサスペンダーだけの姿で見せびらかす”っていうさりげない、しかもクレしん作品っぽいギャグ演出で軽く描写しているんですね。
こういうのがちゃんとあるから、しんのすけがぷにぷに拳を習おうと思ったり、困っている人を助けようとしたりっていう動機付けとして機能させているし、今回のゲストキャラであるランも同じ特撮趣味があったという所で、半ば合わせ鏡のような存在である事もちゃんと示唆させていて。勿論クレしんをちょっとでも知っている人であれば、しんのすけがアクション仮面が好きくらいは知ってて当然なんですけど、1本の映画の中で少しでも言及があるのと無いのとでは、全然違うじゃないですか。全く知識のない老若男女の誰が見ても理解させる気のある作品って、凄く作り手側の志が高いんだな、とも感じるし。
ただ、俺が今作の本当に好きっていうかマジでヤバイ所って、ヒーローの相対化を散々やっておいて、最後にちゃぶ台を全部ひっくり返してくる点だと思うんです。
クレしん映画で「善と悪との違いはどこにあるのか」的な所を主要キャラを悪堕ちさせてまで描くっていう超展開をしながら、今までの張りつめていた雰囲気が最後の最後、ラスボスとの最終決戦!っていう所で、一気に「イヤ?これクレしん映画なんで…そんな重い感じで来られても…」みたいな、見てて気が狂う一歩手前みたいな展開が急にやってくる。同じ監督作の「ロボとーちゃん」の*1ロボットバトルの下りをちょっと連想しました。
ここは本当に、その目で見て脳が2回転くらいする感じをぜひ味わってもらいたいんですけど、個人的には「もう少し人間の善性を信じてみてもいいんじゃないのか?」的な落としどころだったのかなと思います。
基本的にはしんのすけって、所謂王道なスーパーヒーローではないじゃないですか。毎週ケツ出して踊ってる幼児がヒーローな訳ないんですけど、怠け者な部分もあるし、口も悪いし。でも、こういうキャラクターが主役の作品だからこそ、「この世(っていうか春日部)はそんな悪いものじゃないんだから肩肘張らずに力抜いていこうや」っていうメッセージが凄く活きたと思うんです。スーパーマンやバッドマンじゃ絶対にできないじゃないですか。こんなオチ。クレヨンしんちゃんっていう作品だからこそ描けた「善と悪の相対化」っていう意味では、昨今のヒーロー相対化ブームの批評とも取れるし。
しんのすけっていうヒーローの合わせ鏡になっていたのがランとまさお君で、まさお君はしんのすけの中にある優しい心をちゃんと知っているから、自分を見失わずに戻ってこれたっていうのも、凄く考えられた脚本だなと思います(終盤のまさお君関連のエピソードの肉付けがちょっと足りない様な感じはあるんですけど)。沢山の合わせ鏡があって、そしてそれぞれの合わせ鏡にちゃんと理由のある決着の付け方をさせている。
ただ、まあそれならその「合わせ鏡」の関係性の中にいるはずの今回の悪役、ドン・パンパンにどんな過去があって悪事に身を染めてしまったのか…?みたいな所がもう少しあってもよかったかなとは思います。ただ、その辺まで描写してしまうと、クレしん映画の良い意味での軽さが無くなってしまうかなってのもあるんで、もう好みの問題ですかね。
終盤における「しんのすけvs真の敵」戦でおっ、スターウォーズ/最後のジェダイのカイロ・レンvsレイか!?と超重い雰囲気かと思わせておいてからの膝カックンとか、重くなりそうになるとクレしんっぽいギャグで和ませつつストーリーの進行は決して止めない所とか、本当に気が利いていました。
クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ、ベストキッドかと思ったらスターウォーズかと思ったら頭が狂う寸前の描写でヒーローの相対化批判をやっててマッドだった
— エスキックス (@Alktixi) 2018年4月16日
全体的に見れば「オトナ帝国の逆襲」と「戦国大合戦」の原恵一作品2作と延々と比べられるシリーズになってるんですけど、個人的にはその2作に決して負けていない、凄く楽しめた映画だったと思います。あと1個だけ忘れない内に書いておきたいのは、まさお君がメインのシリーズという割には、彼がどう成長したのかっていうのをセリフだけで説明するんじゃなくて、彼の成長を促すもう1エピソードあっても良かったかな…とかはあるんです。最後の最後に師匠がランにある思い出の品を見せるシーンがあるじゃないですか。アレをまさお君に探させるとか、本当に軽い描写でもいいんで何かあってもよかったかな…みたいな。そんな感じですね。
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*1:燃える展開になるはずなのに馬鹿馬鹿しさだけだったらアニメの歴史に残るレベルで気が触れてる