パッセンジャー

個人的にはクリス・プラットは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のスター・ロードとしかもう見られないんですけど。好き過ぎて。この映画見た時も「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」の予告編が見られてアーって感じで。もう今思い返してみるとそこが一番テンション上がった所だった気がしてます。

映画のルック的にはSFはSFでも、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とは対照的なハードでシリアスな雰囲気がかなり漂ってくる感じなんですが、さて本編はどんな感じなのか…という。

この作品、かなり重大なネタバレ要素を広告でも予告編でも徹底して隠している作品でもあります。で、そのネタバレ要素をひた隠しにしながら感想を書く自信も力も俺には無いっていう。そんな感じで良くも悪くもこの映画、マジでまっさらな状態で見た方が絶対良い映画だと思うんで。100の内75くらい物語の内容書いちゃう感想って感じでも全然見るよOK!っていう「お前それ絶対見に行かないヤツでしょ」って人だけ読み進めて貰えればって感じです。

 

 

パッセンジャー

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解説
ハンガー・ゲーム」「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラットが主演を務め、宇宙船内で極限状態に置かれた男女の愛と運命を描いたSF大作。20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム監督がメガホンをとり、「プロメテウス」のジョン・スパイツが脚本を手がけた。

 

監督 モルティン・ティルドム 「イミテーション・ゲーム

脚本 ジョン・スペイツ 「プロメテウス」「ドクター・ストレンジ

美術 ガイ・ヘンドリックス・ディアス 「インセプション」「スティーブ・ジョブズ

出演 ジェニファー・ローレンス 「ハンガーゲーム」「ジョイ」 「ウィンターズ・ボーン

   クリス・プラット 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ジュラシック・ワールド

   マイケル・シーン 「フロスト✖ニクソン

 


映画 『パッセンジャー』 予告

 

40点

 

予告編での何となくのイメージだと、「宇宙船のAIか何かの陰謀で目覚めさせられた男女2人が紆余曲折あって真相に気付き、AI側の思惑を乗り越え自己犠牲的な力を示し、最後に人類は解放される」みたいな感じなのかなと思ってたんですよね。個人的には「インターステラー」よりも「オデッセイ」、「コンタクト」よりも「アンドロメダ…」とかの方が好きだったりするんで、そのイメージであればもう俺の大好物なんですよ。飽くまでも「広大な宇宙の中では塵みたいな存在ながらも、それでも人間にしかない力を示し、そして勝利する」っていう着地のSFが俺は好きで。そこに神的な要素とか、人間より1段階上の存在に導かれて…みたいな方に行くとウス…って感じになっちゃうんですよね。もろに「コンタクト」なんですけど。全然好きな映画ではあるんですが。

で、今作なんですけど、ちょっと思ってたよりイメージと違って。あくまで人間の内面的な「罪と罰」とか「贖罪とは…」みたいな方を重めに語っていこうとする感じなんですね。こういう話をSF的なガジェットを使ってやろうとするのは結構新鮮で、序盤は「おっ、思ってたのと違うけど良さそうだぞ」ってかなり期待できたんですよね。

 

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ただ、正直言って、このテーマを充分に突き詰めていく内容だったかと聞かれれば、全くそんな事はない映画でした。作中で何が起きるかといえば、「重すぎるテーマの解決方法を見いだせないまま、作り手側がその点については最終的に放棄する」っていう、かなり酷い物で。あらゆる描写が薄っぺらいまま進むので、まあ苦痛な116分でした。

それに加え、酷かったのが作り手側が一体誰の目線で物語を語ろうとしているのかが見えてこない所で。例えばクリス・プラットが艦内を走るジェニファー・ローレンスに艦内放送を使って説得を試みるシーンがあるんです。クリス・プラットが喋るシーンでは優し気なアコギを使った音楽を使用してる一方で、その説得にうるさいうるさいうるさーーーーーい!!!ってキレたローレンスが喋るシーンでは、ちょっと緊迫した様な音楽を使ってるんですけど、この間ってもう殆どシームレスなんですよ。「今画面内に大写しになってる人間の心情を音楽にしました」ってだけで、この映画はテーマ的には一体どこに主眼を置いているのが全然定まっていないっていう事だし、もしそれが出来ないのであれば、ここは全然無音でもいい訳じゃないですか。なんか、見やすさを配慮してるようで逆に見にくくしてる様な、そんな印象を受けました。

 

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では物語の推進力をどこに置いているのかっていうと、この映画ではクリス・プラットジェニファー・ローレンスのいちゃ付きとちょっと重めな痴話喧嘩」っていう所しかないんですよね。さっさと次の展開行ってくれよ!って、見てる方はとっくの昔に飽き飽きしてるんですけど、スクリーンの中では2人でダンスバトルやってるんだけど…長いし…っていう感じで。なんかこう、大人な映画を期待して見に行った方が間違いで、どちらかと言えばティーン向けな映画だった気がしますね。意外に早めに和解するしね。

中盤でかなり唐突に3人目の生存者っていうか、目が覚めちゃった人間としてローレンス・フィッシュバーンでお馴染みモーフィアスが登場するんですけど、主人公ら2人を導いていくキャラクターなのかな…と思いきやただただ彼らにアイテムを渡してすぐ退場するっていう、とことん愛を向けられないキャラクターで、ちょっとここもガッカリでしたね…。「ここは私に任せて先に行け!」的な感じでもなく、ただただお腹痛いっすわ…つって段々と元気がなくなってくだけなんですよ…モーフィアス…。

 

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なんか最近見る映画見る映画どっちかが出演してる気がします。

 

まあでも、見る所が全くない映画という訳ではなくて。登場人物は本当に少数精鋭っていう言葉がぴったり合うほどいい役者だけで。特にジェニファー・ローレンスがメチャメチャ良かったですね。さすがにオスカー貰ってるだけあって、この映画の品格に見合わない程の熱演ぶりでした。

物語そのものに目を向けてみても、途中で船内の重力が失われるというシーンの中で、プールでジェニファー・ローレンスが泳いでいた所に水が室内いっぱいに浮き上がってしまって危うく溺死しかけるっていう一連のアクションシーンは結構フレッシュで良かったです。

正直そこくらいなんですけどね、この映画で俺の好きな所って。罪と罰」的な所を真摯に攻めた作品であったとしても、結局はこの映画の主役はクリス・プラットっていうガタイの良い超イケメンな訳じゃないですか?そこでまずこの艦内で起こったことに関して許す許さないって話をされても「イヤでも君らは知らないかもしれないけど俺はクリス・プラットではないしな…」っていうのはノイズになる訳で。だって俺はクリス・プラットではないから。

あとは何ですかね。もう細かいんですけど、なんなら「お前マジでチャンスあったら殺すからな…!!」みたいになってるんですジェニファー・ローレンス。で、朝になって、クリス・プラットがキレてる女を食堂で見かけるんですけど、ローレンスのテーブルにはマフィンとか、カフェラテとか結構しっかりしたメニュー乗ってるんですよね。イヤお前朝から全然食う感じなんだね!みたいなのとかはありましたね。で、クリス・プラットが声かけると黙ってローレンス朝飯ガッシャー!!!!ってぶちまけたりなんかしてね。お前確実にそれやりたくて声かけられるの待ってたろ!的な。そんな感じですね。

 

 

 複数形になるとアン・ハサウェイになります。

 

 イヤでも無重力シーンは迫力ありましたよ。マジで。