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雪が降る事で、雪国の中高校生は多感な思春期時代の3カ月をドブに捨てている

いい加減にしてほしい。この時期、目を覚まし布団から出てみれば「寒い寒い!」の大合唱が聞こえてくる。
家族から、友人から、同僚から、同級生から、テレビから、ラジオから、大卒無職の財布の中から、履歴書の「職歴」のスッカスカの純白部分から。いついつどんな時どんな所においてでも耳にするのは「私は温度の低下を感じています」という意思表明の言葉『寒い』である。


しかし、私が住むこの新潟は特別に格段に寒い。どれくらい寒いのかというと、今まさにこのブログをお読みになっているあなたに、あなたが考えうる限りの『寒い』を想像して頂きたい。
…大丈夫?OK?思い浮かべた?


良し。
それの丁度2倍が、新潟の寒さだ。


…コレでこんな生活に飽き飽きしている私の気持ちも、少しは理解して頂けると思う。とにかく寒い。私の出不精も、毎日毎日溜まりに溜まっていく未消化の録画アニメも、最近就職訓練学校に遅刻がちなのも、大学を卒業した途端に大学の友達に一切連絡が付かなくなった事も、コレが起因していると言っても過言では無い。全て冬のせいだ。


家庭、学校、友人関係など、所謂『環境』が人間の人格を形成し、人生に彩りを加えていくのだとしたら、この「雪国の寒さ」は確実に私という人間を構成している分子1つ1つに影響を与えているだろう。


毎年12月になれば3mの降雪に見舞われ、毎朝の登校自体が命懸けになる者だから、勿論放課後も即帰宅。友達の家に遊びに行くなんて「自殺行為」なんて物でなく、本当に「自殺」その物だった。


また、母が買ってきた体温管理の為に顔の視覚部分以外全てモコモコに覆われた多機能フード付きコートを学校まで着ていけば「顔の一部分以外は隠れててキモイ」と親御さんに毎朝ボロボロの軽トラックで送迎してもらっているブスの岡田さんには笑われ、頭に積もった雪を玄関で落としただけでも「落とした雪がもうキモイ」と今度は続々と登校しだした女子数人に避けられる。
そして、家に帰り雪で遊びにも行けずにコタツに入ってゴロゴロしていれば「暇なら屋根の雪下ろしでもやってて」と母に言われドッサドサ屋根から雪を落としていると「孫に屋根の雪下ろしなんて危ない事させるなんて!」と、母が祖母にメチャクチャに怒られている音を真下から聞く羽目になる。


雪国という土地の気候が、私から友達と遊ぶ機会を尽く奪い、女子からキモイと言われる機会をもう1つ2つ作り、姑と嫁の仲をより拗らせている。
しかもゼーゼー言いながら(嫁と姑の罵り合いを聞きながら)完了させた屋根の上の雪下ろしも、次の日には前日までと同じ量の雪がもう積もっている。何故この様な土地に、私の祖先たちは根を張り、永住を決め込んだのか?「婿養子だったから」くらいしか私には想像できない。
毎日の様に積み重なっていく雪を見る事に慣れたプロ雪国の人間は、きっとある種の「絶望」を受け入れてしまっているのだろう。諦めの境地に達していなければ、この様な土地に住み続ける事など不可能だ。


そして全国放送のニュースを見れば「見て下さい!とんでもない雪ですよ!!」「うわー…」と、まるでショーでも見ているかの様なリアクションで、都内在住のコメンテーター達は引き気味の顔を我々雪国の当事者たちにお届けしてくれる。雪国で生まれ育った人間ならば『不公平感』を感じた事は1度や2度では無かったはずだ。


雪が降る事で、雪国の中高校生は多感な思春期時代の3カ月をドブに捨てている。「あったかもしれない人生を変えた出逢い」が、全て氷雪の下敷きにされているのだ。
雪さえ降らなければ、帰り道に拉致され無理やり悪の組織に改造人間にさせられていたかもしれなかった。
雪さえ降らなければ、校舎内で青タイツを着たクソダサおじさんに槍で刺された直後、誰かに蘇生させてもらう夜があったかもしれなかった。
雪さえ降らなければ、空からピンク髪の美少女が降ってくる1日に巡り会えたかもしれなかった。


我々の日常で空から降ってくる恐れのある物といったら「家屋からふとした拍子に落ちてくるブロック状の氷雪」であるか「大型除雪車が完備している『道路等に積もった雪をショベル部分で纏め、後方に設置した煙突の様な長く太い管から遠く彼方へ放射排出システム』で滝の様に降りかかってくる泥と雪」のどちらかだ。多分後者はピンと来ない方が死ぬ程いると思うが、この除雪車に一方通行の狭い道路とかで追いかけられる形になるとダイハードみたいで結構楽しい。


…ヤバい、ここまで散々地元をこき下ろしてきたから、何かフォローできる何かが無いかと考えてみたが、オススメ出来るのが『雪が降る事によるお楽しみ要素』が除雪車でダイハードごっこしかない。……うーん、みんな大学や仕事を辞めて新潟で雪かきするっていうのはどうだろう?田舎は「何も無いがある」って1日だけ田舎に泊まって都内に帰っていくモデル上がりのタレントも沢山いる事ですし…。イヤ、雪はあるな。雪だけはある。