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「オムライスが好きなんだよね」と言うと好感度が上がるのは何故だ?

「昔ながらのケチャップソースがかかった喫茶店のオムライスが好きなんだよね」と言うと好感度が上がるのは何故だ?

 
 
「この前洋食屋で食ったオーロラソースがかかったオムライスが卵も半熟で美味かった」のカウンターとして「分かるけど俺はケチャップのかかった喫茶店の安っぽい奴の方が好きだな〜」は爽やかさが数倍は高い気がする。それにこの時の私は完全に【昔ながらが好きな俺】の演出の為のスケープゴートにされてしまっている。私は美味い物を美味いと言っただけだのに、何故こんな目に遭わなければならないのか?1100円のオムライスを食って2日後に「美味しかった!」と発言した私はクソ扱いされ、650円のオムライスを食っただけのデブは何故か好感度が差額の450円分ほど、ちょいと上がる。たった450円の好感度アップの為に、私の好物は「分かるけど〜」と否定され終わる。
 
 
何だこれは?
1100円は悪か?
オーロラソースは悪か?
プルプルフワフワは悪か?
修行を積んでやっと自分の店を持つまでになったオーナーシェフの努力は悪で罪で罰だったか?
 
 
この責任はどこにある。
 
 
何故1000円以上かかるオーロラソースのオムライス、半熟卵のハヤシオムライス、デミグラスソースオムライスの好感度は「俺は卵ペラッペラの喫茶店で食うケチャップオムライスが好き〜」と親から仕送り15万貰ってる都内在住文系大学生の一言の前には太刀打ち出来ずに、あっという間に0まで下降してしまうのか。
 
 
コレがパワプロ5だと思うとゾッとする。3年の3月1週に「是非ウチに逆指名を!」と影山さんから熱烈なラブコールを受けていたはずが3月2週に「ケチャップのヤツの方が好きでやんす」イベントを聞いただけで私はドラフト指名を何度も逃し、データは消え、サクセスに費やした時間は無駄になり、風呂に入って1時になり、やまだひさしのラジアンリミテッドを3時まで聞き、4時間だけ寝て中学校に登校し担任の東条先生から口の臭さを心配される。ふざけるな。現実がパワプロ5でなくて本当によかった。
 
 
「喫茶店のオムライス」の様な【好感度の高い食い物】というのは、たしかに存在する。
 
 
しかしながら、「◯◯が好き」と言うとその食い物のショボいバージョンの物の方が好きと言い出し、好感度アップを狙う人間も、また同時に存在する。
 
 
「この前食ったとみ田のカップ麺が美味かった」と言えば「でも結局はカップヌードルが一番美味いんだよな」と言い出す人間、「セブンで食べたいくらのおにぎりが値段するだけあって美味い」と言えば「でも結局は塩むすびが一番美味いんだよな、具が邪魔に感じてくる」と言い出す人間、「あそこの蕎麦屋の天ざるが美味い」と言えば「本当の蕎麦好きっていうのはかけそばしか食べない」と言い出す人間、「ハーゲンダッツの抹茶が美味い」と言えば「でもガリガリ君一番美味くね?」と言い出す人間、旅行で外食に次ぐ外食で豪勢な食事と楽しい旅行を終え家に着いた途端に「やっぱり家が一番!」と言い出す人間。これらは実在する。
 
 
奴らは我々の生活にその時が来るまでジッと身を潜め、獲物がやってくるのを今か今かと心待ちにしている。
ついうっかり、一度金のかかる食い物、装飾過多な食い物を好物だと口に出してしまったその時、我々の社会的信用は地に落ちる。
 
 
奴らの目的はなんだ?
 
 
大人数が喋る場で「安い食い物の美味さが分からないお前が一番の愚か者」のレッテルを私に貼ろうとするのは何故だ?
読者モデルになって、散々美味い物食った後にゲストの芸人が若手だった頃に世話になった4軒目の汚い定食屋に入り味噌汁を飲んで【でもこういうの、お母さんの味って感じでなんかホッとしますね】と王様のブランチで食レポでもしたいのか?
「本とかよく読む方?」と聞くと「SSならよく読む!」と元気にお返事してくれるのは何なんだ?
 
 
奴らの目的が不明確な以上、我々の対抗手段といえば「カウンターパンチをされる状況を避ける」のみである。
しかし、 一体いつ、どこから、どんなタイミングで、どんな人間から「それより俺はこっちの方が〜」のカウンターパンチで殴られるのか、我々人間には最早知覚すらできない。
 
 
「洋食屋のオムライス美味い」にはデブの「喫茶店のケチャップの安っぽいオムライスが好き〜」でカウンターの右フック、職場でTwitterを見ながらセブンで買ってきたパスタを食っていれば「セブンのパスタは冷凍一択でしょ」の文字列にカウンターで左ボディ、「もう知らん!!俺は高い物を食う!!」と11月30日にステーキ屋に入れば【毎月29日は“ニク”の日で全品10%オフ!】のカウンターで顎に強打をもらう。「安い物を…せめて…」と入ったミスドでは「スイマセン今日100円セール最終日でセール対象外の物しか殆ど残ってないんですよ」のカウンターでダウンをもらう。ワン、ツー、スリー、フォー、やっと立つ。
 
 
装飾過多の食い物を食う際は、殴られる覚悟を持って挑んでいく必要がある。だが、こんな生活、私には到底耐えられない。もうデブにフフンの顔をさえたくない。お得な飯情報を目に入れたくない。自身の選択が間違いであった事を後々になって知りたくない。
 
 
…もう私には実家で飯を食うという選択しかない。何の情報もなく、只々目の前に出され、優劣もなく、何の感慨もなく、只々消費し、終わる。そんな食事は、もう実家で出される母の料理しかない。安住の地は、一番近い所にあったのだ!!
 
 
家に着くと母に「アラあんた、昨日富山のおばちゃん来てたからお寿司だったのに、残念だったわね」と言われた。KO。引退します。