読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フクダのおじさんは体格が良くてしかも髪型がリーゼントだったので怖くて毎回逃げる様にして時計屋を飛び出し

初代ポケモンで一番最初に選んだのはヒトカゲだった。


何故?と聞かれれば「進化後には『いあいぎり』も『かいりき』も『そらをとぶ』も覚えられてダンジョン探索には便利だから」「小学生の頃に同級生だった山田くんが、よくトカゲを下校中に見つけては踏んで殺そうとしていたのがトラウマになって、無意識のうちに選んでしまっていたから」「元気で活発だった山田くんとはその後何度もポケモンで遊ぶ事になるんだけど、彼が持ってたポケモンカードリザードンが強すぎて、それもちょっとしたトラウマになっていた」「その山田くんは高校に上がるか上がらないかの頃に亡くなってしまったんだけど」「…………」「……ごめん…」という事ではなく、「何となく」だ。

 


発売されたのが1996年、当時小学校に入学したばかりだった私には、画面上で何が起こっているのかも把握できないままに、いつの間にかオーキド博士から3つある内の一番左のボールを選んでいた。

 

分からないままに草むらをうろついて、ポッポを殺して、ゲームボーイの電池が切れて、近所の商店街で唯一電池を販売していた時計屋で定価320円の単4電池を買って、時計屋の店主のフクダのおじさんは体格が良くてしかも髪型がリーゼントだったので怖くて毎回逃げる様にして時計屋を飛び出して、毎回その勢いで道路に飛び出すので何度も車か自転車に轢かれそうになって…だった。

 

そういう、「死の恐怖」を生まれて初めて感じたのが「ポケモンで遊ぶ」がトリガーになった出来事だったので*1、私の中でのポケモンの記憶の半分くらいは「時計屋が怖かった」と「車に轢かれそうで怖かった」と「月に1000円しかお小遣いで貰えないのに電池が高すぎる」という、ポケモンとは全く関係の無い要素が占めてしまっている。

 


思い返してみれば、ポケモンの思い出がゲーム本編というよりかは「ポケモンというゲームにのめり込んでしまったが故のデメリット」が多い。
まず「レポート」が分からなくて困った。

 

もしかしたら日本語覚えたての黒人の方も読んでるのかもしれないので一応説明しておくと、ゲームにおけるセーブ機能がこの「レポート」に当たる。あくまでポケットモンスターの世界観に即した形での「レポート」という表記だったと思うのだが、小学生の私にはイマイチこの機能が理解できなかった。

 


とりあえずメニューを開いて押してみても、ガシューンの効果音がするだけ。

このガシューンを何度も何度も聞いている内に、忍者戦隊カクレンジャーが大好きだった私は、オーキド博士の家が人型ロボットとかに変形とかしてるんじゃ…?それで噂のミュウツーと闘えるんじゃ…?と、ちょっと期待してマサラタウンに何度も戻ったりしたけど、オーキド博士の家どころか、シゲルのお姉ちゃんがパワードスーツを着込んでジェット噴射で宙を浮いている訳でも無く、いつも通り家屋が数件しか存在しない限界集落がそこにあっただけで、少しガッカリしたのを覚えている。

 

イベントがストップしたり行き詰まったりすると、とりあえずカーソルを合わせたりしていたので、結果的にはこまめなセーブとなってゲームの進行に困る事は殆ど無かったんだけど、セーブしているという意識が終盤あたりまで無かったので、「何だ...?何が起こったんだ...?」の困惑が、かなりの間続いていた。

 


ただ、幼稚園の年少組の時点で針時計の読みを覚えた事から「神童」と巷でちょっとした噂だった私なので(主にウチのおばあちゃんから)「レポート」は分からなかったが、「レポーター」なら、めざましテレビで聞いた事があった。

 

何かヒントがあるのではないかと、レポーターに思い当たった次の日の朝、7時28分から始まる芸能コーナーの軽部アナをジッと見つめてみたが、蝶ネクタイを付けた小太りの中年男性がハキハキと喋る様子を10分堪能できただけで、分かった事といえば「軽部アナはすごく元気がいい」以外になかった。

 

強いていえば朝にテレビの前で軽部アナを見ていたらちょうど夜勤帰りで遅い夜食を食べていた父に「ボサッとしてないでさっさと学校行けや!」と頭をブッ叩かれた事から「父は仕事帰りだと朝でもイライラしている」も付け足していいけど、結局ヒントらしいヒントを見つける事はできないままに、リザードンだけが異様にレベルの高いパーティでバッジをいくつか手に入れていた。

 


それから私の中の「レポートというのはガシューンという音を聞きたい時に押すコマンドである」という思い込みが塗り替えられるのは、忍者戦隊カクレンジャーの放映が終わってから、ニンジャブラック役だったケイン・コスギが筋肉番付でしか見られなくなってから、クラスで一番足の速かった大野くんに「兄貴がポケモンやりたいらしくて貸してほしいんだけど、レポート使ってもいい?」と聞かれたので(お兄ちゃんもガシューンが聞きたいのかな)と快く貸し出してからになるのだが、少し辛い話なのでそれはまた今度。

 

 

ブラック以来購入していないのですが、今回のは少し気になっています

 

 軽部アナは元気がよい

君の好きなヒト   (CCCD)

君の好きなヒト (CCCD)

 

 

 

*1:あと「フクダという苗字の男」と「リーゼント」