いるものといらないもの

ゴミの分別が苦手だ。一人暮らしを始めて早4年。元々出不精な性格もあってか大きな掃除をしたことがこれまでほとんど無かったように思える。今この文章は部屋の隅に置いてある勉強机にパソコンを置いて書いているのだが、ざっと部屋の中を見渡してもまあ使いもしないで放りっぱなしのものから大事な書類まで色んなものがごっちゃごちゃになっている。何故かスタート地点からゴミが我がワンルームに大量にあるのだ。


まず目につくのがこのパソコンのすぐ横にある「ドカベン29巻」の上に詰まれた奨学金返済の封筒だ。まさか水島先生も240万の借金の詳細が書かれた紙の下に自らの作品が置かれているとは想像もしなかったであろう。貧乏に暮らす山田の畳屋の親父にも申し訳ない。次にはソファの上に無造作に置かれている、表面積の4割ほどが穴と化している靴下。もうこうなれば実はクラッシュジーンズ的なオシャレで最初からそんな加工を施してあるのではと疑うほどだ。最早靴下本来の機能は全く失われている。ベッドの横にはこの前バイトへ行ったときに、後輩の女の子からもらった、メッセージカードがセロハンでくっつけてあるクッキーの空袋だ。これは残念ながら色気がある様な話ではなく、クリスマスが当時近かったこともあってプレゼントとしてバイト先の同僚全員に配られたものだ。(書いてて気付いたがいつから置きっぱなしにしているんだ俺は。)


この袋なのだが、メッセージ付、ましてや女の子からもらったものをそう簡単に捨てる訳にもいかず、食べた後に迷ったあげくそのままに放置してから何日か経った2日前。ベッドで手淫をしていた時のこと、行為が終わり、テイッシュの置き場に困った僕は無意識的にそこら辺に置いてあったクッキーの空袋に使用済みティッシュを入れそうになってしまった。この時ばかりは北陸生まれの僕も「あかん!これはあかん!」と何故か関西弁が口から飛び出てしまっていた。「メリークリスマス!」という女の子らしい文字で書かれたカード付の袋に僕の使用済みティッシュなんかを入れる訳には勿論いかない。どんなプレゼントなんだそれは。性的な意味のプレゼントになるのか、そのテイッシュは?ギリギリで踏みとどまって本当によかった。


そういった捨てにくいものの他にもチラシやら新聞やらが部屋の隅から探せば探すほど出てきていやになる。もうゴミの分別自体も面倒だし。それにそういうものが目に入るだけで憂鬱になるし。ちょっと整理してみようと我がワンルームの「とりあえず様子見置き場」のクローゼットのデッドスペースから引っ張りだしては見たもののもうなんか嫌。出来るだけ今あるゴミは僕のストレスにならないようにまた目に付く所に置かないようにしなければ、とここまで書いてあれ?僕は今気付いたが、これ無限ループ入ってない?