キングスマン ゴールデン・サークル
雪がメチャメチャ降ってるので髪を切りに行けないんですけど、頭にタオルを巻くと前髪が邪魔にならないんですよ。このアイデアで特許申請しようと思ってます。
キングスマン ゴールデン・サークル
監督 マシュー・ボーン
脚本 マシュー・ボーン
編集 エディ・ハミルトン
出演 コリン・ファース
製作国 イギリス
上映時間 140分
(あらすじ)
世界的ヒットを記録したイギリス製スパイアクション「キングスマン」の続編。イギリスのスパイ機関キングスマンの拠点が、謎の組織ゴールデン・サークルの攻撃を受けて壊滅した。残されたのは、一流エージェントに成長したエグジーと教官兼メカ担当のマーリンのみ。2人は同盟関係にあるアメリカのスパイ機関ステイツマンに協力を求めるが、彼らは英国文化に強い影響を受けたキングスマンとは正反対の、コテコテにアメリカンなチームで……。主演のエガートンやマーリン役のマーク・ストロングら前作のキャストに加え、ステイツマンのメンバーにチャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジス、ハル・ベリー、謎の組織ゴールデン・サークルのボスにジュリアン・ムーアら豪華キャストが新たに参加。さらに、前作で死んだと思われていたコリン・ファース扮するエグジーの師ハリーも再登場する。前作に続き、「キック・アス」のマシュー・ボーンがメガホンをとる。
70点
大ヒットスパイ・アクション映画「キングスマン」の続編です。前作のキャストに加え、ジュリアン・ムーアが悪役に起用されています。
前作の公開は2015年の秋。この年の後期は結構良質なスパイ映画が日本では立て続けに公開されたんですよね。「ミッション・イン・ポッシブル ローグ・ネイション」「007 スペクター」っていう大人気シリーズに加えて、ガイ・リッチーの「コードネーム U.N.C.L.E」もあったりして、少し分が悪かったかなって感じは今になってはあります。ローグ・ネイションが俺は超好きなので。UNCLEも続編希望ってくらい好きですね。
引き続き前作の話。前作ではタロン・エガートン演じるエグジーのスパイとしての成長譚を描きつつ、もう一方ではコリン・ファース演じるハリーが師匠としてエグジーを導きながら、潜入、調査といったスパイ映画の本業部分を担当。そしてコレを交互に見せていくという作劇でした。最終的にはハリーの死後(っていうかキングスマンくらい全人類見てると思うんでネタバレしますけどいいですよね?)スパイとして成長したエグジーがハリーの後を継ぐようにして敵の本拠地に乗り込んで、ラスボスを倒し解決、という流れでした。
本格的なアクションは恐らく初めてだったはずのコリン・ファースも、早回しを多用する事でそれっぽく見えていたし、ここに来て新境地発見って感じで楽しかったですね。スーツ姿がまずメチャメチャかっこいいですし。
ただ、ハリーが思った以上にキャラクターが立ちすぎて、エグジーがかなり割を食った感じもありました。最後のラスボス戦も、この作品で大ブレイクしたソフィア・ブテラも良かったですし、サミュエルもマザファカで最高だったんですが、基地内の同じ所を行って戻ってまた行ってっていう、スマートさがあんまり無いドタバタ感があったのはちょっと残念でした。ココはもう完全に好みだとは思うんですけど、歪さはあるものの面白い映画、って感じでした。「007 スペクター」よりは好き。
で、今作、勿論楽しい所もたくさんあるんです。あるんですけど、個人的にはそれ以上にストーリーのいびつさ、分かりにくさ、不親切さがかなり気になりました。前作に増して。
かなり細かい場所まで指定できるミサイル、しかも十数本同時に発射できるんならもう無敵じゃね?とか、そのスプレー出しちゃうともう何でもアリじゃね?とか勿論あるんですけど、なんか「とりあえず気持ちのいい楽しいシーンが連続してるだけ」って感じがしたんですよね。展開に連続性がないっていうか。
ハリーが記憶を取り戻す、戻さないの下りも、意外にかなり早めに決着が着いてしまいます。で、それに付随するかの様に「彼がいつ全盛期の力を取り戻すのか?」という下りも見せているんですけど、結局いつの間にか彼は強くなってい、前作と同じようなキレキレのアクションを見せていて、わざわざ前振りのシーンを用意した意味がよく分からない。仲間の中に裏切り者がいるのでは?と疑いだすシーンでも、「何故アイツが裏切り者だと気付いたか?」というのをセリフだけの説明、または唐突な描写によって、とある登場人物に不信感を抱かせたまま、結局裏切り者を何故見破れたのか?の件は有耶無耶のまま終わってしまう。
ストーリーテリングに関わる重要な場面を「ちゃんと見せない」「ちゃんと描写しない」というのが、この映画の中では結構あるんですね。確かに今、目の前で起きてる場面場面は楽しいんですけど、アクションシーンまでに溜めて溜めて、そしてここぞ!という所で爆発するはずの伏線があまり生きてこない。
2時間半近く上映時間があるのにも関わらず、伏線の設置と回収が凄く下手なのは正直キツかったです。
ただこの作品を俺が全然好意的に感じられるのって、例えば007とかって元々はこういう気楽に見られるド派手な娯楽作だった訳じゃないですか。でも今は「スカイフォール」に引っ張れられる形でちょっとキツくなってる訳で。
そう考えると2018年にこういうスパイ物で、派手で、そして誰が見ても楽しめるポップな作品ってメチャメチャ貴重になってるのは間違いなくて。そういう意味で、冒頭のカーチェイスシーンなんかでは、この時代を俺たちが背負って立つんだ感があって、すごく感動したんですよね。「キングスマン」っていうシリーズで時代を作っていこうとする気概を感じて。
続編も確実に作られるんで、それこそ007みたいにたま~にシリアスな作風の周期に入るくらい長寿化シリーズしていってほしい感もあります。たまにでいいですけどね。もう「ヒーローの相対化」とか「完全なる善とは完全なる悪と同義なのでは?」みたいなのも結構食傷気味なので。コリン・ファースが年で動けなくなるくらいまでは「えっ、なんで?」の連続なお気楽娯楽スパイ作品を、出来れば正月に3年に1回くらいは見たいなって感じですね。膣の中にカメラが入ってく系統の映画ももっと見たいので。
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