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スカイリムですら裸でいれば注意される

「間合い」という言葉がある。
『スポーツなどで、相手との程よい間隔の事』をインターネット様は「間合い」と呼ぶそうだが、私にとっては漫画「るろうに剣心」で知った言葉なので、「侍が使う用語」という印象が強い。(この「るろうに剣心」は、私よりも両親が嵌った漫画で、一時期本棚に「るろうに剣心」全巻と「完全自殺マニュアル」が並んで配置されていたのが強烈に脳裏に刻み込まれている。)



「間合い」を気にしなければならないのは、何も侍だけでは無く、現代に生きる我々も、常日頃「間合い」を測りながら暮らしている。「距離感」と言いかえてもいい。


侍が「刀」を使って生死のやり取りをしていたのなら、我々は「言葉」や「挙動」を使う。相手に斬られない様に半歩だけ間合いからズレたり、たまに悪意を持って2歩踏み込んでバッサリ行ったりしている。この距離感を見誤ると、死ぬ、という事は無いにせよ、大抵ロクな事が起きない。


『2,3回、挨拶くらいは交わした事はあるが、ちゃんと喋った事も無い』程度の付き合いの同僚(友達数人と一緒)を街中で見かけた時、どうするのか。嫌われたくないし、とか。


23歳で始めた今のバイトもすでに2年目、かなり慣れてきたとはいえ、「年下の上司」という立場に当たるバイト歴では半年長いハタチの青年に、果たしてタメ口を解禁しても、そろそろ良いのではないだろうか。舐められたくないし、とか。


人間の『精神』の特筆すべき点の1つとしての「配慮の心」というのは我々の生活を充分円滑に進めてくれる物である。だが、もう少し機微というか、オートマでストップがかかるシステムがあっても良かった様に思う。


『もっとコミュニケーションを図ろう』と同じバイト先のフリーターさんに「何年くらいココで働いているんですか?」「…7年」と答えられて変な感じになる前に「何年く」で舌が自動で噛み切られるシステム。
『家庭での立場をもう少し上げよう』と「来月から家に5000円くらいなら入れられるよ」「それより早く就職してパート辞めさせてくれや」と母に答えられて変な感じになる前に「らい」で声帯が自動で溶けていくシステム。
障害物にぶつかりそうになると自動でブレーキをかけてくれるシステムを搭載した車をCMで見た事があるが、『ヒトと物』では無く『ヒトとヒト』との距離感を自動で察知してくれる機械を、トヨタなりヤマハなりなんなりが車なんかより優先して作るべきだ。


無自覚であれ何であれ、どんな時にでも『斬る斬られる』の関係性はきっと存在する。心と心が対面した時、いつでも適切な距離感を保つ事のできる人間が『剣豪』を名乗るべきだ。自分と相手の『立ち位置』を理解する。感情の『揺れ動き』を把握できる。言葉にならない『心の声』をしっかり聞き取れるくらいの洞察力を持つ。所謂『空気を読む』というのはやはり難しい物で、「相手を傷付けないこと」を念頭に置きつつ「自分も出来るだけ傷付かないこと」にも注意を払わなければならない。



「鎧」が必要だ。剣豪になる事が叶わないのなら、何回か斬られ、四肢を切断される事を見越しての心に装着する「鎧」。
上手く立ち回る事が出来ず、心無い人間の心無い言葉に傷付けられる事を見越しての精神に装着する「鎧」。


では「さてこの鎧をどこで調達してこよう」と考えると、やはり「傷付けられた」という経験を繰り返す事でしか、心に鎧を装着させる事は叶わない。何度か素っ裸で滅多斬りにされる事で、少しずつ耐性を付けていくしかないのだから、コレは本当に辛い。「心を強くしたい!」と母に相談しても「キョトン」とされて変な感じになるのは目に見えてる。


それにこの時点で前述の『オートマ配慮システム』が人間に搭載されていたら、「心を」の時点で顔の穴という穴が全部埋まってしまうのだから、やはり「街中素っ裸大行進」を黙って人生の内に何度も繰り返す事でしか、心に鎧を着せる方法は無いのだろう。スカイリムですら裸でいれば注意されるのに、なんて世の中なのだろう。

あと全然関係ないけど、私がスカイリム買った2週間後にスカイリム完全版、廉価版の発売が発表されましたね。ふざけるな。ファミ通にバッサリ斬られるとは思いもしませんでした。思いもしませんでした!