ちんちん像など机上の空論に過ぎず、耳を傾ける価値など勿論無かった。

白ブリーフからトランクスへ下着がステップアップした時に、一つ大人に近付いた気になれた。というか、白ブリーフを履くのが死ぬ程イヤだった。小学生の頃の私にとって、白ブリーフの何が嫌だったかといえば、「おしっこする時は真ん中の穴からおちんちんを出してしろ!」と母から何度も怒られたからである。


「ダサい」「カッコいいデザインが皆無」「おちんちんが締め付けられる感覚がイヤ」「うんこを漏らすと色で即バレ」などなど、私が白ブリーフからの卒業を母に訴えた理由は星の数ほどあるが*1、一番の理由はこの「おしっこのスタート位置の指定、及び監視」に耐えられなかったからだ。
母曰く「お前がおしっこをした後のトイレは汚れている時が多く、その原因として考えられるのはズボンもパンツも下ろしておしっこをする為におちんちんが固定されずおしっこの反動で暴発するからであり、白ブリーフの真ん中の穴からおちんちんを出しさえすれば根元が支えられ、結果おちんちんの狙いも定まりやすい」という物である。


しかし、待ってほしい。
こちとら産まれた時からおちんちんと共に生活をしてきた身、いくら母の言う事といっても、所詮あちらが語る「おちんちん」など、彼女の想像の範疇を超えやしないのだ。ブリーフの真ん中の穴の窮屈感で小学生のおちんちん程度ならキュッ!と固定される事も容易い、などと考えている時点でお話にすらならない事はおちんちん歴二十数年の読者の皆さんにはよく理解して頂けると思う。おちんちん歴がその時点で十年にも及ぼうかとしていた私にとっても、母の語るおちんちん像など机上の空論に過ぎず、耳を傾ける価値など勿論無かった。


…無かったのだが、今でも電子レンジで何かを温める事を「チンする」とはおちんちんを連想してしまい恥ずかしくて言えない程度のシャイネスボーイである私は、小学生の頃であってもやはり「朝とか起き抜けにおしっこすると暴発すんの!!」とはどうしても言えず、ある日の夜に居間から「おしっこの仕方教えてやったらどうだや」と父に相談している祖母の心の底から心配している声を聞いてしまった辺りで、【おちんちん機能不全男児】として全ての罪を背負って「…これからは座っておしっこするのでトランクスに変えて下さい…」と名乗り出る事になり、私は不本意ながらも大人の階段を1段登る事になった。


初めてトゥナイト2 *2を見た時に履いていたのも、自分で初めて「自慰」というのを見つけ出した時に履いていたのも同じ白ブリーフで、思い出が無い事も無かったが、私のおちんちんの立場を守る為には仕方なかった。あの「学習机の裏に投げ込んだオナティッシュ発覚&バッタの死骸大量発生事件」が起こるまでは…。*3

*1:書いてて気付いたが最後のはうんこを漏らす私が悪いのでは?

*2:90年代にテレ朝の深夜に放映していた「大人向けの情報番組」という体のエロ番組。海外のストリップバーに潜入取材とかAV女優のトレーディングカード特集とか、平気で女の裸が地上波で放映されていた

*3:っていうか俺は27にもなって何回「おちんちん」と書いているんだ?