3月のライオン 前編

更新をサボってましたが、このブログを定期的に覗きに来てくれてるあなたと、隣のマンションに引っ越してきた日本人留学生の白い首筋にアイスピックをブッ刺す妄想から抜け出せなくなった為、彼女の気をなんとか引こうとこのブログで日本語の勉強をしているデトロイト在住の超太った黒人、この計2人の読者の為に再開します。

映画の感想を書いていく事には多分変わりないんですが、ペースとかあまり考えずに少しずつやっていきたいと思うので、まああのアレしていくつもりです。

 

 

3月のライオン 前編

ポスター画像

 

解説
羽海野チカの大ヒットコミックを、「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督&「バクマン。」「君の名は。」の神木隆之介主演で実写映画化する2部作の前編。幼い頃に交通事故で両親と妹を亡くし、父の友人である棋士・幸田に引き取られた桐山零。深い孤独を抱えながらすがりつくように将棋を指し続けてきた零は、中学生でプロ棋士の道を歩みはじめる。しかしある事情から幸田家での居場所を失い、東京の下町でひとり寂しく暮らしていた。そんなある日、和菓子屋を営む川本家の三姉妹と知り合った零は、彼女たちとの賑やかで温かい食卓に自分の居場所を見出していく。零のライバルで親友の棋士・二海堂晴信役を染谷将太が特殊メイクで演じるほか、有村架純佐々木蔵之介加瀬亮ら豪華キャストが結集。

 

予告編です


『3月のライオン』予告編

 

60点

 

正直コレくらいの塩梅の作品が一番感想がまとまりやすくて助かるみたいなのはあります。

羽海野チカ原作の大人気将棋漫画「3月のライオン」の実写化劇場版作品です。監督には「るろうに剣心」シリーズの大成功以降、漫画原作の監督作品が多い大友啓史。主演に神木隆之介を迎えた2部作の前編に当たるのが今作「3月のライオン 前編」です。

 

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こういう感じのアレです

 

俺、ハチミツとクローバー」が大好きなんですよ。原作はもちろん全巻持ってるし、何度も読み返したりして、俺を構成する分子の2%くらいは「ハチミツとクローバー」なんですけど。コレ読んで「大学生になれば勝手に女に好かれるし好きになるんだ!」つって大学進学を決めたくらいで。結果的に害悪図書みたいな感じになりましたけど。

 

 

少女漫画出身作家の2作目という事で、ポエムなモノローグがメチャメチャ多い原作でもあるんで、映像化する上では、そういうクセをどういう風に作劇していくのかが凄く大事な要素になっていたと思います。アニメ版は原作のモノローグもほぼ全てそのまま描写するっていうやり方を選択しているんですけど、実写じゃ絶対キツくなるじゃないですか。アニメでもモノローグの多さで見にくい感じはあったりして。

 

 

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なりて~この顔

 

で、今回の映像化に関しては、作り手側の『見やすく、かつ原作の雰囲気を尊重する』っていう配慮が凄く感じられました。モノローグは特に序盤は非常に抑えられていたと思うし、原作でのモノローグが持つ「主人公の孤独感の演出」や「心の独白」みたいなのはロケーションの良さであったり、劇伴を序盤殆ど使わなかったりでの*1抑制された演出で、映像化においては飛び道具的な扱いにどうしてもなってしまうモノローグに頼らない、良い作劇が出来ていたと思います。

 

 

また、登場人物が凄く多い作品でもあるんですけど、情報の出し入れの巧みさにおいても光った作品でした。劇中の時間軸において、新しい登場人物や設定が出てきたら、それに纏わる回想を挟み、ひと段落付いたら、現在の時間軸を動かして、また何か起きたら回想を入れて時間軸を動かして…っていうのをちゃんとやっていて、回想シーンが話を動かす為の役割をしっかり果たしているので、現在と過去を行ったり来たりする作品なんですけど、あまりそこがストレス無く見る事が出来るんですよね。こういう所で、漫画原作の作品を多く手掛けてきた監督の手腕が生きたような気がします。

 

 

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それが面白かったかどうかはまた別なんですけど

 

で、そういう中盤までの「各キャラクターの属性紹介」は凄く上手くて楽しめるので、後は終盤に向けて『この前編は後編に向けて一体どういう位置付けの作品であったのか』が重要になってくる訳じゃないですか。どこに主人公の葛藤と克服と成長があったのか。何が主人公にとっての一番の障害で、それに対してどういうやり方でその障害を乗り越え、人間的に成長できたのか。

個人的な感想ですけど、そこがこの映画の欠点ともいえる所だったと思うんです。この映画、終盤においてまで、全ての登場人物にそこそこの見せ場があって、終盤まですべての展開がそこそこ盛り上がるような感じでドンドン物語が進んでいくんです。

主人公が抱える過去のトラウマであったり、家族の問題であったり、将棋におけるライバルとの対戦であったりとかを、全部同じ程度の盛り上がりで済ませて終わるので、逆に全編通してイマイチ盛り上がらないんですよね。この映画、136分もあるんですけど、ずっと同じテンションのまま進むので、一体どこに向かってるのかが終盤に向かえば向かうほど分からなくなっていくので、正直最後の方はかなり退屈でした。まだ原作が終わっていない作品の映像化って凄く難しいアレがあるじゃないですか。「オリジナルエピソードでまとめる」とか「原作において盛り上がるエピソードで一旦区切る」とかあると思うんですけど、どっちにも振り切らない中途半端な感じは否めなくて、凄く勿体ない感じはありました。

 

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ホラー映画感メチャメチャありません?

 

 

キャスト、全体的に良かったです。強いて言えば染谷将太の二階堂役が原作でも一人かなり現実にいない感が頭156つ飛びぬけて強いキャラクターなんで大分抑制されてたけどやっぱりちょっとキツかったり、っていうか有村架純が将棋を打つ様には全く見えないっていうのもあるんですけど。ただ俺も有村架純に愛憎混じった感情をぶつけられたいのでプラマイゼロになっております。ありがとうございました。

 

 

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これですよコレ 皆さん見えてます?コレです

 

全体的な構造に関しては少し好きになれない感じはあったんですけど、中盤までの抑制された演出とか、物語をスムーズに見せてく脚本の上手さとか、良い所は沢山あった映画だったし、後編を積極的に見る程度には楽しめました。イヤ、オススメですよ。見たかったら損はしないと思います。多分。

 

 

3月のライオン 13 (ヤングアニマルコミックス)
 

*1:多分