12/14 ドクター・スリープ

最近映画へのモチベーションが下がりつつあるが(近所の映画館まで片道40分なので)今月初の映画館。「ドクター・スリープ」。

 

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最初の1時間くらいが本当に好きだった。

主人公のダニーが前作「シャイニング」での出来事を通して得てしまったトラウマに人生をどの様に蝕まれ、そしてどの様にしてその傷を癒していくかの過程の描写が本当に素晴らしかった。それは「シャイニング」という強烈なクラシック映画があったからこそ、より効果的であった作劇だったと思うと同時に、この主人公の傷を癒していく過程があくまで俺たち一般社会に生きている人間の生活圏内できっと出会う事のできる”誰かの優しさ"で成り立っていた事が凄く良かった。例え常人には理解できない様な出来事に襲われても、それは誰かと関わりを持ったり、真っ当な職に就いたり、社会に溶け込むことが出来るのなら、それは時間がきっと解決してくれるという優しい視線が込められいて、正直「コレ以上描く事があるのか!?」と思うくらいに”シャイニングの続編”としては申し分ない出来だったと思う。特に主人公、ダニーがセラピーで参加者の前に立って父親への想いを語る場面は、この映画の一番の見所といって過言ではない。

 

また同時に、この映画を特別なものにしているのは、ダニーの心が回復していく様と同時進行で描かれていく”悍ましい化け物たち”の暗躍だ。ダニーが人間らしく生きていこうと奮闘するとの同時に、この世の者ではない”何か”たちが子供たちを自身のコミュニティの存続のために食い物にしていく様子が非常に現代的なグラフィカルな描写で描かれていく。個人的にはここに今作の”シャイニングを上回ろうとする気概”を感じた。シャイニングがジャンプカットを多用した『視覚的な異質さ』が肝とするなら、ドクタースリープは生者の生活と死者の生活を並列に見せる事による『編集的な異質さ』を肝とした映画だと思う。

 

ただ、やはりダニーのトラウマが解消されて以降のパートになるとかなり映画のトーンが変わってしまう印象を受けた。単純な超能力バトルの様な体裁になってしまうと、どうしても”その力は何ができて何ができないの?”という所が気になってしまう。シャイニングという力が前作からある種の神秘的な魅力を秘めていたからこそ、今作では力その物にスポットライトを当てすぎな部分はあった様に感じた。ストーリーの着地である「特別な力を持っていてもそれを隠すことはない」というメッセージにもかなり不満があって、今作では”シャイニング”に代表されるような特別な能力や、この世の本当の仕組みを知ってしまった人間は全員劇中で命を落としてしまった。2時間半以上かけた割には、”シャイニング”を感知できない人間は捕食される側でしかないという以上の描き方が今作では出来ていないと思う。序盤が人間的な成長を遂げていくダニーの話だった分、特別な人間でないとこの世で生きていくことは出来ないのか?というヤダ味を感じてしまったのは事実で、洋館に入ってからの展開も、正直前作ファンへのサービスシーン以上の物は感じなかった。ダニーとある人物の会合も、序盤のセラピーでの素晴らしい描写を経ての事なので、父へのトラウマをある程度解消させてからまた父と向き合う描写を見せられても、正直乗り切れない所が多々あった。(シーン自体は素晴らしかった) 

 

全面的に最高の映画!!とは言えないけれど、序盤は今年ベストに上げてもいいくらい良かったし、残りの1時間半は洋館に入ってからのサービスとびっくり箱の開封の為の下準備と考えればまあ良かったのかなという感じ。

 

シャイニング (字幕版)

シャイニング (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

12/9 デス・ストランディング

休み、だったが他店舗から商品の移動を頼まれて結局職場に顔を出す。メンバーになっているdiscordの映画サーバーで「ドクタースリープ」が話題になっている。今月はまだ映画館に行けていない。今年の映画ベスト20くらいの記事もちゃんと書いておきたい。

 

デス・ストランディング。80時間くらいプレイしてるがまだ終わらない。ストーリーそっちのけで各地にジップロックを建設したり好感度を上げたりでウロウロウロウロしてるせいもある。

革新的なゲームだと思う。単純な娯楽性でいえば、例えば『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『レッド・デッド・リデンプション 2』には遠く及ばない。個人的にもここ数年でベストのゲームはBotWで揺るがないが、デス・ストランディングは何よりシステムが革新的だ。一般的なオープンワールドゲームは、例えば1000のイベントがあらかじめ用意されていて、その分母から1ずつイベントを消化していき、シナリオクリア等を目指していく。デス・ストランディングはここが違う。他プレイヤーが残していった梯子、ロープ、看板といった”痕跡"が、唯一無二のドラマを生み出している。無理して重量多めの荷物を背負って渓谷を横断していくミッション。「もうダメだ、いくらなんでも無謀だった」と諦めかけたその時に、どこかのプレイヤーが残していった目的地までショートカット可能なロープが出現する。かと思えば、痕跡頼りで適当にフラフラ出発すると、本当に何の助けも見つけられずに大きく大きく遠回りしたルートを歩かされる。

”イベントの消化”という一方向のベクトルしか持っていなかったこれまでのオープンワールド系のゲームにおいて、デス・ストランディングはプレイヤー自身がゲーム内のイベントを”増加”させる事が出来る。自身の行動が他プレイヤーの突発的なイベントを持たらす要素になり得てしまうという点において、どこか頭打ちであったオープンワールドというジャンルに新たな風穴を開けた作品である事は間違いない。

思えば、そもそも「メタルギア」シリーズから始まった”ステルスアクション”というジャンルも、スペックの関係で銃弾が四方八方に飛び交う派手な戦場アクションゲームが実現不可能という所から生まれた苦肉の策だったらしい。メタルギアがそうであった様にこれからのオープンワールド系の作品においても、デス・ストランディングの良い所を上手く使ったゲームが増えてくるかもしれない。正直ファミ通が40点満点を付ける様な100人が遊んで100人が面白がれるゲームでは絶対無いが、業界が新たなフェイズに入っていく(かもしれない)記念碑的な作品として、チェックしておいて損はないゲームだと思う。

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雪が降ると家に軟禁状態になるんですよ

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12/8 誓いは忘れる

労働。まあまあ辛い。辛くなかった日が無がない。店の駐車場に閉店1時間前くらいになるとやってくる白い軽自動車がある。車内にいるのは50代くらいのおじさんだが、これまで1度も店内に入ってきた事もなく、閉店作業が完了してスタッフが全員帰ってからもずっとそこにいる。今日は車のフロントガラスが凍るほどに寒い夜だったが、それでもエンジンもかけずにずっとそのおじさんは正面を見たまま動かないでいる。心が死んでいるんじゃないかと心配になる。

 

明日は休み。ただ、職場とはまた別のレンタルDVDショップで映画を借りていたので、退勤後も更に車を走らせる。「未来世紀ブラジル」のBlu-rayレンタルがその店でしか取り扱いが無かった。職場から更に車で20分かけて返却する。すでに24時近く。帰りの道中のマクドナルドで夜食用のポテトLとスパイシーチキンバーガー(確かそんなヤツだった)を買う。計390円。来週の給料日まで節約を誓う。次に24時間営業のスーパーでチューハイ。売れ残りの寿司と餃子とから揚げを買う。計800円。数分で誓いは忘れる。そんなこんなで1時近くの道中、職場をチラ見する。まだ白い軽自動車が止まっている。肉体も死んでいるんじゃないかと心配になる。

 

気になるゲーム1。『十三機兵防衛圏』。まあまあのタイトルのはずだか、職場では発売日に入荷が殆どなくて常時品切れ状態だった。ラスボスが「断片的でしか語られないストーリーパートの詳細に迫るログを読みプレーヤー自身が物語を解釈できるかどうか」に当たるというのが面白い。

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気になるゲーム2。『Subnautica サブノーティカ』。オープンワールドサバイバルゲームと聞いただけでオッとなってしまう。ただ俺はGoogleマップユーラシア大陸の俯瞰図を見ただけで恐怖で泡を吹いてしまうので、コレをやったら座高が身長の9割になってしまう。

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