銀魂

個人的には漫画からの実写化は大歓迎って立場なんですよ。それが例え良作であっても失敗作であっても、その時点で原作に元々あった面白い所、実写化するには必要不可欠だった所、作り手側がどういう狙いを持って作品を理解しようとしていたか、あるいはしようとしていなかったかっていうのが色んな所で語れるのって決して悪い事ではないし、そうやって話題になるだけでも、実写化をされる意味っていうのはあるんじゃないかと思っていて。

良い映画にせよ悪い映画にせよ「この映画のあそこが良い、あそこがクソ」って言い合えるだけでも儲け物っていうか、それが皆が知ってる漫画が原作なら、もっと会話だって弾みやすいわけじゃないですか。「漫画原作やアニメでしかお客が入らない日本の映画界ってもう終わってね?」とか、思わなくもないですけど、わざわざ俺はそんな話したくもないっていうか。っていうか全然終わってないし。誰にもそんなこと聞かれてもないんですけど。

ジョジョの奇妙な冒険」や「BLEACH」、「鋼の錬金術師」と、漫画原作の作品だけで上映前の予告編が埋め尽くされてたのがかなりビックリしたんですけど、今年の漫画原作の映画化ラッシュの先陣を切って、っていう感じなんでしょうか、今日は週刊少年ジャンプの人気漫画が原作の映画です。

 

 

 

銀魂

f:id:askicks1248:20170722032129p:plain

 

解説
週刊少年ジャンプ」連載の空知英秋原作による大ヒットコミックを、小栗旬主演で実写映画化。テレビドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの福田雄一がメガホンをとり、宇宙人に支配された江戸で万事屋を営む侍・坂田銀時と仲間たちの活躍を描く。江戸時代末期、宇宙から襲来した「天人(あまんと)」が日本を開国。天人の台頭と廃刀令により、侍は衰退の一途を辿っていた。そんな中、未だに侍魂を堅持する風変わりな男・坂田銀時は、廃れた剣術道場の息子・新八や、戦闘種族である夜兎族(やとぞく)の少女・神楽と出会う。彼らが営む万事屋の周囲では、次から次へと事件が巻き起こり……。万事屋メンバーの新八役を菅田将暉、神楽役を橋本環奈が演じるほか、新八の姉・妙役に長澤まさみ、攘夷浪士・桂小太郎役に岡田将生、真撰組・近藤勲役に中村勘九郎、銀時の宿敵・高杉晋助役に堂本剛と豪華キャストが集結。

 

監督・脚本 福田雄一 「勇者ヨシヒコシリーズ」

原作 空知英秋

出演 小栗旬  「クローズZERO」

   菅田将暉 「そこのみにて光輝く

   橋本環奈 「セーラー服と機関銃 -卒業-」

 

 

 

30点

 

いや、まあ言っても面白くない映画が見たい訳ではないんで。この映画は全然失敗作の部類に入ってると思うんですけど。個人的には。

そもそも漫画って、実写化には向いていない媒体だとは思うんです。連載漫画って、当然人気が出れば連載が伸び、人気が出なければその時点で打ち切りっていう形態な訳じゃないですか。で、2時間で終わるようにパッケージングされてる映画とは違って、人気が出れば出るほど作品の延命化が進む訳で、そうやってシリーズがどんどん積み重なっていった結果、蛇足的な引き延ばしが段々と多くなっていく、っていうのは何年も連載が続いる漫画であれば絶対に避けられない事象な訳じゃないですか。特に1話完結ではないストーリー物って。

結構長く続いてるような漫画原作を映画化するに当たって、そこをどうやってクリアしていくのかっていうと、まず漫画の第1話に当たる様な、「登場人物たちの関係性がまだそんなに固まってない所からストーリーを始める」事で、映画としての完結をそこに持っていく方法と、原作内で人気の高い1エピソードを持ってきて2時間に収めるっていう方法とがあると思うんです。そういう点で、今作は原作でも人気の高いエピソードでもある紅桜篇を選択したのは妥当な判断だったと思うんですよね。

 

「銀魂 映画」の画像検索結果

 

ただ、正直この作品は映画を見てる感じが全くしなくて。もちろん悪い意味でなんですけど。この映画、130分あるんですよ。で、その内の30分くらいはしょうもないギャグとしょうもないツッコミと、役者のアドリブと、役者の面白い顔面白い挙動の『べろべろばあ』的な面白シーンなんです。

なんか役者が面白い顔したら”ポワ~ン”みたいな効果音が鳴ったりとか、「ってバカボンのパパみたいじゃねえか!!」みたいな、漫才のツッコミみたいなセリフを役者が声に出して叫んだりとか。俺、もう他にたくさんの人がいる中でこういうテレビの漫才的な面白おかしいシーンを映画で見るのが、本当に無理で。もう無理中の無理で。ムリムリの実の能力者で。この映画の一番最初の5分くらいで「この作品ではメタネタも何でもアリなんで!こういう感じでいかせてもらうんで!ウッス!」みたいな核弾頭みたいな怒涛のクソ寒い展開のつるべ打ちで、俺はもう頭抱えちゃったんですけど。

劇中で「ギリギリを攻めたギャグですね!」ってわざわざ役者に言わせてるっていう親切な設計なんですが、一番最初に主人公になんでもアリな立場を与えちゃったら、これ以降のシチュエーションで面白がれるシーンを全部殺しちゃってる気がするんですよ。ただただずーっと過激さに過激さを2乗していくだけのギャグシーンの連続にしかなっていなくて。原作であった長~い言い回しも、22分のアニメならまだ見られたのが130分連続で聞かされるのは、かなり辛かったです。

 

「銀魂 映画」の画像検索結果

 

イヤ、そりゃあさ、俺も笑っちゃったシーンありますよ。佐藤二郎は俺メチャメチャ好きだし、佐藤二郎のアドリブっぽい台詞と挙動で思わず笑っちゃったシーンいくつかありますよ。でもそれってさ、この映画に笑わされたんじゃなくて、佐藤二郎に笑わされたって事じゃないですか。別に佐藤二郎は才能メチャメチャある俳優なんだから、次出る映画でも同じようにアドリブやって同じように面白い感じになる訳じゃないですか。それって、この「銀魂」だけが持っている面白さとは全然違う所にあると思うんですけど、どうなんですかね。後ろの席にいたおじさんとか終始フーッ!!フーッ!!って笑い我慢してて鼻息が2.1chですごい聞こえてきてたんですけど。

さっさと次の展開行ってほしいのにアドリブやしょうもないメタネタに時間かけて間延びしてる感じもあったし、正直130分がメチャメチャ長く感じました。これは俺の単純なイメージだったんでアレなんですけど、原作の印象から「痛快勧善懲悪娯楽アクション+ギャグ」って感じで見に行ったら、とにかく全体がダラダラした長くて見にくい映画見せられた感じはありました。

 

「銀魂 映画 CDTV」の画像検索結果

 

映画を見てる感じがしない、っていうのは他にもあって。例えば、登場人物が序盤から終盤にかけて、学び、成長するっていう過程が殆どないですよね。登場人物の関係性が完全に固まった状態から始まる作品なんで、好感度MAXになった状態をずっと楽しむっていうのは、分からなくもないんですけど他に面白みに欠ける分、ちょっと。

キャラクターの関係性以外の所に目を向けても、正直上手い作りの映画とは到底思えませんでした。キャラクターの紹介混みで、本編となる事件が始まる前に、カブトムシを捕まえる短いエピソードがあるんですけど、(俺は本当に中村勘九郎は仕事選んだ方がよかったと思う)まあなんやかんやあって、銀時がもう少しで目的のカブトムシを捕まえられるっていう一歩手前までいくんですよ。「よーし!こーい!」って叫んだ瞬間、川からメチャメチャデカい魚が出てきて、カブトムシを食べちゃって「あーあ」みたいな感じで終わるんですけど、見てるこっち側は当然「あっなるほどね、こんな序盤、しかも特に前フリもなく出てきたこの魚が、終盤の展開ではちょっとした伏線となって回収される訳ね」と思う訳じゃないですか。.....................何もないんですよね。

で、ちょっと飛んで中盤で、新八が敵の戦艦に乗り込むぞ!っていう下りがあるんですよ。まあ、こいつ頭おかしいんですぐ見張りに見つかるんですけど、「イヤ、ぼくこういう戦艦がすごく好きで!ちょっと中を見てみたいな~見れないかな~」「えっお前も戦艦好きなの?うーんどうしよっかな~うーんうーん…って乗せるかーーーーい!!!!」みたいなクソ寒くて長い長いノリツッコミが入るんですよ。なんならノリツッコミ長っ!みたいなセリフも言わせる感じで。イヤもう別に関係ないんならこんなん見せんなや…ってなるんですけど、また後の展開で、新八がさっきノリツッコミされた同じ所から、ちょっとだけ変装して忍びこもうとするシーンが来るんですよ。当然「見ない顔だな?」って怪しまれるんですけど、ここで「イヤ、何いってんだよー俺だよ俺ー!」「ん…あっ!なんだお前かーハイハイお前かー!」って何故かすんなり入りかけるんですよね。見てる方は当然「あっなるほどね、わざわざ似たような構図で侵入するシーンを見せてるのは、さっきのノリツッコミのシーンがここで何かしらの方法で生きてくる訳ね、そういう事ならまあ…」と思うじゃないですか。百歩譲って。……………………………普通に侵入成功するんすよね……………………………………………………………………………………。

なんかもう、ちゃんと見ようとしてる俺がバカみたいっていうか。段々とマジで全部どうでもよくなってきてました。スクリーンの隅の方とかたまに見てました。辛くて。もうコレ、テレビシリーズでテレ東の25時とかにやってればよくないですか?テレビでやらずに劇場版になってできたことが「ギリギリのメタギャグ」だけって、俺はそれを見たい為に銀魂のチケットを買った訳ではないんですけど。

 

「銀魂 映画 中村」の画像検索結果

なんかこういう構図でどこかの居酒屋の正社員のインタビュー画像見た事ある気がする

 

アクションシーンの取り方も絶望的に下手だし、見た方に教えてほしいんですけど、劇中の描写だけだと、なんで最後に銀時が以蔵に勝てたのか全然分からなくないですか?絶望的な力量の差がある!って言われてたのに、なんか特にロジックも無いまま何となく勝てて何となく終わったようにしか見えなかったんですよね。あと俺がマジで嫌だったのが、また佐藤二郎がアドリブで面白い言い方してるシーンで、横に立ってた菜々緒がカットかかると思ったのか、普通にカメラに顔見せない様に後ろ向いて笑ってるシーンがあるんですね。イヤここ菜々緒がどうとかじゃなくて、普通にこのシーンを採用してる作り手側がどうかしてるんですよ。イヤ、マジで作ってる側どうかしてるんじゃないんすかね。ただただ、その時に思いついた面白いやり取りを「これいいんじゃね?」つって積み重ねてるだけとしか考えられなかったです。

 

「銀魂 映画 神楽」の画像検索結果

 

まああの、良かった所を挙げるとするなら、役者陣は良かったと思います。

神楽もちゃんと神楽に見えるっていうか、マジで俺、小栗旬は偉いなと思って。ルパンやって銀時やってって、そんな俳優今いないですよ。2017年にそんな見える地雷踏む勇気ある俳優なんて。もう次にルフィとかそれ級のアレが来たら、国民栄誉賞とかマジで検討してもらいたいです。でもな…鼻ほじるのはいいんだけど、鼻をほじりなれてない人間のほじり方なんだよな…もっと親指を使って鼻の奥でなくて上の方を意識するとかさ、鼻毛にからまって鼻水を意識して爪を使ってみるとかさ、あんまり汚い感じがしないんだよな…本当にメチャメチャデカい鼻くそ撮影中に取れても問題なんですけど…。

 

 

 映画公開と共に発売されたビジュアルブック。役者陣に関してはメチャメチャ嵌ってたと思います。

 

菅田将暉のチンポしゃぶりたいポインツが最高潮になる映画を一つ挙げろと言われたならコレです。