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SING シング

CGアニメってちょっと昔の作品見ると、結構違和感ありますよね。なんかジャギジャギしてるっていうか。それだけ今のCG技術がとんでもないスピードで発展していってるっていう事だと思うんですけど、いざ映画館で作品を見てみると、じゃあ「アナと雪の女王」と「ズートピア」では劇的な変化に気付けたのかって聞かれると、そういう風には感じられる訳ではなくて。何故かアハ体験みたいな事にはなってます。「超 痴女メイド!2」の動画初めて見た時は「スゴッ!」って声は出ましたけど。

 

 

という事で(という事で?)今回は、良作を連発してきたアニメスタジオの最新作です。

 

 

SING シング

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解説
ミニオンズ」「ペット」などのヒット作を手がけるイルミネーション・スタジオによる長編アニメーション。マシュー・マコノヒーリース・ウィザースプーンセス・マクファーレンスカーレット・ヨハンソンジョン・C・ライリータロン・エガートン、トリー・ケリーら豪華キャストが声優として出演し、レディー・ガガビートルズフランク・シナトラなど誰もが知る新旧ヒット曲を劇中で披露する。人間世界とよく似た、動物だけが暮らす世界。コアラのバスターが劇場支配人を務める劇場は、かつての栄光は過去のものとなり、取り壊し寸前の状況にあった。バスターは劇場の再起を賭け、世界最高の歌のオーディションの開催を企画する。極度のアガリ症のゾウ、ギャングの世界から足を洗い歌手を夢見るゴリラ、我が道を貫くパンクロックなハリネズミなどなど、個性的なメンバーが人生を変えるチャンスをつかむため、5つの候補枠をめぐってオーディションに参加する。監督は「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングス。

スタッフ

監督ガース・ジェニングス

製作クリス・メレダンドリ ジャネット・ヒーリー

脚本ガース・ジェニングス (映画.comより)

 


映画『SING/シング』 吹替版特別予告編

 

75点

 

新作のレンタルDVDをPS4に突っ込む度に黄色い物体の茶番を見せられるでお馴染み(アレあってもいいけど、せめて定期的にアニメーションを新作に変えてくとかしてほしくないですか)の「ミニオンズ」や「ペット」を手掛けた、イルミネーション・スタジオによる長編アニメーションの最新作です。

 

ある一点に向かってテンションがドンドン高まっていってクライマックスで爆発する音楽モノ、劇場モノって聞くと、もうそれだけで一定の面白さは保証されてる様な気さえするんですよね。「今宵、フィッツジェラルド劇場で」っていうメリル・ストリープがヤバイ映画があって、コレも歌モノ劇場モノって感じなんですけど、歌と劇場要素が魅力的過ぎて、ドラマ部分が「なんかあんまり関係ない人が可哀そうな死に方をしてた気がする…」くらいにしか印象にないっていう作品もあるくらいなんで。

 

 

要はこの2つの要素って老若男女問わず結構好き、っていうのはあると思うんです。勿論、例にもれず、この『SING』も歌と劇場が肝の作品です。

地元で吹き替えの上映しかやってなかった事もあって、字幕は見る事が出来なかったんですが、正直、作品自体が持つ魅力も去ることながら、吹き替え用のセリフ、演技共にメチャクチャ完成度が高くて驚きました。声優畑ではない役者や芸能人を主要キャストに起用してるアニメ作品で、声の演技で感動したのってちょっと今まで記憶に無かったんですけど、ヤバイですね。トレンディエンジェルの斎藤さんの演技で泣きそうになるなんて見る前は想像もしてなかったんです。マジで。山寺宏一坂本真綾はもう勿論って感じなんですけど、引っ込み思案だけど歌がメチャクチャ上手い象の女の子の役、声聞いた時は「なんか10代くらいの声した女の子だな…」と思ったらMISIAだったっていうのもありましたね…。

 

 

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群像劇っぽく見せていく作品なんですけど、この登場人物それぞれにスポットを当てたドラマも作りが丁寧で、かなり胸を打たれてしまいました。

実際、劇中のオーディションに合格して主要メンバーになっていく5人(もしくは5匹)の作中における悩みって、結構似通ってる所があったと思うんですよ。要は「他者からの解放」であったり「自身の願望や夢が、日々に忙殺される事でいつの間にか消えてしまうのではないかっていう恐ろしさ」だったりする訳じゃないですか。基本的には。

ハリネズミが針飛ばしながら「あぶなーい!」なんてやってる映画ですけど、コレって結構普遍的なテーマだと思うんですよ。毎日の出来事に疲れ、日々に埋もれていって「自分が本当にやりたかったこと」から少しずつ遠のいてしまっている気がする、もしかしたら、いつの日か本当にそれを忘れてしまう日が来るかもしれない…そんな予感だけはする…って、結構皆が共感できる事だったりする訳じゃないですか?

 

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この映画の優れている点は、語られるテーマは普遍的でも、登場人物それぞれは「自分だけのドラマ」を生きてるっていう風にしっかり演出している所にあると思うんです。それぞれに用意されたドラマを、場所を変え、視点を変え、語り口を変え、移動手段を変えっていう風に見せ方をドンドン変えていくんです。

群像劇として、実は似通っているはずの各キャラクターが抱える問題を、各キャラクターでしか成しえない方法でしっかりと解決させていくし(ちょっと強引なやり方もありましたけど)それがあるからこそ「皆それぞれに何かを克服しようと努力してるし、そして最後に、本当にその夢の入り口に過ぎないかもしれないけど、それを叶えてみせる」っていうのに凄く説得力があったと思うんですよね。そしてそれがしっかりしているからこそ、最後の展開に向かって、否が応でも盛り上がっていくし…。

 

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ただ、合わない人にはとことん合わないだろうなっていう要素もある作品で。まずもう開始5分で主人公のコアラがマジのクズだっていうのが分かるっていうのがあるんですよね。スタッフに給料も払わずに、自分は結構な人込みの中を自転車で「しっつれー!」なんて言いながら上機嫌で逃げていったり。この映画を結構面白く見れた俺でも、未だに「イヤでもお前あそこちゃんと謝れや!」ってなってる部分は多々あります。

「いやー感動した…やっぱり歌っていうのはいいね…象の女の子に『SING...』って語りかける所とかね…あと豚のお母さんの『イヤそっちの道で食っていった方がやりようあるんじゃないの!?』ってなる所とかね…笑える所いっぱいあったね感動もしたね…………………………イヤでもやっぱりお前あそこちゃんと全員に謝れや!!!菓子折り持っていけや!!!!!オイ!!!!!!笑うな!!!!!!!!!!」みたいなね。

 

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まあでも、中盤、コアラが何とか資金集めをする為に身体張るシーンの下りは本当に好きで。もうマジで「俺は今一体何を見てるんだ…??」って自分の目を疑いたくなる様なシーンなんですけど。もう基本狂人なんですよね、このコアラって。ここまで死ぬほど前向きだったりすると、逆に清々しく思える部分もあったりして。

終盤の盛り上がりに向かえば向かうほど、そのコアラのテンションに付き合うかの様に「なんじゃそりゃ!?」っていう展開も多くなったりしていくんですけど。細田守映画の終盤によくある「倫理的にどうとかは一先ず置いておいて…」みたいなのが人数分ある終盤の感じ、その狂った勢い含めて、個人的には楽しく見られた1本でした。

 

 

どうでもいいんですけど、ゴリラが出てきた瞬間に後ろの席のカップルが「全力少年の人だ!」って結構デカめの声で叫んだんですよね…。

シング-オリジナル・サウンドトラック

シング-オリジナル・サウンドトラック

 

 

 SING繋がりで…