メアリと魔女の花

公開から相当時間が経っていたんですが、先週なんとか見る事ができました。お客さんが俺入れて5人だったんですけど、大学生くらいの付き合い立てっぽいカップル2組前後にいて間の席に俺っていう5人だったので、カップルに挟まれて俺も裏返ってしまいました。臓器とかが全部むき出しになった。

思い出のマーニー」「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督の長編監督第3作目が、今作「メアリと魔女の花」ですスタジオジブリの制作部解散によって、手が空いてしまったアニメーターの受け皿として、という経緯もあった今作。宮崎駿も次でマジで最後の作品と言ってる事もあって、ものすごい既視感のある作画と題材とっていう所でかなりの重圧があったのでは…っていう感じですよね。「魔女、ふたたび」って自分で言っちゃってますしね。

 メアリと魔女の花

ポスター画像

解説
借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後に初めて手がけた作品で、同じくジブリ出身の西村義明プロデューサーが設立したスタジオポノックの長編第1作となるファンタジーアニメ。イギリス人作家メアリー・スチュアートの児童文学「The Little Broomstick」を原作に、魔女の花を見つけたことから魔法世界に迷い込んだ少女メアリの冒険を描く。田舎町の赤い館村に引っ越してきた11歳の少女メアリは、7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を森の中で発見する。それは、かつて魔女の国から盗み出された禁断の花だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、魔法世界の最高学府・エンドア大学への入学を許されるが、メアリがついたある嘘が大きな事件を引き起こしてしまう。声優は、NHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」や映画「湯を沸かすほど熱い愛」で注目される杉咲花がメアリ役で主演を務めたほか、メアリによって事件に巻き込まれてしまう少年ピーター役で、「借りぐらしのアリエッティ」でも米林監督と組んだ神木隆之介が出演。そのほか、エンドア大学の校長役を天海祐希、魔女の国から禁断の花を盗んだ赤毛の魔女役を満島ひかり、メアリの大叔母役を大竹しのぶがそれぞれ演じる。

監督 米林宏昌思い出のマーニー」「借りぐらしのアリエッティ

脚本 米林宏昌

   坂口理子「リトル・マエストラ」「かぐや姫の物語

原作  メアリー・スチュアート

音楽  村松崇継夜明け告げるルーのうた」「64-ロクヨン-」

制作総指揮 西村義明「思い出のマーニー」「かぐや姫の物語

制作会社 スタジオポノック

出演 杉崎花「湯を沸かすほどの熱い愛」「トイレのピエタ

   神木隆之介桐島、部活やめるってよ」「バクマン。

   天海祐希「BOSS」「離婚弁護士

   大竹しのぶ「後妻業の女」「黒い家」「鉄道員-ぽっぽや-」

 

予告編です

主題歌です



40点

 

シーン1つ1つを取り出して見たら、良かった所が沢山あった気がする映画なんですよ。

メアリが中盤で訪れる魔法大学の様子を見せていく所とか、細かい所まで描かれていてもっとじっくり見たいしドキドキするくらい楽し気だったし、動物の描き方とかもうね、ネコのちょっとした動きがもうあんまりに可愛らしいんで「ネコちゃん可愛いわね~~~!!」つって叫びましたもん。自分のデカい声で本編の音がよく聞こえなくて「聞こえないんだけど!!」とも叫んだくらいで。本当に。キモオタクのオカマ罪でパトカー呼ばれて今コレ留置所で書いてるんですけど。

 

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なんじゃその顔

 

ただ、面白いシーン、良いシーンはいくつもあるのに、何故か見終わった時には『全体的にメチャメチャ雑』っていう印象が残った感じでした。

序盤からイヤな予感はしたんですよ。主人公である11歳の少女メアリは、大叔母の暮らす田舎に、どうやら両親共々引っ越してきたようだけど、両親はまだ仕事で不在で退屈そうにしてる。でなんやかんやあって、散歩中に森の中で「夜間飛行」と呼ばれる不思議な花を見つけるのだが…っていう所から物語が始まるんです。

どうやらメアリは「自分はそそっかしくて周りに迷惑ばかりかけてしまっている」「自分にしかできない事が何もない」という所にコンプレックスがあるらしくて、そこを克服したい!と思ってるらしいというのが物語が進むに連れだんだんと分かってくるんですが、ここでの見せ方、演出の仕方がなんか変なんですよね。

 

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ここら辺の下りは好きです

 

ここの「そそっかしい」みたいな所の描写も、大叔母さんから渡されたマグカップを落としそうになるっていう下りが、特に『何かに気を取られて手元を見てなかった』とかじゃなくて、【一切私には握力がございません】みたいにスッ…って落としたりするのもメチャメチャ不自然で、始めから掴む気が無かったようにしか見えないんですよね。

庭師の手伝いを申し出たはいいが花を折ってしまう、っていう下りでも、結局コイツが庭師のやり方をちゃんと見てなかったり、どうすればいいのか質問したりとかも一切なく「ボキ」「ああ…わたしダメだ…」つってるから、そりゃ庭師がテメエ帰れ!!ってなるのも分かるじゃないですか。で、自分が上手く出来ないのを「私、こんな赤毛でくせっ毛だし…」とか急に髪型の話が出てきたりして。イヤお前それちゃんと人の言う事聞いてないだけで髪型一切関係ねえだろっていう感じなんですよ。

それに、11歳ってまだ子供だから田舎が退屈なのは全然いいんです。俺だってそうですよ。でもそれを「刺繍が趣味なの」つってる大人しい大叔母さんの前で「退屈で死にそう~~!!」とか言いだすんですよこのガキ。これから世話になるってるその日にですよ。いくら親族だからって失礼でしょ。もう始まって15分くらいの間で、主人公に良い印象が全くなかったんですよ、マジで。

 

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ネコ

 

全体的に見ても、スマートな作りとはちょっと言えなくて。今まで自分が暮らしていた世界から、不思議な世界に迷い込み、苦難を乗り越え成長して日常に戻ってくる話とか、そこから自分の力不足を認めたり反省する事で覚悟を決め、もう一度不思議な世界に乗り込み、勝利することで成長する、みたいな話って結構ある訳じゃないですか

そういう流れはこの作品にもある事はあるんですけど、それが「行って、帰って、行って、帰って覚悟を決めて、でまた中間地点でもう一度覚悟を決めて、で行って、勝利して戻る」っていうのでなんか同じ所を行ったり来たりしてる様にしか見えないんですよね。訪れる場所とかは微妙に変えてるんですけど、主人公メアリの心の移ろいを描写するには、もの凄く冗長な演出だった気がします。

 

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この下りも好きです

 

あとは、この世界における「魔法」っていうのはどういう位置づけなのかもイマイチ分からなくて、そこもノイズでした。「夜間飛行」によって実験が成功した時、すべての人間が魔法が使えるようになって世界は変わる、だから止めないといけない、という所が最終的な物語の目標になっていくんですけど、ここに「魔法」の歴史と背景みたいな具体的な説明は一切ないんですよ。「魔法大学」というくらいなんだから、世界各所にそういう施設があるのか、一般人は知らないだけで実はこの世界の一般社会には魔法使いは普通に存在しているのかとか、そもそも魔法で何ができて何ができないのか。そういうのが全くといっていい程無い。

こういう所がポッカリ空洞になってるんで、「全ての人間が魔法を使えるようになってはならない」というのが、全然説得力を持たないんです。だから、悪役の2人も「実験が好き」以外の所はよく分からないっていう、魅力の薄いキャラクターになってしまってました。声を担当した天海祐希小日向文世はすごく良かったと思うんですけどね…

 

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画像は転校先でミステリ研に入った主人公です

 

主人公の成長という部分でも、「魔法なんか使えなくたって自分の力でできることはある」という所で、魔法の力に頼らず事件を解決したように見せているんですけど、コレってメアリ自身が魔法を使っていないっていうだけなんですよね。メアリは別の人間に魔法を使わせる様に手引きをして、結果魔法の力によって、事件は収束していくんです。そこに一体何の違いがあるのかは俺には全然分からないんですけど、とりあえず「ありがとうございました」っていう感じです。なんか消去法で「夜間飛行は取り出せないからもうこっちでいいや!」みたいな勢いはありましたけどね。っていうか、俺はなんとなくあらすじ読んでから見たんでそういう事なのかなってなったんですけど、全く前情報無く見た人って、「夜間飛行」は一時的な魔法の力を授けるっていうのってセリフで中盤過ぎてやっと説明されるんで、それまで結構混乱したと思うんですけど、どうなんですかね?俺がどこか見落としてただけかもしれないんですけど。

 

ご都合主義的な所に目を瞑ったとしても、「どこかで見たことがある題材」であることは変わりないので、正直新しいスタジオの第1作目の出来がコレだとかなり心配になってくるっていうのは凄くありますよね。あとはSEKAI NO OWARIって殆ど知らなかったんですけど、主題歌は結良かったんで、主題歌オススメです。みんなでapple musicに入りましょう。

 

良い曲

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 アリエッティなのかアリエナイッティなのか

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