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髪を切るギャンブル性について

髪が伸びてきた。恐らく、今は僕の人生の中でも一、二を争う程の長髪加減にある。生まれてこの方ほぼ同じ短髪のスポーツ刈りチックな髪型しか体験してこなかった僕の感覚としては「髪が長いような気がする」というのはかなり気になる所にあるらしく、「頭皮」「おでこ」「耳にかかる感じ」その他諸々の「なんか、あの、頭から生えてるもさもさしたヤツのもたれる感じがいつもと違う!」という叫びが非常にストレスになりつつある。


床屋に全く行けていないのには一応理由があって、大学生活を送っていた地から遠く離れた田舎の実家に引っ越して来た為に4年間通ってきた床屋に通えなくなってしまったから。新しく床屋を探すのも面倒だしお金もないしでほったらかしにしている。大学生活の時に通っていたその床屋も、単に「家から一番近かったから」という何とも出不精な理由で選んだ訳だったのだが、僕の担当をずっとしてくれていた菊池さん(アゴ髭が素敵な20代後半のお兄さん。LUNA SEAの真矢に似てる)には「前と同じ感じでいいです」の一言で注文は済んだし、後は映画やらサッカーやら菊池さんが彼女と別れて今寂しいやらの話をしている間に終わってくれるしで非常に楽だった。あまり寝てない時なんかは「ちょっと眠いんで喋んなくていいですか?」という、もしも過去に戻れたら率先してこの時の僕をブン殴りたい顔と台詞を発した時ですら、笑って了承してくれる様な、僕にとってすごく居心地の良い床屋だった。大学に通っていた四年間の間に一度引っ越しをして、担当の菊池さんのいるその床屋よりも立地的にもっと近い床屋はあったのだが、それでも四年間通い続けた。多分僕が四年間も会い続けた人って幼稚園時代からの友達3人とあと担当の菊池さんくらいだ。そうなるともう菊池さんは親友って言っても過言じゃない。菊池さんLOVE。


髪型に拘りも特に無い、だけど今流行りの1000円カットも何か嫌、となるとやはり店内の雰囲気であったり担当の人とウマが合うのかが僕にとってはその床屋と僕とを繋ぐ生命線になる。しかし、田舎の床屋なんて店ごとのホームページを作っている所も少なければ広告チラシや雑誌掲載されている事も少ない(っていうかそもそもそんなの見ない。)店内の様子も実際に入店するまで分からない。つまり髪を切る=ギャンブル。しかも掛け金は「自分の髪型」。ベットとしては余りにも大きすぎる。しかも上手くいってもいかなくても3000円払うし。


高校時代なんかはそこで非常に悩んだ経験があった。自分に合った床屋、美容院を探す為、毎回髪切ギャンブルに果敢に挑んでいったのだが、全員女性店員全員女性客の店に入ってはギャンブル失敗で親の総取り、今度は別の店で男性店員に当たったはいいが、自分の彼女との痴話喧嘩話をされつつ出来上がった髪型は小学生みたいな坊ちゃんヘアーで即ユニクロに駆け込んでニット帽購入、と、中々「これだ!」という店にありつけなかった。


田舎に帰ってきたこともあって、また当たりがくるまでそんな髪切ギャンブルを繰り返さなければならないのかと非常に気の遠くなる様な思いでいる。もうあんな思いはしたくないし。小学生みたいな髪型のままで撮られた卒業アルバムももう二度と見たくないし。ていうかあの床屋こっちに引っ越してきてくれないかな。そうなったら今度は友達にもなってあげるし。モチロン菊池さんと。