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「早く冬が終わってくれ!」と願いながら西尾維新の家がある方角に向かって寝る前20分のお祈りを捧げてる毎日

3mの雪に囲まれた実家で「早く冬が終わってくれ!」と願いながら西尾維新の家がある方角に向かって寝る前20分のお祈りを捧げてる毎日を繰り返していたらいつの間にかもう5月である。
こんな事を繰り返していたら、月日などドンドン過ぎ去ってしまうし、出来れば私はまだまだ20代でいたいので、明日からは西尾維新へのお祈りを5分くらいに縮めなければならない、時間への体感スピードはこれで1/4になるはずだ。


過ごしやすい季節になってきて、巷に出れば聞こえてくるのは「初任給どうする?」「やっぱローン組んで車かな!」と牛丼屋で盛り上がる高卒と思しき新入社員たちの若い笑い声と、(頼むからミライース水曜どうでしょうのステッカーを貼る様な人間にはならないでくれ)小中学生が乗った自転車の多さである。
立ち漕ぎでケツを『これでもか!』と左右に振りながら全速力で車道の横を走行する坊主の中学生たちは大抵笑顔なので「ケツを振るのが好きなのかな?」と一瞬思ったが、私が中学生の頃も笑いながらケツを振って自転車を漕いでいた気がする。


私の実家周りはとにかく坂が多い地域で、夏なんて「ちょいと外で一漕ぎしてくるわ!」と母に叫んだ10分後には坂、坂、坂の連続で汗だくになって帰宅、近所の熊倉くんの家に自転車で遊びに行くだけでも、ちょっとしたクライミングをしなえければならなかった。
角度でいえば多分30度、イヤ熊倉くんの家で飼ってた室内犬が私の姿を見る度に嚙みつこうとしてきた時期は誘われても遊びに行くのがイヤでその時は60度近く、イヤ熊倉くんの家からもう少し登った所にあった小学校グランドでの夏休みのラジオ体操に行く時はもっとイヤだったから、夏の期間の坂は80度くらいにはなってた気がする。小学校に行くのに、ほぼ直角の坂、っていうか崖が確かにあったのだ。普通無理だ。家でクーラーのある部屋で桃鉄をやってた方がずっといい。普通死ぬし。


運動神経も悪い子どもだったので、何人かの友達と集団になって移動する時なんかは、みんなが自転車を漕いでるその後ろから何とか必死に追い付こうと、また汗だくになっていたが、毎日毎日
みんなの後ろ姿を見ている内に私にある能力が身に付いていた。「自転車に乗った時のケツの振り方」で、後ろ姿だけでそれが誰なのか、大体分かる様になってしまっていたのだ。


例えば、上り坂でも平坦な道でも変わらずに、腰全体を左右に振りながら常に一定の速度を保とうとするのは「スタンダード型」。足が速かった大野くんや大滝くんといった、運動神経が良い人間によく見られるスタイルで、ケツの振りが一定になればなる程、その人間的な気性も安定していた気がする。中学生のお兄ちゃんとよく喧嘩して顔に絆創膏を貼って登校する事の多かった清水くんは、ケツの振り方も強弱がまばらで、荒い気性をケツの振りで私は見抜いていた。
ケツはあまり動かさずに、膝にほぼ全体重をかけながら走行するのは運動が出来ない人間に多かった「早歩き型」で、全体的な筋力が足りないので、おとなしいケツの振り方になってしまう事が多かった。コレは熊倉くんや今川くん、中学の卒業式でお父さんが黒のスカジャンを着てきた山崎くんあたりが該当していて、一番よく目にする事の多かった漕ぎ方だ。「自転車を傾けて漕いだ方が坂道は楽!」と言ったいいが、傾け過ぎて車道に転げ落ちたのは松井くんのお兄ちゃんだ。後ろを走っていた松井くんの自転車に轢かれかけて、理不尽なビンタをしていたのが懐かしい。
7段変速機のクロスバイクを買ってもらったいいけど、いつでも一番重いギアにして急な坂を登っていたので、ほぼ静止くらいのスピードで坂をゆっくりゆっくり登っていたのは実家が八百屋の早野くんの「早野くん型」。あまりに辛そうなので「ちょっと軽いギアにした方がいいんじゃない?」と聞くと「来年野球部に入るから鍛えてる!!」とメチャクチャ怒られた日から「バカ型」になったけど。


みんな、元気にやっているのだろうか。今も個性あるケツの振り方をしているのだろうか。多分今見ても見分けられる気がする。
そういえば最後に自転車に乗ったのはいつだったか。
高校に入学してからは電車通学だったし、駅までは歩いて行ける距離だったから、多分中学生の頃からずっと乗っていない気がする。今、何年ぶりに乗ってみたらどうなるだろう。
漕げない事は無いと思うが、あの時みたいにケツを全力で振りながら30度の坂を駆け下りる、みたいな事は怖くて多分出来ない。しかも笑いながらなんて絶対に無理だ。今笑いながらケツを振る事態なんて、そういうお店に行ってお金を払って体験させてもらうか、協会から「明日から西尾維新の家の方角に向かってお祈りをする際は、笑いながらケツを振ること」とのお達しが無い限り、あり得ない事になってしまった。…まあ、それで時間への体感スピードが遅く感じられるのなら。まあじゃねえな。


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