2階部分に似てるぞ…」と昼休み中ずっと何でもない手すりを凝視してたり

毛布をいい加減片付けようと押入れの中を整理していると、アーマードコア2のラベルが貼られたPS2のメモリーカードが出てきた。


私はこういうロボット系のゲームやアニメに幼少期からあまり馴染みが無く、アーマードコアシリーズも買った事も、プレイした事すらも無かったはずだが、よくよく見てみると何だか覚えがある様な気がする。多分ガンダムやらエヴァンゲリオンやらのロボット系や特撮系が大好きだった今川くんのヤツだと思う。


っていうか、彼しか思い当たらない。
コレが無いとデータのセーブが出来なくなる様な代物がココにあるという事は、持ち主は当時メモリーカードを複数所持していた人間だ。
当時はメモリーカード8Mで2500円前後だったと思うから、小中学生にはかなり高価な代物だ。あれば便利だが、無くても本体を買えばセットで付いてきたメモリーカードのデータをやりくりすれば何とか…で済むといえば済む物を買ってしまえる財力があり、しかもアーマードコア好きだった人間といえば、私の狭い交友関係の中では、お父さんがリゾートホテルの料理長だった今川くんしかいないのだ。*1


全く趣味が合わなかったのに彼の家によく遊びに行っていた私は、今川くんがPS2アーマードコア2を1人で3時間遊び続けてるのをボーっと見ては「夕飯だから帰る」「アー」とだけ喋って解散する、という平日の夕方を何ヶ月も過ごしていた。恐らく今私の手元にある物が、その時にPS2に刺さってたアーマードコア2専用のメモリーカードのはずだ。
何故あの酷使され続けたメモリーカードがここに…?私の家に私が全く出来ないゲームとメモリーカードが持ち込まれ、我々はまた意味の分からない時間を過ごしてきたのか…?今になってあっちも「メモリーカード出てきたよ!」と渡されても困るだろうけど…


極力、物の貸し借りの無い人間でありたかったが、良く言えば物欲が強いというか、すぐに誰かが持っている物を欲しがる我慢のできない子どもだったので、借りたゲームやら何やらを「もう1日だけ貸してくれ!」と言いに学校に行っていたレベルで、常に何かしらを借りていた気がする。


振り返ってみれば、ついこの間まで借り物だった「ガンパレード・マーチ」が家にあった。
コレはプレイヤーがロボットやら戦車に乗った兵士になって、宇宙から侵略してきた異形の怪物たちを殲滅していくシミュレーションゲーム
「ロボットに乗って兵士になってもいいし、ロボットを整備するメカニックになってもいいし、っていうか別に何もしなくてもいいし、毎日女の子を倉庫に連れてって靴下の匂いを嗅いで気絶してもいい」という自由度の高い*2ゲーム自体が持つ面白さは勿論、「主人公たちが徴兵された10代の学生たち」というのがまず中学生だった私にストライクだったし、「舞台が突貫で建てられたプレハブの校舎」というのも、新校舎に建て替えで2年間プレハブの中学校に通ってプレハブの校舎のまま卒業した私たちの学校生活にもピッタリだった。


家に帰ればガンパレード・マーチ、学校に通えば「ココ、ゲームにあった2階部分に似てるぞ…」と昼休み中ずっと何でもない手すりを凝視してたり廊下をフラフラしたりで、相当入れ込んだゲームだったが、一体誰に借りたのかを全く覚えていない。
ここが不思議な、というか変な所で、「大好きだったゲームとその思い出」をずっと自分の物にしたいという気持ちと、「誰かから借りたのにもう何年も借りたままになっている」という罪悪感からか、『イヤ、もしかして俺が忘れてるだけで俺が買ったヤツなんじゃないか…?』と、何故か段々と信じ込む様になっていた。
逃避以外の何物でも無いけど、大学生になるともう完全に『イヤ、俺が買ったわ!誰かから借りたんなら言ってくるはずだもん!買った!俺のだ!3800円で買った!』となっていたのが私だ。
何ならガンパレード・マーチを近所のゲームショップの棚から手に取って、レジまで持っていってレシートを貰った時の事も思い出せる。30個溜まると1000円割引になるスタンプカードにも結構スタンプ押して貰った気さえする。そんな事無かったのに。怖すぎる。イヤ自分の事なんだけど。


結局、それからもう何年か経って、大学生だった頃に住んでた埼玉から卒業と同時に実家に引っ越しする際のドサクサに紛れて紛失してしまったのだが、「お前、それ俺のゲームだったんじゃない?」と指摘されるのが怖くて、友達の前ではガンパレード・マーチの思い出は私には何も無い事になっている。
毎年の年末に中学で仲の良かった何人かで忘年会なのか同窓会なのか、そんなのを開く事が恒例になっているんだけど、毎回昔ハマったゲームの話題になって、毎回ガンパレード・マーチの話になる度に、私はビクビクしながら黙ってほうれん草のおひたしを食っている。


で、今。せっかくなんだし、「久々にPS2起動してみるか!」と押入れの段ボールからPS2を取り出し、これまた思い出深くて売らずに取っておいたFFXでもやってみるかと押入れを漁ってみたんだけど………無い。どの段ボールを開けても、どの引き出しを開けても、どこにもFFXが無い。


…なんで!?売ったっていう事は絶対にないはずなんだけど…とにかくセーブデータだけでも確認しようと、自前のメモリーカードの中身を見てみると、最後のFFXのセーブデータが2006年の7月で止まっている。
2006年の7月…そういえば高校生の頃、同じクラスの池田くんに貸した様な気が…FFXを学校に持っていったらクラスのバカが「オタク死ね!!」と大騒ぎしたの覚えてるし…2006年なら高3の夏だから、私が2日に1回くらいしか学校に行かない様になった辺りだし、そのまま催促するタイミングを逃し続けて存在を忘れていったのでは…


…オイ、ここに泥棒がいるぞ!!!!!!




PSのアーカイブも出てます。マジでおすすめです。

高機動幻想ガンパレード・マーチ

高機動幻想ガンパレード・マーチ

*1:もう一人該当していたのは、その頃「ストレス解消!」と叫んでからよく私に腹パンしてきた中田くんだったけど、彼は3日に2日のペースで同じ紫のジャージを着て学校に来ていたので多分違う

*2:マジで出来ます、書いてたらやりたくなってきた