ゴースト・イン・ザ・シェル

公開日に劇場で見たんですけど、レンタルリリースという事と5カ月間「面倒くさい」にドブに浸かってたという事で、このタイミングでの感想です。5カ月前にノートに書いた俺の文字が汚くて読めないので、「読めねえな」という感じです。

スカーレット・ヨハンソンが主演という事ですが、作品のルックというか、ビジュアル面に関しては俺は凄く好きな映画でした攻殻機動隊」自体にはそんなに思い入れが無いので、あくまで一本のSF映画としての見方しかできないんですけど、「そんなヤツのでも感想読んでみようかな」という方だけ、続きを読んでもらえれば。「そんなヤツがデカイ面して点数付けて玄人ぶってんじゃねえよボケ死ね」という方は、車の運転中に全部の窓から鳥が入ってくれば。

 

 ゴースト・イン・ザ・シェル

ポスター画像

解説
士郎正宗のコミックを押井守監督が映画化したSFアニメの傑作「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を、ハリウッドで実写映画化。オリジナル作品の草薙素子に相当する主人公の少佐を、「アベンジャーズ」「LUCY ルーシー」などアクション映画でも活躍するスカーレット・ヨハンソンが演じ、少佐の上司・荒巻に、映画監督として世界的評価を受けるビートたけしが扮する。そのほか、少佐の片腕バトー役でデンマーク出身の俳優ピルウ・アスベック、テロ事件を企てる謎めいた男クゼにマイケル・ピット、オリジナルキャラクターのオウレイ博士役でフランスの名女優ジュリエット・ビノシュらが出演。監督は「スノーホワイト」のルパート・サンダース。日本語吹き替え版には田中敦子大塚明夫山寺宏一というアニメ版の声優が起用されている。脳とわずかな記憶を残して全身が機械化された、公安9課最強の捜査官・少佐は、全世界を揺るがすサイバーテロ事件を発端に記憶が呼び覚まされるが、そこには驚くべき過去が隠されていた。

 

監督 ルパート・サンダーススノーホワイト

制作 アビ・アラド 「イングレティブル・ハルク」「アイアンマン」

   アリ・アラド 「ゴーストライダー」「ゴーストライダー2」

原作 士郎正宗GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

脚本 アーレン・クルーガートランスフォーマー」シリーズ

美術 ヤン・ロールフス 「47RONIN」

特殊効果 リチャード・テイラーロード・オブ・ザ・リング」シリーズ

出演 スカーレット・ヨハンソン 「ロスト・イン・トラストレーション」

制作国 アメリカ

 

予告編です

 

50点

 

想像してたよりはずっと面白い作品だったと思います。

 

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主人公のヨハンソン扮するミラ・キリアン少佐が記憶を徐々に取り戻していき、自分という存在に隠された秘密を追っていく、と共に、サイバー技術の破壊を目論むテロ組織を捜査していく、という2つのストーリーラインを同時進行で見せ、段々と合流させていくという流れも見応えがあって、よくまとまっていたと思います。ちゃんとしている。

こういうB級感強いSF映画って、何かと高尚な事をやりたがるじゃないですか。で、自分で広げた風呂敷を回収しきれなくなって、見てる俺も「えっ、これを理解できない俺が悪いのか…?」って混乱してくる感じのダメ映画って、もうそれは沢山ある訳で。だから、「精神とは...?」「肉体とは…?」みたいな方のテイストはそんなに強くなくて、あくまで身の丈にあった物語の着地をしている所に、凄く好印象を抱きました。ちゃんと「今何が起きてるのかが分かる」をしているだけでも、価値は絶対ある映画だと思います。

 

 「今何が起きてるのか分からない」の映画の一例を知りたい方はどうぞ。

askicks1248.hatenablog.com

 

それプラス、最初に書きましたけど、やっぱりこの映画はビジュアル面でグイグイ引っ張ってくれていると思います。ヨハンソンのボタッとした白スーツは置いておいてですけど、舞台となる街の「変な日本感」が楽しめるだけでも全然OKだし、まあもろに「ブレードランナー」のライト版みたいな感じなんですけど、特に今作のラスボスのクゼを追っていっての廃屋にあった一連の美術は緊迫感もあって凄く良かったと思います。本当に息を飲むっていうのを俺やってました。

 

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ヨハンソンじゃなかったらもっと安っぽい映画になってた気はします

 

ただ、個人的には引っかかる所があって。その引っかかる所がメチャメチャデカいっていう感じなんですけど、日本の漫画原作でアニメも何度もシリーズ化、劇場版化されてる作品の主人公を何故欧米人がやるのか、みたいな所は全然良いし気にならないんですが、この映画をどうしても全面的に支持できないのが、制作者側の「白人主義」みたいな価値観が、ストーリーラインのかなり深い所に組み込まれている所なんですよね。

物語の根幹に当たる「義体」を巡るエピソードで、『ルックス的にも身体能力的にも生身の人間より優れている』という義体が、白人の姿形をした男女しかこの作品では出てこないんですよね。しかも、とある登場人物は義体化する前は日本人でしたって、それはちょっとどうなんだ?っていう感じが俺はどうしてもありました。イヤ、結局白人の姿形が造形的に一番優れているっていう価値観を近未来を舞台としたSFに、しかも日本人が書いた漫画原作を白人のお前らが映画にする上でのオリジナル設定に持ってくんのかよ、っていう所が全然飲み込めない。

この作品の舞台となった街も、色々な人種が入り乱れ無国籍感もあって魅力を凄く感じていたんですけど、最後にこういう『2017年』における人種間の優劣意識みたいなのが出てきて、ここで急に冷めてしまった感がメチャメチャありました。ビジュアルとか凄く頑張ってても全然近未来じゃねえじゃん、みたいな。

 

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画像は滑舌の悪いおじいさんです

 

っていうかそもそもその義体化する前の人物たちを悲劇的な描写で見せてはいるんですけど、コイツらもしかしたら極刑に値するような犯罪者だったかもしれない訳じゃないですか。っていうか「街の外に出ると捕まる」って、この世界では一体何が悪で何が問題なのか、後から設定を付けたした分、気になる所がドンドン増えていったんですよね。この街の魅力が、終わってみると「変な日本感」と「かっこいいビジュアル」しかなくなってたっていうのが、本当に勿体ない感じでした。

 

続編が早く見たい&見たいのヤツです。