最近レンタルで見た映画のまとめ

35歳の天パサイコパスバイトリーダーにクソ詰られた非正規雇用労働の終わりに文字列を形成する体力はもう僕にはないので、レンタルで見た映画の感想の殴り書きです。もう神経の電気信号は死んでるので「主演のヘンデクラチョッチョーウッドの演技がすばらしい」と書いた2行下に「俺はこんな映画見てない」とか書きだすんだと思います。すいません誰か救急車呼んでもらっていいですか。

 二重生活

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予告編です

85点

超面白かったです。

主人公が論文を完成させるために「研究の一環」という事である人物を尾行していく…というのが本筋なんですが、この尾行が凄くスリリングに描いているので、このあとどうなる?どうなる?と主人公と同じようにこの尾行を楽しむことができるんです。

そうやって、主人公と観客との視点を凄く同じ所に置かせておいてからの、「実はお前が見られていた」っていう中盤以降の演出が、深遠から覗き込まれたような、心底ゾワっとするくらい恐ろしくて。「見る・見られる」っていう映像作品ならではの観客と対象者の関係性の中で、ここまで楽しませてくれんのか!って感じでした。そもそも、「自分の存在を感じさせない、一歩引いた視点から他人の物語を覗き見る」って、映画やアニメを見ている俺たち観客そのものじゃないですか。

 

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この人のキツネ顔がマジで怖い終盤でした

 

っていうか何故「人は他人を知ろうとしてしまうのか」みたいな、結構コミュニケーションの根源みたいな事も描写してる映画だとも思うんですよ。この映画って、人の欠落をずっと描写し続けてるた映画だと思うんです。他人の欠落を知る事で、今度は自分を省みて「自分には何があって、そして何が無いのか」を考えたりっていう事って結構あるじゃないですか。

他人を覗きみる事で、自分の欠落を知る。その自分の欠落を覗き見る事で、また別の他人は自分の欠落を自覚する。そうやって他人と自分がグチャグチャに入り乱れながら、人は生きていくしかない。ラストの駅前で色んな方向に歩いていく人間たちを映したシーンで「それでも人は生きていてもいい」っていうのを俺は感じたんですよね。凄く優しい視点のある、良い映画だったと思います。基本辛い映画なんですけど。

 

 

イレブン・ミニッツ

ポスター画像

 

予告編です

85点

超面白かったです。

ポーランドの首都ワルシャワで、17時から17時11分の合間に起きた出来事を色々な人物の視点で描いていく感じの作品です。時系列を前後させながら見せていくっていうと「バンテージ・ポイント」とか「桐島、部活やめるってよ」とかがありますけど、そのどれとも違う感じの作品でした。

 

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こんな変な映画があるんですね…という感じ

 

最後の最後まで何の映画なのか全く分からせない様な作劇をしているんですけど、終わった後は俺の世界が全然違うものに見えたので、メチャメチャ面白かったんですけど、「見ない方がよかった…」と若干後悔もある感じで。最後のカスタトロフこそが肝の映画ではあるんですけど、そこまでに渡る描写も、「日常風景なんだけど、なんかどこか変」だったり、現実なのか空想なのか判断付かない場所にいつの間にか放り込まれていたりで、興味の持続でメチャメチャ頑張ってる感がなんか楽しいです。

「日常への不信感」であったり、自らに迫る「死」に凄く自覚的になって作品にどんどん反映させていくおじいさん監督の映画は多分全部最高なんだと思います。80分で終わるし。マジでネタバレ一切なしで見てほしい映画なので、「なんだコレ?なんだコレ?」と思いながら、最後のピタゴラスイッチを楽しんでほしいです。

 

 

秘密 THE TOP SECRET

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予告編です

35点

超つまんなかったです。

死んだ人間の脳から生前に見ていた記憶を引っ張りだして事件の真相を暴く、って設定だけ聞くとメチャメチャ面白そうなんですけど。

そもそもちょっとキャスティングが合ってないんじゃないですか。粗暴な刑事役の大森南朋が、声が高くてすごい無理して荒々しい人を演じてる様にしか見えなかったし、事件のカギを握る絹子役の織田梨沙ファムファタールをやらせるにしては性的な魅了ってこの人には全然ないんで、メンタルのヘルスを損なった様にしか見えない女にしたり顔で攻められるのが凄いムカついて嫌でした。

 

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栗山の千明煮

 

死んだ人間が見ていた映像を追体験するパートでも、設定の面白さが全然生きてない気がしました。「死んだ人間が見ていた映像」のパートに入ると、「1人称視点」で進むのかな?と思いきや、普通に誰の目線でもない「3人称視点」が入ってくるんで、途端にカメラの存在感が強まるんです。つまりすごく見やすい映像作りをこのパートで演出してるんで、「殺人者の脳内を覗くと精神に異常を来す」っていう前フリも全然生きてこないんですよね。見ててストレスとかが一切ないから。実際劇中には狂っちゃって自殺した人間も出てくるんですけど、問題の映像自体に説得力が一切無いせいで、この映画全体にも全く乗れないんですよね。

事件の真相も結局は分からずじまいで終わるし、っていうかこの映画149分もあるんですよ。話もまとまってなくて見にくいし長いし、事件が行き詰まると主人公たちがやる事が「デカい声を出して容疑者を鬼詰めする」だけで、見てて35歳成人男性天パサイコパスバイトリーダーと同じシフトだった日々がグワと来るんで、辛さが個体となって迫ってくる。俺に。

主演の生田斗真岡田将生松坂桃李の演技は見応えあっただけに、作り手側の熱の低さを主演陣が何とかカバーしようとしてる、って感じだけの映画でした。

 

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