10月に見た映画のまとめです。

10月に見た映画のまとめです。

今年も11月に入り、「年末」という重く辛い2文字がだんだんと近付いてきました。

…辛い。辛すぎる。

 

地元では11月12月に入ると降雪に向けた準備を始めないといけません。タイヤをスタッドレスに変えたり、木々を冬囲いしたり。もうすぐ2mの雪を除雪車に掻っ攫ってもらわないと、出勤どころか近所のコンビニにすら行けない時期がもうやってくるのです。一昨年はあまりにも降雪が酷過ぎて除雪が間に合わず、訓練学校の授業を休んだ事もありました。

っていうか俺が土曜日曜にスコップを積もりに積もった氷の塊にブッ刺してる合間にも、練馬区に住むデブはジョナサンでホットケーキにシロップかけたりしてた訳でしょ?何なんだよコレ、オイ。何だお前?誰だお前?オイ。タダだからって挨拶も無しに俺の書いた文字読みやがってコラ。大学と仕事を辞めて新潟で雪かきしろ!みんな!

 

春からGWころに公開された作品がレンタル解禁された事もあって、レンタルショップの新作コーナーがここ最近かなり充実してきています。10月に見た映画も何とか新作映画のみに絞る事が出来て、今年初めにきめた目標の鑑賞本数に何とか届きそうです。勝手に決めて勝手に安心しています。年末に今年見た新作映画の全順位とレビューを掲載できればと思っているので、今回はとりあえず、気になった2作品だけ紹介したいと思います。

 

 

デッドプール

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解説
マーベルコミック原作の人気作「X-MEN」シリーズのスピンオフで、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に登場した異色のヒーロー、デッドプールを主役に描くアクションエンタテインメント。好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウイルソンは、恋人ヴァネッサとも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施したエイジャックスの行方を追う。(映画.comより)

 

 

字幕版と吹き替え版で2回見てしまいました。とにかく見やすい映画なんですよ。

下ネタ多め、ヒーロー映画にしてはグロテスク、劇中の登場人物が【自身が映画の登場人物である】という自覚を持ってる、所謂第4の壁っていう概念を盛り込んだメタネタもあったりで、結構見る人を選びそうな要素を宣伝では推してるんですけど、そういうこの映画独特のエグみが*1劇中で語られるストーリーの推進力の邪魔にはなってないんですよ。

下手な映画って、そういう茶々が入る度に話が止まるじゃないですか。それがドンドンと積み重なって飽きにもなるし俺たちの「殺すぞ!」にもなるんですけど、見せる時はパシッと決めて、そこにお話を動かす上での必要などうでもいいお喋りなんで、メリハリが効いてて全然ストレスにならないんですよ。

 

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特典映像だと、この銀の大男の中に入った太った成人男性が腕を組んでるシーンを見る事ができます

 

全編に渡ってアドリブ効かせまくったライアン・レイノルズ力(ライアン・レイノルズぢから)も勿論あるんですけど、本当に気を使って魅力あるキャラクターにしてくれてるんで、デッドプールの喋りをずっと聞いていたい気持ちになってくるんです。「なんでコイツ延々と一人でボケ続けて一人でツッコミ入れてる人間なの?」っていうのが段々と分かる仕組みになってるのもまた良いんですよね。騙されて監禁されたウェイドが(デッドプールになる人です)人体実験されて廃墟のベッドに縛り付けられた時にでも、同じように監禁されたっぽい横のベッドのおじさんと、虚ろな目でバカ話してるシーンとかね。あそこメチャメチャ好きです。

 

予算もアベンジャーズとかのヒーロー映画の1/4しか無い関係か、アクションの見せ場シーンはそんなに多くない映画なんですけど、時系列を弄って興味の持続も続くようになってるし、とにかく楽しい映画でした。意外に真っ当なラブストーリーだったりするので。

 

 

シング・ストリート  未来へのうた

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解説
「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。(映画.comより)

 

ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニーの新作です。ジョン・カーニー映画を見た事ある人だったら分かると思うんですけど、この人の新作なら絶対映画館で見たいじゃないですか。なので車で新潟から長野まで県跨いで見に行ってきました。みんな、山道って知ってる?720°回転のカーブが18個連続で出てくるヤツ。

 

前2作品では主人公はもうある程度スキルがあってプロとしてやっていけそうな人物でしたけど、今作の主人公は本当にイチから楽器を習うところから始まります。

この人の映画って全部が音楽映画なんですけど、俺が好きなのが「音楽が今まさに産まれる瞬間」を、メチャメチャリアルに映し出してる所なんですよね。俺はバンドなんて組んだ事無いですけど、主人公の口ずさんだフレーズがメロディになって、メロディに詩が乗って、いつの間にか楽曲になって…っていう芸術が産まれた瞬間の楽しさ、凄みみたいなのを、監督本人が凄く尊い物として扱っているんです。なので、見てる俺も「なんか今スゴイ事が起きたぞ…」って感動してしまうんですよね。

っていうか*2このブログでも、どこにも公開しない小説めいた物を書いた時とかでも、何かが生まれた時の尊さを俺だって感じる時はあるんですよ。好きで何度も読んだ文章とかのマネして何かを書いた時、憧れに少し近付けたような気がした瞬間って今でも忘れられないし、絶対コレは俺の財産な訳じゃないですか。だから大好きなバンドのそれっぽい感じの音を試行錯誤して必死に作ってる主人公たちの心情とかも分かるし、その末で作り上げた楽曲とそれを演奏する彼らを見ると、どうしても応援してしまうんですよね…。

 

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 「黒人だから楽器なんかできんだろ」って連れてこられた黒人の子どもが映った画像です

 

この映画で起きる事って、「現実と理想のギャップ」っていう所に尽きると思うです。

主人公の身に起きる現実はどうにもならない事が多すぎて、だからこそ音楽という方法で、彼らは理想を語るんです。彼らにとって唯一「世界」と繋がる事の出来るのが音楽であるし、っていうか音楽しかないんですけど、その楽曲たちがとにかくメチャメチャ良い!ついつい身体がリズム取って動いてしまって「アー楽しいー」もあるんですけど、そういう所で「主人公たちバンドが音楽をどういう風に捉えているか」っていう所の説得力にもなっているんです。

夢を見れば見るほど自身の未熟さや、社会における立ち位置の不確かさを思い知らされる展開の連続なんですが、だからこそ演奏シーンではそこまでのカタルシスが爆発します。

 

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 舞台となった80年代のポップカルチャーとか全く分からなくてもメチャメチャ楽しめます

 

腹も膨らまなければ金にもならないのが芸術じゃないですか。でもそんな芸術を信じる意味とか、芸術がこの世にある意味とかね、そういうのを問い続けて死ぬまで信じ続ける少年少女の、すごく真っ直ぐなジュブナイル映画だと思います。ラストシーンの「すべての兄弟たちへ」っていう言葉もね、良い。イヤ、俺もそうだよ。俺も兄弟だよ。俺とお前兄弟だよ。な?2万貸してくれ。

 

という事で「デッドプール」と「シングストリート 未来へのうた」の紹介でした。2作品とも凄く良い映画だったので、見る機会があれば是非。因みにシング・ストリートのレンタル解禁はもう少し先になりそうです。

 

 霊安・ライノルズ。

 サントラ。時給780円バイトの給料が入ったら買います。

シング・ストリート 未来へのうた

シング・ストリート 未来へのうた

 

 

 

*1:っていうかそれがデッドプールっていうキャラクターその物が持ってるエグみなんですけど

*2:今コレを読んでるあなたともう2人の黒人しか読んでない

最新の後悔は何だっただろうかと思い返してみると、さっき車を運転しながら歌っていた時に後悔した「なんで中学生の頃に皆でバンドを組まなかったのだろう

どこまで行っても私は私でしかないという事は、障子紙ほどに薄っぺらなこの人生でも、もう充分すぎるほどに思い知らされてきた。


あの時、別の選択肢を選んでいれば…あの時、もっと冷静でいられたら…と後悔する瞬間が、これまで数多くの「選択の失敗」によって切り開いた道の一番先に立つ私の元に、ドシドシと毎時間毎時間襲いかかってくる。

そういう時に意識的でも無意識的でも、何かしらの防衛手段を持っているという事が、イコールで「充実した生活」である気がするし、私がそういう日に選べる防衛手段が「お酒を飲む」のみである事から、この説はかなり現実味を帯びている気がする。

ふと、最新の後悔は何だっただろうかと思い返してみると、さっき車を運転しながら歌っていた時に後悔した「なんで中学生の頃に皆でバンドを組まなかったのだろう」であった。

中学の文化祭にアジアンカンフージェネレーションのコピーバンドで校内唯一の軽音楽部バンドとして出演、その圧倒的なパフォーマンスで体育館は狂乱の渦に巻き込まれ、高校入学以降は地元のライブハウスで定期的に演奏、高校3年時にはソロでのライブもそこそこ好評を集め…まで考えたが、その想像の中に入ってたドラム担当の友達から「2人目の子どもが産まれた」というメッセージがLINEに届いていたのを思い出して「私は一体何をやっているんだ」という後悔の方が後追いで圧勝してしまった。現実の私たちは毎日お互いの家でパワプロスマブラで遊び、バレー部の女の透けブラを眺める事で精一杯の中学生活で、それで終わりであった。

 

私が「後悔」から身を守ろうとすればする程、酒を飲むしか防衛手段を持たない以上、肝臓にはドンドン負担が溜まっていく。

「ここは私に任せて先に行け!」と肝臓くんが私の心を逃してくれるのが毎日深夜2時の出来事であるが、ある日「いい加減にしてくれないか!」の肝臓くんの切実な叫びと共に、突然私の身体が膝から崩れ落ちる日が来るのかもしれない。

「やらずに後悔するより、やって後悔した方がよい」という言葉が大学生の間に流行して久しいが、コレは正しい。あらゆる人生において「後悔」という瞬間はいついつどんな場面においても、皆に平等に襲いかかってくるからである。

例えばどこかに存在するであろうフェリス女学院大学に通うHカップの女にも、「お客様」と「申し訳ありません」と発声できる2つのボタンを搭載したロボットに成り切る業務中の私と同じ様に後悔を抱えながら生きる瞬間があると思うと胸がすく想いだ。人類はみんな、きっとどこかで繋がっている。そう考えると友達に出産祝いを贈ってやる事も吝かではない。

 

百貨店ギフトカード 5390円(5000円分)

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「何者」っていう映画を見たんですけど

「何者」っていう映画を見ました。

 

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解説
桐島、部活やめるってよ」の原作者として知られる朝井リョウが、平成生まれの作家として初めて直木賞を受賞した「何者」を映画化。就職活動を通して自分が「何者」であるかを模索する若者たちの姿を、佐藤健有村架純二階堂ふみ菅田将暉岡田将生山田孝之という豪華キャストの共演で描いた。監督・脚本は、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「愛の渦」といった映画でも高い評価を得ている演劇界の鬼才・三浦大輔。演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香。就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良。22歳・大学生の5人は、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就職活動に励むが、人間関係は徐々に変化していく。(映画.comより)

 

 

多分見ない映画だったと思うんですよ。

今人気の若手俳優大集合のキャスト、就活を舞台とした群像劇、Twitterでのやり取りを大っぴらげにお互い見せ合う感じ、主人公が就活で都内までの交通費とリボ払いで買い物をし過ぎたせいでだんだんロクな物が食えなくなっていく描写が予告編で見られるなどなどで、好みとは全く違うジャンルの作品なので(最後のは佐藤健でなく俺の就活です)コレだったら「ハドソン川の奇跡」とか「ジェイソン・ボーン」とかの方が優先度高くてそっち行ってると思うんですけど。団地暮らしの二階堂ふみが火炎瓶投げつけられたり、山田孝之リーアム・ニーソンに拷問されたりとかも無いっぽいんで。(多分コレでも見ないな、俺)

ただ毎週聞いてる「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」でのムービーウォッチメンのガチャガチャに当たってんで、「こういう機会でないと見ないし行くか!」っていう事で。
車で40分かけて近場の映画館にまで車でタヌキとか轢き殺しながら無理矢理に足を運びました。っていうか俺の地元、マジでこの季節になると、タヌキの死骸が毎日の様に道端に転がってるんですよ。朝になるとカラスがイヤっていうほど死骸に群がっていて、毎朝毎朝その光景を見る度に憂鬱な気分になるんです。この前なんて夜勤で帰ってきて夜の3時くらいに寝ようと思ったら、家の前でキツネが鳴き出して…この話続けてもいいですか?

 

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ここに2度と戻りたくねえ…

 

で、結論から言うと…今年の邦画ベストが決まってしまったかもしれないです。

簡単にあらすじを書くと、佐藤健扮する主人公の拓人は就活中。同級生でルームシェアしてる元バンドマンの光太郎と、留学から帰ってきた瑞月と共に就活を始めた所、なんだかんだあって拓人たちが暮らすマンションの上の階に住んでいた里香とその彼氏、隆良も仲間に加わり、この5人で情報交換しながら、就職活動という荒波に挑んでいきます。
この5人の中で、片想いがあったり、嫉妬があったりっていうのでお話は進んでいくんですが、普通の青春映画とはちょっと変わってるのが、基本的に主人公である拓人が「蚊帳の外」なんです。ここの演出も上手くて、わざわざ拓人のバイト先で光太郎のファンを登場させたり、会話の中心には決してさせなかたったりで、佐藤健をいてもいなくてもいい存在に徹底させています。

 

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二階堂ふみのボディラインが犯罪なんですよね…

 


片想いしている相手は全く違う人間の事を想い続けてたり、大学時代に熱中していた演劇も、ある理由で遠ざける様になっていて、これは拓人が主人公である物語のはずなのに、彼が何を考えているのか、序盤では分かりにくくしているんです。うまく唯一分かるのは「コイツは多分ロクな奴じゃない」っていうので、それが佐藤健のちょっとした表情の演技で分かっては来るんですけど。


ちょっとしたネタバレをすると、主人公に終盤で誰にも見られたくなかった秘密が暴かれてしまう展開になるんですが、その正体って「行き場の無くなった承認欲求」以外の何者でも無いんです。
10代20代の思春期の人間であれば、自分が何者かにならなければならない「焦り」ってずっと感じ続けている物だと思うんですよね。

もしかしたらそれは大人になっても延々に続くものなのかもしれないんですけど*1、このままでは駄目だっていう漠然とした日々の中に感じる焦りとか逃避って、普遍的なテーマだったりする訳じゃないですか。
「見て欲しい」「認めてほしい」から延々に生まれ続ける「妬み恨み」を、就職活動と若者同士のコミュニケーションっていう2つのステージで並列に見せていく作劇が本当に身に迫ってくる様に感じたし、佐藤健は俺だったんだ…と思わずにはいられないんです。

 

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やっぱり山田孝之が最高だったので山田孝之になりたかったんですけど、無理でした

 


だから、大学生だった時に下に見てた人間がドンドン内定を取っていった時に完全に引きこもりになったり、俺が不採用になった会社に直後に合格した新入社員や、「数珠を10万で買った!」って初対面で自慢してきた就職訓練学校にいた同期とかのアカウントを必死でTwitterで検索して監視しながら悪口言ってるように俺みたいな人間にはメチャメチャに刺さる映画だったんですよ!
劇中ではその承認欲求の暴走をまざまざと見せつけられるんです。それが俺の一番見られて欲しくない部分が映画館の大スクリーンで上映される様にしか思えないので「やめて!!!!!!上映とめて!!!!!!」ってマジで叫びそうになるんですけど。コレが多分マジの4D映画だと思いました。俺が佐藤健と同化して痛い人間の権化みたいになってましたから。

 

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俺の大学時代はこういう飲み会があったらトイレにこもって将棋しながら時間潰してる人間しかいませんでした


主人公が10代20代で青春風味の群像劇だと、テーマは恋愛だったり夢だったりだと思うんですけど、この映画って始めから終わりまで「自意識」と戦い続ける話なんです。自意識との戦いなんて、いつ終わるのかも分からない、というか勝てるのかすら分からない、長くて果てしない過程になるに決まってるじゃないですか。

 


でも、俺がマジで泣いてしまったこの映画の終盤では、主人公がその戦いに自分なりに「決着を付けようとする事を始める」んです。
本当に最終盤、とある会社での企業面接で主人公は「1分間で自分自身を表現して下さい」と質問されるんですけど、ここで初めて主人公は嘘偽りのない、だけどたどたどしい自分の言葉で、静かに語ります。自分は何を今まで積み上げてきたのか、自分はどう生きたいのか、自分は何者でありたいのか。

佐藤健の存在感を極力まで無くす様にここまで演出してきたのが、終盤の「初めて自分が見ない様にしていた物と向き合い始めた」という展開にメチャメチャ生きてきているんです。

ただ、自分自身と向き合ったという描き方ではなく、あくまで自分自身と向き合おうとする事を始めたっていう着地点に留めているのが、本当に優しくて愛情があって、死ぬほど泣いてしまったんすよね…。

 

 

もっと個人的な話をすると、正社員を辞めて非正規雇用で働いてる俺にとっては、毎日が焦りみたいな物なんですよ。もう20代も後半だし、特にコレといって資格も技能もないし、若干鉄板磨くのが上手いだけで。

しかも毎日の様にTwitterで他人の悪口書いてるっていう最悪の人間なんで、主人公が自意識を拗らせるのも嫌っていう程分かるし、コイツみたいな人間が近くにいたら俺だって真っ先にコイツのTwitterアカウント探してニヤニヤしてると思うんですよ。それだからこそ、そんな自分が本当に嫌いだし、自分の弱い所なんて絶対に見せたくないと思ってるし。このブログだって頭の良い人に「そこの描写は◯◯◯◯だから全然検討違いですよ」なんて言われたらスマブラのハンマー取れた時みたいな挙動に多分なるし。

 


でも、開き直るじゃないですけど、この先タイムトラベルに巻き込まれる事も、空から青髪で自分の胸の小ささを気にしている美少女も降ってくる事も無いっぽいし、なんかこの先、どこまで行っても俺は俺でしかないっぽいんで、今持ってる物だけでなんとか生きていくしかないじゃないですか。だからこそ、この映画の「誰もが人生をもう1度始められる」っていうメチャメチャ優しい視点が堪らなく胸を打ったんですよね。

もう本当に大学時代に何も残せなかったり、後悔していたり、昼休みに図書室に篭ってfav貰おうと必死にネタ考えてた人間にとっては頭ねじ切れるんじゃないかっていう描写が山盛りなんですけど、俺にとってはかけがえの無い大切な1本になったので。マジで辛くてマジで優しい青春映画だったと思います。10代の思い出なんて辛い事しか無かった人にこそ見て欲しいですね。っていうかお前なんですけど。

 

 

 原作。買って読みます。

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

 前田!また俺たちのゾンビ映画撮ってくれ!!前田!!!!!

桐島、部活やめるってよ
 

 劇中の佐藤健がマジで良くて、この映画のオスカー・アイザックを少し連想しました。肉体一応はあるんだけど精神がそれを持て余している感じとか。

 

 

*1:俺が大人だった時は工場勤めで毎日10時間鉄板を磨き続けていた時しか無いので分からないんですけど